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伊藤銀次 / SUGAR BOY BLUES

■伊藤銀次を知らないアナタにプロフィール:元ごまのはえ・ココナッツバンクを経て山下達郎・大貫妙子のいたシュガーベイブに。ソロ後、大瀧詠一・山下とナイアガラトライアングル(第1期、2期は大瀧・佐野元春・杉真理)。甘いPOPで若い女の娘の支持を得る。佐野元春と出会いプロデュースやバックバンド参加等で歩調を合わせるが、却って彼の影響を受けRockを意識し始めた。現在まで13枚のソロアルバムを持つ。プロデューサーとしてもシブがき隊・ウルフルズ等で有名。イカ天の審査員してたのは記憶にありませんか? 本人いわく、最大のヒット曲は「笑っていいとも」ののオープニング「ウキウキウォッチング」(笑)。
■ SugarでPOPなアダルトキッズ「ちがうんだよMy Little Sweet Kiss♪ 昨日電話で話してたあの娘、遠い昔の恋人なのさ〜」「They Call Me Sugar!Sugar Boy Blues 優しいだけの恋じゃ繋ぎ止められない〜」「Party Goes On 窓から入ってきてもいいよ」。。。口に出すと恥ずかしくて照れてしまうPOPで可愛いチューンが頭の中イッパイに広がってきちゃいます。POPさだけじゃなく、モータウンぽさといい、華奢な体つきといい、なんとなくオザケンと似てません? オザケンの「子猫ちゃん」なんてフレーズも恥ずかしくて。。。(笑)
■ 冬!銀ちゃんって絶対冬ですよね〜。暖かい部屋の中、甘いミルク、ポニーテールの女の娘、そんな古き良きアメリカングラフティちっくな世界が大好きだったら是非聴いてみてください。中でもオススメというか、何度も何度も繰り返して聴いたのがこのSUGAR BOY BLUES。冬の学校帰りの自転車、切り刻まれるくらい寒いんですよ。でもこのアルバムを聴いてるとなんとなく楽しくなってきてしまう。中学時代の僕の帰宅テーマでした(笑)。まぁこのアルバムは単にPOP、楽しい、それだけに尽きます。でもそれが音楽というものの一番の良さですよね。個人的に一生モノのアルバムです。

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Gumbo Borhters / Funky Freedom

■半月ほど前に買ったCD、Gumbo BorhtersのFunky Freedom。Gumboと名乗っているけどサンタモニカで活躍する4人組+ホーン。
■ 70年代風のレアグルーヴとファンクが中心。People Sayとかやっているけど、ニューオリンズらしいグルーヴは皆無で、どちらかというと正統派クラブファンク。でもそれはそれで気持ちよく踊れそうだ。
■ 車のBGMとして聞くにはとても楽しい一枚。お気に入りです。他にGrateful DeadのShakedown Streetをカバーし70年代っぽいメロディを聞かせてくれている。

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Gadd Gang / Here & Now

■しょっぱなからBluesBrothersのテーマでぐいぐい引っ張ってくれるこのアルバム、GaddがStuffの再現を夢見て作ったバンドの2枚目だ。Dupree、Gomez、TeeとMJQからRonnie Cubar(sax)のクインテット。
■全編を貫くのはまさにR&Bフレーヴァー、というかR&Bアルバムだね。曲もMy Girl、King CurtisのSeoul Serenade、おなじみ「青い影」、S.Wonderの「涙をとどけて」などなどR&Bの名曲がずらり。あのままStuffが続いたらこんな音になっていたんだろうなという感じの出来。TeeもGaddもリラックスして、ひたすら楽しんでいる感じに思わずにんまり。

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Ian Whitcomb / Under the Ragtime Moon

■21世紀の最初の年にJanet Kleinのバックバンドに参加して注目を集めたウィットコム。アーティストというよりはラグタイム研究家の彼の72年の再デビューアルバム。1897〜1918年の楽曲を現代によみがえらせたこのアルバムはひとつの音楽である以上に研究発表の場でもある。
■研究といっても堅苦しいものではない。元々が楽しく温かい音楽、人々の心を和まるためのものなのだから、当然彼の歌声も優しいものになってしまう。スィングにハワイアン、ミュージック・ホール、アーリー・ジャズなどなど、ハッピーでアコースティックでスィンガブルな16曲はきっと誰の心も優しく解きほぐしてしまうだろう。
■プロデュースは元Bonzo Dog BandのNeil Innes。ノヴェルティソングのヒットで時代の人となった経験のあるイアンとノベルティバンドのリーダー、2人が作った玉珠のラグタイム集、とくとご賞味あれ。

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Gonzalez / Gonzalez/Our Only Weapon Is Our Music

■ロンドン在住の中南米系を中心に結成されたFUNK-LATIN-REGGAEバンドであるゴンザレズのメンバーは流動的で10〜30人にもなったという。ゴンザレズというユニットの名の許にセッションミュージシャンたちが出入りしていたのであろう。そんな流動メンバーにもHamming Birdのメンバーやら、後にAlan Parsons ProjectやIncognito、Sadeのバックバンドなどで活躍する人たちもいた。
■74年の1stと75年の2ndの2in1であるこのリイシューは彼らの魅力を伝えるのに充分だ。ドロドロと黒いFUNKソングと割合スムースなフュージョン/JAZZFUNKチューンが交差する1st、それよりはかなりPOP、というかフリーソウルっぽい雰囲気を持つチューンとラテンJAZZ中心の2nd。どちらもとても興味深い。音だけを聴いているかぎりUKのパブ/クラブシーンのバンドであることを忘れてしまう。
■自分としては1stのドロドロ感がとても好きだ。しかし2ndのフリーソウルも見逃せない。逆にいえばフュージョンとラテンが余分。これは個人的な趣味の問題である。とにかくリズムもホーンもボーカルも問題なく気持ちいいグルーヴ感を演出している。(現在、曲順が違うが1stのみの盤がリイシューされている)

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Graham Parker / Stick to Me

■一瞬キング・クリムゾンかはたまた時代劇か?と思わせる仰々しいイントロからいきなりスピード感あふれるR&Rが飛び出すグレアム・パーカーの77年のアルバム。コステロやジョージャクソンとともに怒れる若者3人衆として括られたものの、今じゃあどうしているんでしょうか?
■一言で言うと怒りに任せた疾走感。ハイサウンドをやろうがレゲエをやろうが口泡飛ばしながら世の中にNOを突きつけて今にも殴りかかろうとするような雰囲気だ。ここら辺はサウンドもソウルもコステロとほとんど変わらない。初期のコステロが好きな人なら絶対好きになるアルバムだろう。
■大人になり、怒りが収まった若者たち、パーカーはさえないロック界の成田三樹夫になってしまい、ジャクソンは趣味が昂じて現代音楽の仙人になってしまい、コステロはポップスターから朝のワイドショーやキムタクドラマのテーマ曲になっていく。人生って色々なのねえ。
■オススメはつばの飛んできそうな表題曲、アン・ピープルズのI'm Gonna Tear Your Playhouse Down、パンクの萌芽を感じさせるNew York Shuffle、ブラスとの絡みが気持ちいいHeat in Harlemなどなど。このアルバムはかなり好きです。

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Heron / Heron

■このバンドってドラムレス・ベースレスなんですね。メインヴォーカルのTony Pook以外の3人がギター、ピアノをかわるがわる、そして時にアコーディオンやハーモニカ、マンドリンなどを手にするって感じですか、それにしても柔らかい音です。
■バークシャーのマナー農場での世界初の野外録音アルバムを引っさげて70年に世に出たHeron、フォークSSWのRoy Appsを中心とした優しく人懐っこいメロディ、そしてPookのちょっと頼りなくも温かいヴォーカルとそこに絡まるコーラスワークの美しさが何よりの特徴といえましょう。
■またモッズバンド出身のG.T.Mooreの構成力もこのバンドの美しさを引き立たせる妙薬、そして何でも弾きこなすStephen Jonesが全てのサウンドを具体化していきます。
■温かい、美しい、はかない、柔らかい、他にこの音を表す言葉はありません、それだけです。それ以上でもそれ以下でもありません。
■ちなみに4曲入りの8inchが同梱されていますが、こちらはデビュー以前にスタジオ録音され、アルバム発売後に発表されたもの。Mooreの曲が前面に押し出されているので1stよりPOPな印象を受けると思います。

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Heron / Twice As Nice & Half The Price

■え? これが田園フォークの名盤といわれる2枚組? と一瞬不安になるポップな一曲目から始まるHeronのセカンドアルバム。ファースト同様野外録音(デヴォンシャーの西エムレット農場)によって71年にリリースされている。
■第一印象はファーストよりも力強い。音が引き締まっているのだ。それはなによりもドラムとベースが入っていることによる。そして一曲目のラスト部分やDisc1終わり辺りの流れ、Disc2のカヴァー曲の選曲(You Really Got A Hold On MeやThis Old Heart Of Mineなど)等に感じるヴァリエーションの豊富さもファーストの雰囲気を期待するとちょっと驚くかも。その辺りは後にレゲエを前面に活躍するG.T.Mooreがソウルフリークなモッズ出身だったことも無関係ではあるまい。
■もちろんシングルカットされたMinstrel And A KingやBob Dylanの詩にメロディをつけたJohn Brownなどのような田園フォークの名曲もちりばめられている。しかし、この2枚組はファーストでの経験を生かしながら、より広い音楽性へのチャレンジだったのだろう。アルバムタイトルも実際も「2枚組で一枚の値段」というこのアルバム、自分たちの実験作ということも考えてお値段据え置きだったのだろうか?
■そしてこの音楽性の広がりが、そのまま音楽性の衝突となり、バンドは空中分解することになる。

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Isabelle Adjani / 雨上がりの恋人 Pull Marine

■「アデルの恋の物語」「カミーユ・クローデル」「王妃マルゴ」等で日本でもファンの多い仏女優イザベル・アジャーニ。彼女の唯一のアルバムが、83年、28歳の時に鬼才セルジュ・ゲンズブールと作り上げた「雨上がりの恋人」である。
■ゲンズブールの手腕で考えれば、なんてことのない良質のポップアルバムだ。つまりフランスで、いや世界的に見てもとてもよく出来たアルバムということである。爽やかなアップナンバー「Ohio」ロック調のギターが印象的な「何でもO.K.」。せつないウイスパーボイスが焦燥感を高める「ひみつのタクシフォン」等、美しくも楽しいナンバーがそろっている。
■もっとも美しいのはラストの「マリンブルーの瞳」(原題PullMarine、つまりタイトルナンバーである)。声量のない喉から搾り出す悲痛ともいえる歌声は、聴くものの心を切なさで満たしてしまう。こんな風に愛されてしまったら、どんな男でさえも道を間違えてしまいそうだ。彼女の卓越した演技力が歌にもしっかり出ている。この一曲でイザベルは音楽界にも名前を残していくだろう。

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Harry And Mac / Road To Louisiana

■NOキチガイ二人が好き放題に愛を確かめ合ったアルバム。細野晴臣(Harry)と久保田麻琴(Mac)という日本POPSの巨匠たちが童心に帰って楽しんでいるだけのアルバムだ。これくらいの巨匠になると遊びもすごい。
■しかし、こんなにレイドバックしこんなにうねる音作りなのにルイジアナの湿地のイメージが全くない。あくまで日本人的にクリーンな音だ。そこに日本人という他者の目でしか愛せない哀しさと、意義とが見え隠れする。これが「解釈」というものか!

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はっぴいえんど / ライヴ!!はっぴいえんど

■はっぴいえんどのライヴとして選んだというよりは貴重な時代の生き証人としての選出だろう。はっぴいえんどの解散コンサートの収録であり、このスーパーグループの演奏が7曲、大瀧詠一とココナツバンクが2曲、西岡恭蔵が2曲という構成。
■全てをやりきってしまった4人の天才たちが新たな地平へ飛び出そうとする瞬間の演奏にしては、全員がリラックスしており、また尖っている。つまり、歴史的には大転換期ではあっても、彼らにとっては一工程でしかないということなのだろう。
■この後日本純正のポップスが彼らを中心にして生まれていく。まさに時代を封じ込めた一枚だ。

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はっぴいえんど / 風街ろまん

■日本のロックの創始者、今もポップス界を支える重鎮たちがいたバンドとしてはっぴぃえんどは歴史に残っている。しかし、後追いで聞いた僕らにとっては、そんな肩書きより自分の感想を大切にしたい。
■はっぴぃえんどの「風街ろまん」は浦沢直樹の「20世紀少年」のようなものだ。ランニングシャツ、空き地の土管、ガキ大将。メンコ、蝉取り、秘密基地。そんな原風景としての「日本」を想起させる音だ。
■「夏なんです」からは地面から浮かび上がる陽炎が見えてこないか? 汗びっしょりになって走り抜けていく子供たちが見えてこないだろうか。「空いろのくれよん」からはなんとなく気になるクラスの女子にちょっかいを出す男の子が、「暗闇坂むささび変化」では少年たちの肝試し談義が、「はいからはくち」からはホウキをギターに見せかけてロックする中学生たちが見えてこないだろうか。ぼくにはそんな風景のBGMに聞こえてしまうのだ。

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Hoosier Hotshots / Everybody Stomp

■オチャラカミュージックのてんこ盛りがここに登場! 1930年代にスライドホイッスル、ウォッシュボード、クラリネットを使いまくって全米にトホホな笑いを繰り広げていたフージアーホットショッツの100のオトボケがつまったボックスセット。
■豪華36ページのブックレットは英語なので全然読む気になりません(←本当に英文科卒?)が間違いなく気が抜けること請け合いです。英語を素で聞くことのほとんど出来ない日本人にとってアメリカのコメディバンドをどこまで楽しむことが出来るかは大いに疑問ですが、Hoosierに関しましては心配ご無用、充分楽しめます。というのも歌詞でのお笑いは別としても、リズム、メロディ、そして間の取り方が面白い。ゲラゲラ笑えるわけではありませんが、なにやら楽しい気分になっちゃいます。
■結構戦前のラグタイムってのは聞くだけで優雅で平和な気分になるものですが、この4枚組はそれだけでなくウキウキハッピーになってきます。これホントに本当なんだってば! 試聴サイトがなくて説得力ないのでとりあえず別アルバムだけどこっちを聴いて判断してみてね。

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Half-Pint Jackson / 黒人ヴォ−ドヴィルの王者 ハ−プパイント・ジャクスン1928-1940

■この紹介中で最も古い録音であるハーフパイントは「歌手・コメディアン・ダンサー・女形役者」として戦前に活躍したいわゆるボードビリアン(喜劇役者)である。
■しかし彼の音を聴くと(音質こそ辛いが)甲高い歌声のパワーたるや、まさに目の前で叫んでいるかのようだ。そしてそのスキャットやラップなどの歌唱方法、エンターテインメントとしての完結性、コードやメロディなどなどどれをとっても21世紀の現在に完全に通用するものばかりだ。僕らはこの百年のあいだ、何をしてきたのだろうか?と不安にさせられる。
■R&Bやジャズどころか、ジャイヴすら完成していない時代の先人の音を23曲封印した輝かしい一枚。



Hoosier Hotshots / Havin' Fun With The Hoosier Hotshots

■オチャラカミュージックの傑作がここに登場! 1930年代にスライドホイッスル、ウォッシュボード、クラリネットを使いまくって全米にトホホな笑いを繰り広げていたフージアーホットショッツのとぼけた一枚。
■ジャイヴではないけれど、踊れて笑えてあったかいカントリースイングの洪水は抱腹絶倒悶絶気絶、アルツのおじいちゃんもリストラのお父さんも今夜だけは笑顔でダンス!
■30年代といえば日本は軍事まっさかり天皇陛下万歳時代だ。そしてアメリカは金融大恐慌の最中だった。都市部以外の南部では干ばつが続き、ルーズベルトのニューディール政策が景気回復につながるのは第二次大戦の特需を待たなければならない時代だった。
■そんな時代にお気楽極楽に「骨がないからバナナが好き」とか「洗濯板に夢中」とか「製氷室で待ち合わせ」なんて歌を高らかに唄っちゃうフージアーの笑い。でも卑屈な笑いじゃない、心のそこから「わっはっは」と笑える笑い。すべての不安を大きな声で笑い飛ばす笑いなんだと思う。フージアーと一緒に踊って笑ってこの時代を乗り切ろう♪

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Help Yourself / 5

■Malcolm Morley率いるウェールズサウンドとパブロック、そしてUKフォークの架け橋を作った伝説のアーシーフォークグループHelp Yourselfの2004年の最新作。モーリーが70年代にお蔵入りしてたソロアルバムLost & Foundをリリースした時に、ヘルプスの幻の5thも出してくれというファンのリクエストに応えての発表だとか。8曲の未発表曲に3曲の新録音を追加。その新作はドラマーのDave Charlesの代わりにKevin Spacyが参加している。
■73年の録音だが、パブロックのくくりの音を期待すると、そのあまりの繊細で叙情的なフォーキーサウンドに唖然とするかもしれない。ここまで完成された音を作り上げてしまって、この後マルコムはどんな想いでBees Make HoneyやManで演奏していたのだろうか想像がつかない。Lost & Fouondでも再演したGraceやLight Your Wayなど、すがすがしく美しくて、そして儚い音が詰まったアルバムだ。
■しかし、新曲の3曲を収録したのは失敗だ。これだけ美しい音を完成させたマルコムの30年の成長がコレなのか?という気持ちでいっぱいになってしまう。U2もどきというか、なんというかどうでもいい音になってしまった。そこだけがとても残念だ。

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Help Yourself / Help Yourself/Strange Affair

■マンを中心とするウェールズ・コネクションとブレンズリー等のロンドンパブサーキットをつなぐ橋渡しとして歴史上に名を残すHelp Yourself、しかしCSN&Y直系のウェストコーストフォークにUKらしい潤いをにじませた彼らの音はそんな「歴史的存在意義」だけで片付けてはいけない。
■71年の1stHelp Yourselfと翌年の2nd Strange Affairのカップリングを聴いているとアメリカ由来のアーシーなカントリーロックやフォークサウンドがイギリスでどのようなアレンジされて行ったのかが良くわかる。ちょうどビートルズがR&BをUKらしいPOPにしたように、彼らも乾燥系のアーシーフォークを潤いのある優しく軟らかいUKフォークに作り直している。この点でマルコム・モーリーはその功績を歴史に残しているはずだ。
■繊細で温かく、そしてちょっと「はっぴぃえんど」のようなコーラスワークも見え隠れする1st。「バッファロー・スプリングフイールドからニール・ヤングのソロ作までのミッション・リングを埋めるアルバムである」と評された美しく力強い2nd。どちらも一度は聴いて欲しい名盤である。
■僕の所有アルバムは1st&2ndの2on1だが、流通しているのは1st&3rd、2nd&4thの2on1らしい。

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Ian Dury / New Boots And Panties!!

■世界の全てを唾棄するイアン、そこには労働階級の、不具者の、醜男の社会に対する魂の怒りと共に、一介の教師上がりが世界に対して勝負をかけようとする気概の充満が感じられる。
■まさに魂、それだけが動かない肉体を引っ張っている原動力となっているイアンの歌声は、ソウルとしか言いようがない力を持っている。この欲望の塊でしかない魂は、同じような階級、世代、境遇の心をビンビン揺さぶったのであろう。

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Ibrahim Ferrer / Buena Vista Social Club Presents Ibrahim Ferrer

■最近セカンドアルバムが好評なイブライム・フェレーレのファーストアルバム。もうすでに説明に必要がないくらい有名になった映画「Buena Vista Social Club」で鳥打帽かぶりながら楽しそうに唄っていたおじいちゃんだ。 ■1927年生まれってことはこのアルバムを出したのは72歳、現在76歳だ。この歳の人が高らかに唄う愛や欲や悲しみってのは、世俗の愛や欲や悲しみを超越しているのだろう。全てが優しく感じてしまう。 ■枯れているのとは違う。まだまだ「現役(笑)」であろう。しかし我々とは段階が違うものなのだろう。とても奥深くとても吹っ切れた歌声だ。澄み切った青空のように健やかに伸びていく#1、コーラスやデュエットとの掛け合いが楽しいダンサブルな#3、怪しげなブラスとルーベン・ゴンザレスのピアノが光る#5、しみじみと、そして懐深く唄いこむ#8はデュエットのオマーラともども果てしなく情熱的だ。 ■こんな深く愛しい音楽を聴けるなんて、「音楽活動を引退して靴磨きをしていたところを急遽呼び出」したライ・クーダーの眼力に改めて脱帽せざるを得ない。現代に現れた前時代の優しさと深さをとことんまで味わって欲しい。新機軸を見せた新譜もいいが、ぼくはこっちの方がやはり好きかな。

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Ian Gomm / 24 Hour Service

■元ブレンズリーシュワルツのギタリスト。78年のサンフランシスコでのライヴ。パブロックとシスコって不似合いだが、Stiffが米Epicと契約した際、アーティストが足りなくて、ゴムの美しいミディアムポップシングルHold Onを出したところ、トップ100の12位まで上り詰めたと言う。そしてお決まりの全米ロード、その時の録音らしい。 アメリカに憧れ、アメリカンロックをやってきたイギリスっ子がついにアメリカでヒット! うれしくないわけがないだろう、かなり気合の入ったライヴだ。バックメンバーもブレンズリーの頃からの仲間たちで息もぴったりである。
■そんな楽しいライヴだが、気付いたことが一つ。タイトル曲の#2、Chuck BerryのカヴァーのComme On、コーラスとの絡みやスピード感がたまらないMan On A Mountainなどは思わず、「Elvis Costello初期の未発表曲か?」と思うくらい唄い方もテンションもメロディも似ている。やはり彼らはパブサーキットで影響しあっていたんだろうなぁ、パブロックの良い部分を吸収して大きくなっていったのが絵コステロなんだなぁと妙に納得。
■ 妙に庶民的で決してきらびやかではないものの、本当にRockを愛していることが良くわかる15曲(と隠しトラック)である。貸してくれたKiju氏に感謝の一枚。

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