オトススメJtoL






Joe Jackson / Rain

■ジョージャクソンが活動を再開していたのはよく知っていたけど、Big World〜Will Powerの流れが気に食わず及び腰でいた。クラシックの世界に行ってしまった過去の人扱いだったのだけど、前作で初心に戻って「怒れる若者」を演じ、今作で「Night& Day」「Body & Soul」時代の黄金期を再現したらしい。
■それだけでなくこのアルバムはすばらしく叙情的でかつ完成度も高い”ジョーらしい”傑作なのだ。冷やっこい感傷的なピアノも、滔々と歌い上げる声もまさに80年代そのもの、僕の大好きだったジョーが戻ってきてくれたという感じでいっぱいです。ネットでのレビューも「傑作」という評価が多い。
■今回はギターレスの3人編成なのでピアノをじっくり堪能できるのもまたうれしい。この人の冷たいけど心地いいピアノの響きが大好きです。



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CAROLE LAURE & LEWIS FUREY / FANTASTICA

■ムーンライダーズにも多大な影響をあたえたと言われるカナダのSSW、ルイス・フューレイとその恋人キャロル・ロールのSARAVAHからのアルバムで、二人が出演するミュージカルドラマのサウンドトラックである。
■作曲/演奏・アレンジはレナード・コーエンや、ルイスのソロ・アルバムのプロデューサーJOHN LISSAUERが行なっている。良くも悪くも50〜70年代フランスもの好きには堪らない音ですが、それなのに英語なのが微妙な違和感とともに心地よさを感じさせます。



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小坂忠 / People

■なんど聴いても心にじわりと熱いものが溢れてくる音楽、それがこの『People』だ。小坂忠さんが25年ぶりに細野晴臣プロデュース、元ティンパンの面々をバックに作ったポピュラーアルバムである。小坂氏といえば75年に「ほうろう」で日本人のブルーズを確立したにもかかわらず、翌年にはクリスチャンになり、日本的なゴスペル(Jゴスペル)を普及させてきた人。91年からは秋津で牧師さんをやっている。
■ 黒人ミュージシャの中ではゴスペルに行ってしまう人も多いが、すぐに思い浮かぶのはAl Green、彼の余裕ぶっこいたカムバックアルバムは、数十年の時をまったく感じさせないカッコよさとSEXYさを持っていた。つまり表現力から音の作りを含めて何も変わらない。何も変わっていないのに、現代の新曲として何も古臭くないという名作を聞かせてくれた。 小坂氏の場合はまったく逆で、全然違う音だった。ブルーズというよりはアコースティック調を基本とした洗練されたソウルポップが届けられた。派手ではない、情熱に駆られて歌い上げるようなものもない。しかし静かに心の中に染み込んでくる温かさとやさしさは、彼が相当な年月苦労をしたこととそこを乗り越えて本当の平和を心に感じていることを表している。

  「傷付けることばより、なぐさめの歌をこの世界に広げよう I love people I love this world」(I love people)

  「夢の話を聞かせて 仕事のことは忘れて たまには あの頃のように 熱く語ろう 君の夢を聞かせて」(夢を聞かせて)

■ クリスチャンの音楽というと神を讃えたり、世界はひとつみたいな押し付けがましいメッセージばかりのような印象を持つが、彼の歌はもっと昇華された「愛」を歌っている。しかもかなり抑制され、とても練りこまれている。派手ではないが、細野氏・佐橋氏・浜口氏ら日本ポップス界プロ中のプロたちが作り上げたバリエーションにとんだサウンドは音楽的にも完成しつくされていてなんどもなんども聴くことが出来る。そしてそこに乗っかって流れてくる小坂氏の情熱を穏やかさの中に浸した歌声、すっごく素直に音の楽しさに身体をゆだねることができるアルバムです。このアルバムを手にして1年近く、なんど聴いたことだろう。本当に手放しがたい一枚となった(こんな心もちになれるのならば、宗教もいいものかもしれない、と思わせられた。布教音楽としてのゴスペルとして大成功だ)。
■ 心の平静を取り戻したいとき、人にやさしくなりたいとき、このアルバムを聞くことを是非ぜひオススメしたい。

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Lee Wiley / Night In Manhattan

■大好きなジャズボーカリストLeeWiley。1930〜50年代に活躍した白人女性ボーカリストの草分け的存在だ。かぼそい声でサテンのイヴニングドレスに包まれたハスキーボイス。紫煙とスポットライトでドレスアップされたヴィブラート。そんなイメージの彼女が、とても小粋なNYを夢見させてくれます。
■マイフェイバリットソングをあげると1950年発表の「Manhattan」。最も有名なアルバム「ナイト・イン・マンハッタン」収録の曲で、彼女の最大のヒット曲のひとつだ。声量はあるとは言えないが、実に気品があり優雅な都会の女。エレガントを形にしたようなそんな時間を与えてくれる。
■作詞作曲は、ロレンツ・ハート&リチャード・ドジャースという、ガーシュウィンと並ぶ当時きっての人気作曲家。なんかのミュージカルにも使われたらしいが、資料等なくてわかりません。
■なにしろ当時の女性JAZZシンガーといえば、ビリーホリディもどきのトーチソング歌いばかり。苦しく貧しい哀しみを謡う、辛気臭い雰囲気の中で、リーの気高さと粋さは眼を惹いたことだろう。

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James Cotton Blues Band / High Energy

■James Cotton Bandだ。1975年のHigh Energyなのだが、名作「100% Cotton」の次回作でもあり、絶好調のブルーズハープ&ボーカルが聴ける。あまりブルーズに食指を動かされない私がこのアルバムを手に取ったのはもちろんニューオリンズ絡みだからだ。プロデューサーはAllen Toussaint。ミーターズがRejuvenationを出した翌年だからトゥーサンも絶好調だったはず(74年のトゥーサンプロデュース作品はDr.John、Huey Smith、Jess Roden、King Biscuit Boy、Labelle、Meters、Badgerなど盛り沢山。そして75年は名作Southern Nightsが生まれた年だ)。
■他のアルバムは聴いていないので比較が出来ないが、このアルバムはファンキーなバックバンドにノリのいい曲調、コットンの歌も申し分ないファンクアルバムだ。ハーモニカが入るので「あぁブルーズだった」と思い出すが、そうでなければR&Bの硬派な名盤としてもいいだろう。
■ 私がこのアルバムを買ったのはそんなことではない。キーボードが変態James Bookerだったからなのだ。屈託のないミディアムテンポのトゥーサンらしいナンバーの@を除けばすべてキーボードはブッカーだ。当時のブッカーはまだ再発見をされていないものの奇人変人ぶりは存分に発揮されていたはずだ(失明のアイパッチももっと前だったはずだし)。そんな変態で薬中でジコチューなブッカーをバックバンドとして録音しようというのだから、アラン・トゥーサンの判断にも驚かされる。何されるかわかったもんじゃないだろー(笑)。
■まあBookerのピアノはファンクなビートと力強い歌声の後ろで、曲を壊しはしないものの、メインとは違ったメロディで妙な個性を発揮している。つまり曲のコードに合わせて結構好きなことをやっている感じ、そこまでしなくていいじゃんという感想だった。どうしても自分を主張したいのか、気にしなければならないが、気にしだしたらピアノにばかり耳が行ってしまった(笑)。 (オトシャベリより改稿)

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King Biscuit Boy / King Biscuit Boy

■2003年に亡くなったカナダのハーモニカおじさんの74年発表作品。一応3枚目で全部で7枚アルバムがあるらしい。バロンズ、ロニーホーキンズのバンドなどで活躍したそうだが詳細はピーターバラカンのライナーを参照してほしい。
■なによりもこのアルバムが日本で再発されたのはアラン・トゥーサンプロデュースでバックをミーターズとドクタージョン(ギターで参加)が行なっている事に他ならない。74年というとミーターズはRejuvenation、ジョンはDesitively Bonnarooの頃、ノリに乗っていた時代だ。リズムもギターもホーンも申し分ない。ビスキットのハーモニカも言うことない。しかし凡庸だ。トゥーサン+ミーターズ+ドクターならもうちょっとすごいものを期待してしまった。作曲もトゥーサン分もビスキット分も難なくサウンドにマッチしている。しかし他の彼らの参加アルバムの中でも中の中なのだ。その辺りがこのアルバムが21世紀になってやっと日の目を見た理由なのかもしれない。手堅いので聞いていて不安はないものの「トゥーサンだねえ」以上の聴後感はない。

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角松敏生 / Touch & Go

■角松敏生とNYスタジオミュージシャンの音はよく似合う。名作「初恋〜hatsukoi」でそのコラボに成功を見せた彼がヒットの勢いに乗って世に出したアルバムがコレ。3曲以外は全てNYでの製作。彼の神経質で完璧主義な性格がそのまま出ている曲調が、アチラのスリリングで切迫感のある空気に見事溶け合ったのであろう。
■また、角松は声量が弱い。Paul Simonの時と同じだがTeeのフェンダーは声に力のないボーカルに最も似合うのだ。弱いボーカルを引き立てる時に最大限に力を見せる。さすれば、このコラボではTee魅力が充分に引き出されているはずだ。

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The Joneses / Keepin' Up With The Joneses

■スポポ・スポロロと始まるジョーンジズのファーストアルバムは全編、コテコテの甘系ソウルコーラスのオンパレード、まさにフィリーサウンド! Cornell Dupreeのギターも妙に甘く感じてしまいます。ミラーボールに下でのチークにぴったりな一枚でしょう。
■ボーカル主体のアルバムといえば歌を聞かせるために、どうしても楽器演奏が軽んじられたり抑えられたりする傾向があるが、このアルバムではコーラスと楽器が対等にセッションしているのが良くわかります。それもCornellやTee、Ralphなどの実力派を起用したことが原因でしょう。歌もも楽器も楽しめるコーラスアルバム。



Les DeMerle / Live At The Concerts By The Sea

■Les DeMerleの3枚のリイシューの一枚で78年のライヴアルバム。ジャズやジャズファンクの範疇で語られるドラマーらしいが、TransFusionという曲を中心にデ・ラ・ソウルやHIPHOPな方々にかなりサンプリングされているとのこと。
■基本はフュージョンである。それも割とさらりとしたフュージョンだ。しかしドラマーのリーダーアルバムらしく、ダレる部分がない、緊張感というかキチっキチっとしたリズムで統制されていることで、あまり特徴がある曲でなくとも飽きることがない、なかなか良い。
■と思ったらいきなり4曲目で迫力のあるスキャットとともにかなりファンキーなホーンが入ってくる。ここで雰囲気はガラリと変わる。めちゃめちゃカッコイイ。あぁこれだ、DJたちが惚れたのはここなんだなと納得。とにかく切迫したプレイが凝縮されてくる。70年代っぽい黒さが充満する。これ以降怒涛のFUNKYドラムの炸裂、畳み込むドラミングに突き刺してくるホーンやスキャット、楽器たち。まさにジャムセッションさながらだ。
■このアルバムは2枚組で、発売当時はLive At The Concerts By The SeaとTranscendental Watusi!という別々のアルバムとして発表されている。合わせると80分をほんの少し越えてしまうので残念だが、ぜひ続けて聴きたいアルバム、盤を交換するタイムラグがとても惜しい。 (オトシャベリより改稿)

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Jo Ann Kelly /
with John Fahey, Woody Mann,
John Miller, Alan Seidler

■イギリスのブルーズの主流は主にシカゴモダンなエレクトリカルブルーズだったのに対し、ジョーアンはかたくなにアコースティックな戦前ブルーズを唄いこんだ稀有な人だ。
■68年にメンフィス・ブルース・フェスティヴァルに登場し話題を掻っ攫った後、アメリカに移って音楽活動を続ける。当アルバムは72年の三枚目でギターマニアの間では神格化された存在である。フェイヒィ、アコースティックピッキングで近頃再評価のミラー、アコギの教則本的人物ウッディマン、そしてピアノのセイドラーとのセッションで編み出されたこのアルバムは、稀代のギター名人らの味比べが楽しめるとともに素朴で一徹なジョーアンの人柄が垣間見れてうれしい。
■一部の新作を除いて、戦前ブルーズで固めたイギリス人らしからぬカントリーブルーズアルバムの音の隙間から4人の男と1人の女の音楽への深くて温かい愛情が染み出てくる。名盤。

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Kokomo / Live in Concert 1975

■Grease BandやAraival、King Crimsonなどから集まった超怒級FUNKセッションユニットの75年のツアーのライヴ。とてもUK白人バンドとは思えない黒いノリに圧倒され続ける66分、うねりまくりの1、2曲目、ちょっとお洒落なスムースファンクの#3、跳ねるベースとボーカルの絡みがうれしい#4、音の渦に巻かれているうちに1時間がすぎてしまう。
■特に印象的なのはTom Tom ClubのSteven Stanleyのようなトニー・オマリーのだみ声ボーカルだ。妙に体育会系のような張り切り方で大声を張り上げてがんがん盛り立てていくオマリー、メロディなのかラップなのか良くわからなくなる部分もあるが全体の熱が1度上がること間違いない。

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Kokomo / Rise & Shine

■Average White BandやGonzalezと並ぶ70年代UKホワイトブラスファンクバンドであるココモの76年のセカンドアルバム。彼らが意外にもパブロックとして括られているのは、10人(9〜8人の時代も)のメンバーのほとんどがロンドンのセッションミュージシャンとして食っていたため、AWBなどのように渡米を含めた遠征ツアーに出ることが出来ず、ロンドンのパブサーキットでの音楽活動に重点をおかざるを得なかったことに起因している。
■それ故のパブロックバンドらしい質素な「ロケンロール命」っぽさがなく、とてもゴージャスなファンクを聴かせてくれる。この2枚目もジャケのナンセンスさ(タイトルのRise & Shineは朝だぞ〜という意味らしい。朝寝坊のニワトリがたたき起こされている様子だという)からは想像できないファンクぶり。特にブラスやリズムが奏でる黒いグルーヴと複数のボーカル&コーラスによる美メロが気持ちいい。この「ボーカル&コーラス」ってのがKokomoの特色だろう。言うなればEW&Fにも通じる華麗なコーラスがリードするグルーヴ感が最大の魅力だ。
■David Bowieの「Fame」と似てる?(レコード化はBowieが先、ライヴではココモが先なので微妙だが)というDo It Rightほか黒いグルーヴと巧みなコーラスワーク、そしてバラード等で顕著な美メロで楽しんでほしい。

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Jess Roden / Jess Roden

■60年代ロンドンのパブサーキットで活躍したAlan Bown Setボーカリストとして(彼の後任はRobert Palmer)、同パーマーやFrankie MillerとともにUKホワイトソウルボーカルの雄として歴史に名を残すジェス・ローデンの74年のファースト。
■「白人ながらもソウルフルなボーカルを」聞かせると様々な媒体に書かれているが、ボク的には「白人らしいソウルボーカルを聞かせる」といわれたほうがしっくり来る。Steve WinwoodやRod Stewartなどに近い歌唱だ。しかし彼らの発祥がブルーズなのに対し、Jessはあくまでもソウルボーカルである部分が彼らしい。
■このアルバムも9曲(オリジナルは8曲)中、4曲をニューオリンズのAllen Toussaintのプロデュース、Metersのバッキングでファンキー&スィートに聞かせてくれる。それ以外はロンドンでの録音だがこちらもジャズファンクの影響の強いタイトな演奏だ。どちらも悪くない。
■五條のオススメはトゥーサンのピアノとミーターズ独特のシンコペーション、そしてブラスがとてもJessのボーカルに相応しい#4、後のAverage White Bandっぽい雰囲気を持つ爽やかなダンスチューンの#5、Jess自身がドラムとベースもやっているヘヴィでメロディアスな70年代らしいファンクの#7など。


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Kilburn & The High-Roads / Handsome

■イアン・デューリーの魅力は彼の愛くるしいとは言いがたい「変」な歌声と良識ある人間なら眉をひそめざるを得ない人を食った歌詞、チャズ・ジャンケルを中心としたコンポーズとそれをそれまでは想像だに出来なかったホワイトファンクという新ジャンルを作っていったブロックヘッズの演奏だろう。つまり半分はイアンの、後の半分は周囲があっての魅力である。
■ではチャズもブロックヘッズもなかったときのイアンは魅力が半減なのだろうか? そんな疑問をもってこのアルバムを聴いてみるといい。答えはNOでありYESでもあるのだから。
■75年に発表されたキルバーンズの公式ファーストアルバム(本当のファーストWotabunchはレーベルの倒産でお蔵入りとなった)は、その経緯から前作の再録的な部分も多く、レーベルの意向からかなりオーヴァープロデュースになっている。元々小児麻痺とコビトと下半身不随が本格ジャズマンと組んだバンドとして奇異の目で見られていたキルバーンズの本領はライヴだった。スタジオ演奏というかなり勢いを殺ぐことになった上、再録というテンションダウンはこのアルバムを不朽の名作という言葉には相応しくない完成度を見せている。
■しかし、その後のNewWaveのヒットメーカー、イアンデューリーにはない本当の毒がこのアルバムからは感じられる。コンポーズにおいてもどこかのスタンダードやテレビの流行歌をパロっていたり、唄い方もかなり皮肉っぽい。実は俺たちもこのアルバムの出来は気に入っていないんだけどな、というようなことをいいた気な感じが伝わってくる。全く商業ベースを分かっていないからこそ出来る毒気が良くわかるアルバムだ。ソロよりイアンらしさが前に出ている代わりにサウンドは?なアルバムだ。
■二枚のシングルを1〜4に、5〜14にアルバムオリジナルを、そして15〜は未発表テイクで。18曲中10曲がWotabunchからのリメイクである。

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Joss Stone / Mind Body&Soul

■評判のソウル女子高生ジョス・ストーン待望のオリジナル曲アルバム。まあ評判いいね、豪華なゲスト陣も話題だ。てことでちょっと否定的に書いてみようと思う。
■いいアルバムだしいいシンガーなんだけど、それで?って部分も否めない。というのは”強烈ななにか”が基本的に足りない気がしてならない。それはメッセージだったり生き方だったり、メロディやサウンドの持って行き方だったり様々だが、Jossがワンアンドオンリーになりえる部分のことだ。歌は上手いし、ルックスはまあ問題ないし、作曲も悪くないけど、だからってJossじゃなきゃいけないって部分がみつからない。17歳でコレだけ唄える!ってのは今はキャラ立ちの要素になるが20年すれば歌の上手いオバチャンでしかない。そんなのは幾らでもいる。若いのにここまで出来るではなくて、Jossでなければ出来ないことを見せて欲しい。
■つまり聞き流しちゃうんだな、優等生すぎて引っかからないんだ、ボクには。

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久保田麻琴と夕焼け楽団 / Second Line

■Levon Helm、Bobby Charles、Dave Cropper、Ronnie Barron、オルケスタ・デル・ソルそして盟友、細野晴臣...ゲストミュージシャンだけ見ても必聴だ。
■夕焼け楽団最高至極のアルバムは全編NOに満ち溢れている。内容も半分はNOもののカヴァー、半分はセカンドライン色たっぷり、ホーンが炸裂するファンキーなナンバー。日本語で唄っていなければ向こうの作品かと思ってしまう。
■細野とDaveがアレンジしLevonとBobbyをバックに喜納シスターズが唄うチャンプルーは感動ものだ。

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Jay McShann feat.Duke Robillard & Maria Muldaur /
Still Jumpin' the Blues

■カンザスシティのジャンプブルーズマン、ジェイ・マクシャン90歳(83歳説あり)のアルバムは、なんとルーツロックの歌姫Maria Muldaurが数曲唄っている。それも曲によっては単なるデュエットの相手ではなく、ピンで参加だ。
■ブルージィでムーディな楽団がジェイのピアノに合わせてどんどん過激にジャンプしていく様がいかにも「ピアノに座ったらもうどかない」男、年季入った唄いっぷりがなかなか惚れます。
■しっかしこのオッサン元気だなぁ、熟女の色気と度胸を張り上げてぶんぶん唸るマリアもすごいが、この老人はまだまだいける。絶対死なねえ。
■最後にロングインタビューが収録されてるが、、、豚に真珠でした。

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Jerry Garcia Acoustic Band / Almost Acoustic

■ほとんどアコースティック、なんて粋なタイトルだろう。Grateful Dead関係ではWorking Man's Deadの次にヘヴィプレイなこのアルバム。Swing Low, Sweet ChariotやDeep Elem Blues、Casey Jones、Rippleなどおなじみの曲が一杯詰まっている。
■87年秋のライヴレコーディング、今のスイングブームの中、このアルバムが注目されないのがイマイチ分からない。とても心地いいスイングだ。演奏者が楽しげなのが一番いい。何も目新しいものはないけど、だから15年も聴き続けることが出来るのかもしれない。ちょっと裏声気味に唄うヨーデルがのほほんと楽しい、もう最高だね。

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Little Feat / Dexie Chickin

■Lowell Georgeという類まれな個性がどうしても憧れざるを得なかったNOという土地の魅力というのは如何なる偉大さを持ったものなんだろうか? どこにもNOを謳ってはいないがこのアルバムは、まさしくNOフォロワーたちの最高傑作でありリトル・フィートのベストアルバムでもある。
■リズムセクションがルイジアナ出身ということもありセカンドラインへの対応は容易だっただろうが、それより何よりNOを歌わずしてNOを語り尽くしたローウェルに感服、聴け、泣け。

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Leon Redbone / Champagne Charlie

■2003年に知った最も肩の力の抜ける音、Leon Redbone。「チョビ髭にサングラス、パナマ帽というイデタチに、年齢・経歴が一切不明という怪しすぎる人物。ジミー・ロジャースとジェリー・ロール・モートンを最大のアイドルとし、20〜30年代のカヴァーで占められたレパートリーで究極のアメリカン・ノスタルジアを体現した」(ListenJapanより)男らしいですが、なんというか浮世離れしたホンワカ音楽を30年も、あいも変らず、全く音楽的な変化なしにやっている御仁でありますわ。
■このChampagne Charlieは、Ry CooderがJazzの中で取り上げていたBig Bad Bill (Is Sweet William Now)やJim Kweskinも取り上げたSweet Sue (Just You)、Jerry-Roll Mortonの辛らつなI HATE A MAN LIKE YOUのつぶやきバージョンなどを含む10曲、どれもがユルいギターとやる気があるのか?と問いただしたくなるようなヴォーカルで占められています。
■ユルいスチールの西部風ブルース、ミュートトランペットが印象的なラグタイム、口笛、ウクレレのハワイアン、、、酒場のオヤジがほろ酔いで爪弾いているような曲の数々が、聴くものをたまらなくダメ人間にしてくれます。 (オトシャベリより改稿)

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Levon Helm / American Son

■元The BandのドラマーLevon Helmの80年の名盤American Sonは自分のルーツである南部に対する愛情にあふれている。ウッドストックに活動拠点を定めていたヘルムが、もう一度自分のルーツである南部のサウンドに原点回帰しようとしたアルバムだ。
■「Watermelon Time In Georgia」に始まり「America's Farm」や「Nashville Wimmin」を通って「Sweet Peach Georgia Wine」に終わる。アルバムタイトルや曲目だけを見ても愛情を感じるのに、屈託のないその演奏/歌は本当にリラックスしていて楽しげだ。本当の自分を育てた街であり、もっとも息をつける場所である故郷を思いながら歌う、それがたった二週間で出来上がったこのアルバムを「名盤」として世に残している所以だろう。
■日本だとご当地ソングというのはどうしても演歌かコミックソングになりがちだが、本当に愛情を込めて歌うのならば、ご当地モノのロックやポップスがもっとたくさんあってもいいのだと思う。 (オトシャベリより改稿)

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THE JUMPING JACQUES / AVALON

THE JUMPING JACQUESのAVALONでございます。60年代後半の発表と思われる2ndのリイシューなんだけど、このうそ臭くって安っぽいジャケットに思わず一目惚れしちゃいました。
■花に囲まれるフランス版宍戸錠のようなオヤジも素敵だけど、何といっても後ろの方で楽譜を持って淡々と曲をこなしているようなお姉さま方のまじめな表情に思わず大爆笑。でもでも、ジャケ買いの場合って大体失敗するんだけど、これはかなりラブリーでした。
■全12曲すべてスキャット。エロっぽい男女のだだだだだぁだー、ばばばばんー、わわんわんわんが、昭和40年代のテレビドラマの主題歌のようなメロディに乗って繰り広げられます。そもそもあの LES MASQUES と同一グループとも噂されているグループなのです。
■とにかくジャック・ヘンドリックス(このもみ上げのおっさんか?)のセンス、本気なのか冗談なのか全然不明ですが、気持ちいいことは受けあいます。最高にハッピーなおじさんとおねーさんたちのスキャットとほとんどリズムのみでしか感じられない軽快なラウンジ・グルーヴに身をゆだねてみましょう。
■ほら! そこ!! 気持ちいいでしょ? 頭の中、花が咲き乱れるでしょ! このジャケのように♪(オトシャベリより改稿)



Leningrad Cowboys / Happy Together

■LENINGRAD COWBOYSといえば、カウリスマキの映画は4回くらい見たかな。どれだけ見ても愛くるしいヤツラですよね。あのトサカルックは一生忘れられません。ポルカからヘビメタまで自由に使いこなすレニグラの強烈な個性は唯一無二のものでありましょう。彼らの94年のアルバムがHAPPY TOGETHER。このアルバムはレニグラの本気のお遊びアルバムの金字塔でしょう。
■なんとロシア赤軍合唱団とのコラボレーション、当時国家が共産主義から脱却しその存在意義(=資金)を失いかけていた赤軍が小遣い稼ぎに資本主義経済との接触を試みていた頃でした。ガードマンや傭兵になったり、武器の横流しをしたり、色々な方法で食いつなごうと努力していたわけですが、その中でもこの行動は、ある意味歴史的だったのかもしれません。
■レニグラの「トータルバラライカショウ」というライブ(?)フィルムのために共演を果たした赤軍とレニグラが、その続きにスタジオ録音をしたこのアルバム、ストーンズ、ディラン、ZZトップ(!)、ツェッペリン、クラプトン、レイナードスキナード、ビーチボーイズ。。。様々なロックの名曲を彼らのヘビメタチックにぶっ飛んだ演奏と、荘厳なオーケストレーション、そして太くて熱〜い男声合唱でお聞かせいたします。10人編成の楽隊コーラスによって「It Makes Me Wonder」の掛け声が聞ける「天国への階段」は本当に天国に行ってしまいしょうな勢いです。(オトシャベリより改稿)

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Jeanne Moreau / つむじ風 Le Tourbillon

■Jeanne Moreauの60年代から80年代の様々な音源を集めたコンピレーションアルバム。
■Jeanneとは誰もが知っているフランスの大女優。映画「突然、炎のごとく」の中で彼女がくちづさむ曲「つむじ風」が入っている、これがとても心を和らげてくれる。
■あの冷たく気高い顔立ちからは考えられないほど和みな歌声にちょっと驚く。品はあるのだがとても懐が深そうで、音的にも聞き飽きない。涼しげな笑顔でさらっと頬を撫でてくれるような感じがいい。
■他にもボサノバやステファン・グラッペリがヴァイオリンを弾くジャズボーカル曲、そして名曲インディアナ・ソングなど聴き処満載のアルバムだ。(オトシャベリより改稿)

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Extraits Des bandes Originales De Films De Jacques Tati

■これはジャック・タチというフランスの映画監督の「ぼくのおじさん」シリーズを中心としたサントラのコンピだ。原題をExtraits Des bandes Originales De Films De Jacques Tatiという。
■前2作は言ってみればGood Old Americaという包容力のあるイメージによって自分の小さな心の傷を癒そうというものであったが、こちらはかわいらしさを愛することで和むようなもの。例えて言えば、前2作は古女房に気遣われるような、こちらは小さな子供やペットを愛でて抱きしめるような、そんな感じか。
■ロンドやワルツなどのアコーディオンやフィドル、ヴァイヴを中心とした掌編が12曲、多くが1〜3分台のものである。小粋で幻想的な曲が、子供の頃の遊園地での思い出に戻してくれるようだ。

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Karl Denson's Tiny Universe / The Bridge

■元レニクラの、元GreyBoyAllStarsのという紹介が不必要なほどJamBandシーンで名の知れたSAXプレーヤーとなったカール・デンソン。自らのバンドKDTUを率いての2002年の2作目が今までの彼の音楽と違う部分は、ほとんどの曲で彼自身のボーカルが聴けると言うところだ。
■普通、ボーカルものへの転向というと、メジャー志向を如実に意識したものが多い。しかし彼の場合は前作BlueNoteでリリースしたにもかかわらず、今回は自主レーベルに逆戻りしていることも考えると、彼自身の音楽表現が変わってきたという結論に帰結する。別に大衆に媚びだしたわけではないようだ。
■相変わらずの切れのいいビート、ジャズファンク色満載のアレンジ、のっけから疾走するSAX等、誰も近づけないほどクールでFUNKYな世界を描きだしてる。ダンステリアで大音量でトランスしたいアルバムだ。
■聴きどころはChris Wood(Medeski,Martin&Wood)の変態的なウッドベースに天下の(笑)Ronnie Smithのオルガンが絡む#3、Karlの歌も思った以上に巧い! そして#5ではFred Wesly@JBバンドやSkerikら、5本のブラスとラップの対決に、Karl自身のテナーソロが切り込む辺りがとてもスリリングだ。また#6〜7のフルートも良い。彼のバイオを読むかぎりフルートが最もキャリアが長いはずだが、SAXの方が前面に出ているのはちょっと残念である。そして本格的にFredのトロンボーンが堪能できるクールファンクのタイトル曲、アフロビートを現代のグルーヴ感に織り込んだ#11など。
■ヒップホップ人気に甘んじてリズムだけの単調な音やスカスカなアレンジを許容している現在のブラックミュージックシーンとは比べ物にならないほど本格的なFUNKを聴かせてくれる。

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Jo Serrapere & The Willie Dunns /
Tonight at Johnny's Speakeasy

■デトロイトで活躍するフォーキースイングバンド。艶やかでちょっと妖しげな歌声を聴かせてくれるジョー・サラピアー(カズー、洗濯板も担当)を中心にブルーズとカントリーに根ざしたアコースティックな音を聴かせてくれる。バックバンドのウイリー・ダンズは以前はthe Hot Tail Sectionと名乗っており、ドブロやアコギ、マンドリン等のJohn Devineとベース・マンドリン・フィドルのJef Reynolds、そしてドラムのStuart Tuckerの3人。Joは前作はソロだったし、Uncle Earlという名義でアパラチアンフォークのアルバムも出しているので、このバンドがパーマネントなバンドというわけではなさそうだ。
■彼らの2002年のデビューアルバムである今作はミシガンにあるライブハウスJohnny's Speakeasyでの録音を中心にいくつかのライブからピックアップした13曲。ブルースありカントリーあり、オールドタイミーあり、オルタナありってかんじで、女性中心のAsylum Street Spankersのような体裁。Joの歌声が思ったより力強く、BGMとして聞き流そうとしていると、時々ぐぐっと引き寄せられ、そうかと思えば年端もいかない娼婦の笑みのような蠱惑的な歌声に変わったりと気を離すことが出来ません。
■WillieDunnsの男性陣のヴォーカル中心の曲が要所要所に挟み込まれることでさらに全体の流れが引き締まってまったく飽きさせない構成を見せてくれる。6曲目のカントリーバラード、ジョーの歌声が心に染みいる。

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からまつ楽団 / 裏町の月明かり

■武蔵野ぶるーす最高のトリオからまつ楽団を紹介しよう。吉祥寺本町3-14-5にあるからまつ亭という蕎麦屋の主人ジミー矢島さんを中心とするアコースティック3人組、なぜ女性ボーカル特集なのかというと紅一点のわたりべふみさんのボーカルがなんともいいからだ。独特のまったりしたぶるーすを聴かせてくれる。
■2002年5月に出た初アルバムはpiano mixing 推薦文は吾妻光良氏。この名前だけで一聴の価値ありと思った方には絶対気に入ると思います。ちなみにベースはSWINGING BOPPERSの牧裕さん
■疲れた心にじわぁっと染み入るような温かいアコースティックギターの上をゆったり歩くわたりべふみさんの昭和歌謡のようなボーカルがとっても気持ちいい。癒されるとかなごむとかそんな言葉じゃ表現し切れません。熱燗。。。いや、しゃきっとキレの良い蕎麦を食い終わった後のそば湯のぬくもりのような、さすが蕎麦打ち職人のアルバムです。
■ブルース、ハワイアン、アコースティックスイング。。。軽く爽やかにしかし腰のある大人のためのアルバム、本当に大人のためのアルバムです。なんか歌詞を聴いているとしみじみつらくなってきます。
「ねぇはったらいて〜 はったらいて〜 あなたの大切なあたしのたーめーにー」
「やり場のないこの気持ちをー どこへもっていけばいいのー ネオンの色に誘われてー 迷いこんだこの路・地・裏」
あぁもう一杯いくかー!!(笑)

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倉橋ヨエコ / モダンガール

■76年愛知県生まれの倉ヨエちゃんは中島みゆきや戸川純とか椎名林檎なんかお好みでしたらかなりイケます。「南天のど飴」のCFで話題です。
■いわゆる「ネオ昭和歌謡」ブームの中から火がついた彼女、しかしその個性は歌謡的なメロディの中から飛び出さざるを得ない絶叫歌唱の部分であろう。
■はっきり言えばパチモン臭ぷんぷんの和製キャバレーソングのオンパレード、11PMをホウフツさせる声質・声量を無視したシャバダバ攻勢に一瞬眉をひそめたくなるが 「好きと言って、好きと言って、言わないから家を出さない」 「泣き脅して泣き脅して見苦しい愛ですか?」 「私はしがないお人形、つねられても痛くはありません、どうぞご自由に」 などなど、時代はずれのドロドロ演歌風の歌詞に両眉は硬直状態に、そしてスキャットのみの曲になるとB級イタリアお色気映画のような妖しいムードに。。。いったいナンなんだ? と思ったときにはもう一回聴きたくなります。この女いったいどんな恋愛をしてきたのだろう? 場末の風俗嬢に肩入れしたくなるような感覚、たぶん手首に傷があるような。不幸な女に手を差し伸べたくなるような男の浮気心をしっかり刺激しちゃうアルバムです。毒を食らわば皿まで気分で応援してます。

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Janet Klein with Ukulele Accompaniment / Come Into My Parlor

■1920年代の歌姫が21世紀に登場! なんて騒いでいたのもつかの間、いつの間にかレトロスイングの女王扱いの「魅惑のウクレレ・レディ」ことジャネクラさんです。ハリウッドのエンターテインナー一家に育ち、グラフィックデザイナーを本業としています。
■オススメというよりはすでに定番なんだけど、まだ聴いていない人は絶対体験してください。20〜30年代のジャズやブルース、ハワイアンのサウンドをCDジャケ等のヴィジュアルも含め完全復元しています。トーキー映画やコットンクラブ、近頃なら映画CHICAGOなどがお好きな御仁なら必ずいけるはず。
■3枚のアルバムはどれも魅力的なんですが、やはりファースト、他のアルバムに比べ、さらにシンプルでほとんど弾き語りに近い。ぽろんぽろんと爪弾くウクレレにあわせ、淡々としかし陰影をのぞかせながら唄う彼女の言葉に艶気を感じない人はいないはず。時折ハーモニカやアコーディオン等を絡ませた26曲、その歌唱力や構成力もあり、まったく飽きさせずにオールドタイミーな時間を過ごせます。

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キリンジ / 3

■キリンジを聴くと雨の河口湖畔を思い出すのは彼らが山梨在住だからだけではあるまい。「日本のスティーリーダン」と評された堀留兄弟の3作目、現在のところ彼らの最高傑作だろう。
■緻密なスタジオワークを微塵も感じさせないポップな音は現代の日本の音楽の水準をかなり支えているものであろう、しかしスティーリーと比べるにはあまりにも青臭い。スティーリーが都会の大人のBGMの最高峰とすれば、こちらは大学のサークル、合宿の深夜に抜け出したカップルのBGNか?(だから河口湖のイメージなのかしら)。
■それにしても彼らの精巧なくせに甘くて柔らかい音は湿った空によく似合う。この3作目は「グッディ・グッバイ」「イカロスの末裔」「アルカディア」等の人気曲がそろっているが、最も聴きどころはしっとりと温かい「エイリアンズ」だろう。この一曲だけでも聴く価値はある。

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ハワイチャンプルー / 久保田麻琴と夕焼け楽団

■いわずもがな日本のライ・クーダー久保田氏が自前のSwamp精神にハワイアンと沖縄チャンプルーをまったりもったり味つけしてくれてます。
■一曲目からふわぁとしたスティールギターの音色でもう心はサンセットビーチ、やしの木ザワザワして気持ち良い! そしてもったりした細野晴臣のドラムと転がるようなピアノでセカンドライン、腰が立ちません。 ■極め付けが「ハイサイおじさん」。いいですねー、古今東西の腰抜け音楽の集大成ってかんじですね。



Joe Jackson / Joe Jackson's Jumpin' Jive

■ニューウェイヴの旗手ジョージャクソンの'81のアルバム。ジャズがまだ「カーネギーホールで演奏されるような高尚な音楽」じゃなかった時代のJAZZの楽しさを知ってほしいと思い、作ったという。 ■ほとんどがキャブとジョーダンのコピーでかなり自分の楽しみで演じているようなアルバム。しかし、やはり生真面目なジョーのこと、本物よりも「高尚な音楽」になっている。低俗さや猥雑さがクリーンになっている分、現代のPOPSやJAZZのリスナーにも抵抗感がなく最良の入門書となっている。左がオリジナルジャケ、右がリマスター盤。

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Lionel Hampton / Lionel Hampton 1942-1950/1963

■ヴァイヴ(ヴィヴラフォン)奏者としてジャズ界で最初に認められた男ライオネル・ハンプトンはベニー・グッドマンの楽団で人気を博したのち独立し、スイングとはまったくかけ離れた黒人の市井の音楽のミュージシャンとなった。
■それがジャイヴであることは衆知の事実だが、ハンプトンの音はやはり厳密にはジャイヴではない。そこにあるのはグルーヴ感や猥雑さ、滑稽感ではなくグッドマン楽団で身につけた音楽に対する美的感覚であろう。本人がどれだけジャイヴだと主張しようと、リズムがどれだけジャンプしていようと、透明で美しい彼のヴァイヴの音色では踊れない。うっとり聞きほれてしまうからだ。
■彼の1940年代の録音を中心とした中村とうよう監修コンピ。

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Louis Jordan /Louis Jordan 1939-1954

■ジャズでもなくリズム&ブルースでもない。JIVEミュージックのジャンプする魅力をもっともわかりやすく理解するにはルイ・ジョーダンを聴くのがいい。
■時には愉快に時には激しく、また時には優雅にリズムを刻むルイのビートはロックにもソウルにもヒップホップにも発展できる魅力を持っている。
■同アルバムは彼の最盛期39-54年のデッカレーベルに残された音源からの27曲コンピ。中村とうよう監修。



Jimmy Smith / Root Down(Remastered)

■ひたすら熱いグルーヴ、ドラムもベースも沸き上がり、うねるようにリフを繰り返すギターと、地を這うかと思えば突然踊り狂うオルガン。これでもJAZZと呼んでいいのだろうか?という疑問すら感じる暇を与えないで、ジミーはボクらのシナプスを興奮の甘い恍惚に浸らせてしまう。
■ジミースミスの72年のライブアルバム「ルートダウン」は音のアドレナリンだ。ボクらはこのアルバムで音楽で「恍惚」となることを知る。FUNKで快感を知るのだ。JAZZのアルバムに誰が恍惚を期待するのか? しかし流れ出す厚く熱いハモンドは最初の予想と全く違う、自然と腰が浮き立ち、口元から笑みがこぼれてしまうのを体感させられてしまうアルバムだった。
■彼のアルバムは「The Cat」や「Home Cookin'」「Midnite Special」などのほうが有名ではあるが、迫力とグルーヴ感ではこのアルバムに勝るものはないだろう。一曲目から最後まで、怒涛のうねり、まさにトルネードキープレイ、圧巻としか言いようのない67分、これを楽しめなければFUNKもJAZZも分からないだろう。そしてそれは不幸としか言いようがない。
■オルガンという楽器をスタンドプレイの楽器に昇華させた男、ジャズオルガンの第一人者、そして現在も活躍を続ける孤高のファンクオルガニストの最も輝いた一枚だ。

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Johnny“Hammond” Smith / The Stinger

■なんと人を食ったジャケなのだろう。ヘタウマなスーパーマンもどきが中指のリングからビームを発射してる。。。このジャケからはこのアルバムがどんなにクールでどれだけファンキーか、推測不可能なので乱文ながら解説を試みたい。
■1965年に発表されたこの「The Stinger」は彼の後期プレスティージ時代の幕開けとなるアルバムで、ソウルジャズアーティストとしての出発点となったアルバムだ。基本はハモンド・スミスのオルガンにフロイド・スミスのギターとジョン・ハリスのドラムのトリオ。そこに1〜2本のテナー(アール・エドワーズと、アシッドジャズのレジェンドとして再評価されたヒューストン・パーソン)が加わる体裁。オルガンと2本のサックスの熱いバトルか!? という期待は整然と交通整理のされたアレンジによって打ち砕かれるのだが、その緻密な計算によって編み出されたコンダクションによって、(悔しいが)間違いなく腰は動き出す。
■マッタリと甘いリズムで始まる表題曲#1から軽快な#2で次第と緊張は解きほぐされ、ドラムとホーンが炸裂する#3で一気に爆発する。テナーのエドワーズのソロのグルーヴィーなことこの上ない。そしてクールなメロディなのに強いグルーヴを感じさせる#4、抑制された緊張感が快感をイザナう#5をはさんでドラムがはじけまくり、2本のテナーがブロウしまくりのラストへ! ドラッグのような甘く美しい旋律を持ちながらもエロチックに腰を攻めるジョニーのハモンドを一度体験してみよう!



Jimmy Smith / Organ Grinder Swing

■オルガンの神様(笑)ジミースミスの好盤。ボクのようにオルガンジャズは好きだけど、ストリングスの入った甘いやつはちょっとなぁって人には最も適したアルバムかもしれません。65年の発表でギター/Kenny Burrell、ドラム/Grady Tateというトリオ編成。
■「Organ Grinder Swing」というタイトルだけあってグラインドしてスイングしまくってる。タイトル曲の#1、#3「Blues For J」などはウィンウィンと腰が回るのが聞こえそうなくらいだ(笑)。#2のブルーズィな渋さは身体に染み渡り、#5冒頭のジミーのうなり声「Yeah!」には、何がなんだか分からなくなるほど楽しくなってくる。
■名盤・実験作・金字塔などもいいが、こういった心から楽しめるアルバムとともに時を過ごすのが優雅な時間というのではないだろうか? こういうアルバムを聴きながら一人酒を楽しめば、なんとゴージャスな時間なのだろう!

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Lou Donaldson / Alligator Boogaloo

■ここまで有名なアルバムだと説明不要かもしれないが、ルードナルドソンの67年作、ブルーノートレーベル復帰第一段である。メンバーはサックスのルー、ギターのジョージベンソン、オルガンのロニー・スミス、コルネットのメルヴィン・ラスティーSr.、そしてドラムのレオ・モリス。
■ベンソン、ロニー、ラスティらの急成長中の若手(当時)を配してグループを組んだのは「踊れる」音楽を目指したからだろうか、アルバム全体的に深みはあるものの、それ以上にタイトでファンキーさを前面に出している。若者のパワーを十二分に生かした作品だ。
■腰を下から突き上げるようなタイトル曲、オルガンとドラムの抑圧されたグルーヴの上をサックスとギターが踊りまくる#2、オルガンスイングを堪能できる#3、コルネットとサックスのユニゾンが楽しいゴスペルタッチの#5など聴き応え充分。これだけファンキーなスタンダードジャズアルバムは一度は通らなくちゃね

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LONNIE SMITH / TURNING POINT

■ジョージ・ベンソンのグループから始まり、ルー・ドナルドソンの「アリゲーター・ブガルー」のオルガンをつとめたことで一躍注目の的となったロニー・スミス。彼の(実質的な)2作目のリーダー作であるこの69年のアルバムは、前作「Think!」の大ヒットを受けて作られたものである。
■メンバーは彼のオルガンを中心に、日本でも人気の高いトランペッターのリー・モーガン、マディ・ウォーターズ、ボー・ディッドリーらのR&B勢やアート・ブレイキー、サン・ラーらと活躍したジュリアン・プリースター(トロンボーン)、デトロイト出身のサックス吹きベニー・モーピンはマイルス・デイヴィスのバンドで実力をつけ、この作品あたりにはハービー・ハンコックのグループで花開く人だ。リトル・リチャードやサム・クックのバックバンドでギターを弾いていたメルヴィン・スパークスの参加は、ロニーの音をぐっとブルーズに近づけている。ジョージ・ベンソンファミリーからドラマーのレオ・モリスが参加しているのも頼もしい限りである。
■音は全体的に正当派オルガンジャズ。しかもかなりブルージーでリラックスできるスイングを持っている。熱すぎずクールすぎず適度な温度感がナイトクラブで酔いつぶれるには充分すぎる心地よさだ。注目するのはビートルズの「エリナー・リグビー」のカバーだ。マッカートニーの英国伝統的な上品さの上に成り立った光と影を描いたこの名曲を、可能な限りメロウでブルーズィーなR&Bに再構築している。ここに大英帝国の光も影も微塵もない、土臭いアメリカの泥にまみれた市井の息遣いが描かれているだけなのだ。
■そして「エリナー〜」に続く緊張感あふれるタイトル曲がそれまでの弛緩した脳みそを揺さぶってくれる。ミドルテンポにスイングするオルガンの上を3つの管とギターが容赦なく自己主張を始める逸品だ。

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Joe Jackson / I'm The Man

■ジャケットの、まるでちんけなチンピラのような衣装に、人を食ったような表情、それ自体が社会への反発でしかないようなアルバムだが、内容的にはほとんど前作Look Sharp!と変わらない。変わったことといえば、彼自身が録音作業やバックバンドのメンツに対して慣れた事により、より余裕を持って彼らしく歌い上げている事だろう。
■タイトなリズムに乗せて前のめりに唄うジョー、マイナーなレゲェのリズムでさえもPOPに聞こえてしまうのは、彼自身が自信に満ちているからだろうか。音全体がうまく組み合わさっておりノリが良い。シンガーとバックではなくひとつのバンドの音のように思えてしまう。この一体感が次作のBeat Crazyでバンド名義でのリリースになった所以であろう。
■このアルバムはロックンローラー「ジョー・ジャクソン」の最良のアルバムなのだ。そして次作のBeat Crazy以降では見る事の出来ない「若くて」「怒りに満ちていて」「みんなで音楽を作っていく」ジョーを見る事が出来る。こんなPOPで楽しいアルバムは他には無い。それはこの後、数年でジョーがアーティストとして成熟してしまうことで、他人を必要としない絶対的美的価値観を構築してしまうからだ。(オトシャベリより改稿)

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Led Zeppelin / Led Zeppelin

■言わずもがなのツェッペリンのファースト。圧倒的な音量と奇抜な二極対立でブルースやフォークという使い古された「形式」を新たな「美」の範疇に再構築した作品。究極の美しさというものは、聴く者の審美眼(耳)を判断不可能な状態にしてこそ成立するのだということを音楽商業全体にたたきつけた歴史的逸品だろう。
■ペイジ・ボナームらによる決壊したダムのような情報量の前では、人は心の扉を開放するしかあるまい。無血開城された精神を力づくで揺さぶるプラントの叫びに意味があるのかないのかは分からないが、それこそロックの醍醐味だ。

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John Lennon / Plastic Ono Band

■アガペーへの欲求自体、性欲と同じようなエゴでしかない。ルサンチマンやねたみと遜色のない単なる利己である。しかしそれらを恥ずかしげもなく(それも金を取って)吐き出せるところにジョンの偉大さはあるのだと思う。
■ポールに対する恨みを歌にしてしまったHow Do You Sleep?と同じくらいMotherは、Godは、I Found Outはみっともない。むしろ唾棄すべき内容だ。
■しかし、そのような忌諱される本能的な葛藤をあえて外部にさらしてしまえるレノンと、彼に代弁させる聴取者がいたからこそ成立した名盤だ。邦題「ジョンの魂」とは巧いもんだ。

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King Crimson / In The Court Of The Crimson King

■完璧といえる演奏技術に裏打ちされた大迫力と、塵芥すらその衣擦れを叱責されそうな静寂の対峙の中に潜在する究極の美、絶えず繰り返される諧謔的なテーマのメタモルフォーゼ、そんな判断不可能な状態において人は正常でいられるだろうか? 
■彼らは絶対狂っている、ロバートフィリップこそ20世紀の精神異常者なのだろう。気狂いの道化師と紙一重の天賦の才による美への飽くなき追求に付き添ってしまった聴取者は、21世紀の精神異常者に成り下がってしまうのであろうか? いやそれこそが突きつければ個人的な幸福の不可視な形なのかもしれない。

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James Taylor / One Man Dog

■時代に残った名曲「You've Got a Friend」と収録アルバムで不動の地位を築いたジェームス・テイラー、一躍スターダムにのし上がったポップスターの「次回作」に対するプレッシャーは相当強いものだったのであろう。
■周囲の期待という苦しみから彼が出した結論がこの72年の「ワンマンドッグ」である。商業的には地味な作品として扱われてしまったのであるが、今の時代に聴くとなんとも心に染み入るアルバムとなっている。ショウビジネスのカリスマとなってしまったジェイムスの結論として、このアルバムで表現されているものは「自分自身の歩幅で歩く」という決意だった。
■信じあえる仲間たちと一緒に、自分の本当に表現したいモノを歌う。ヒットチャートや周囲の期待に振り回されることなく、自分の信じた音楽をするということはなんと難しいものだろうか、彼はとても悩んだに違いない。しかしいつかどこかで吹っ切ったのであろう。それが分かるのはこのアルバムに込められているテイラーの優しい歌い口だ。ここまで優しくなれるのは並大抵ではない苦しみを乗り越えた強さが必要だ。音楽に誠実である、そういう決意がこのアルバム全体から感じられる、だからボクは「ワンマンドッグ」を信じることが出来る。

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John Miller / Hey There

■こんな音を優しさと言うのじゃないかな? John Millerの2003年の新作Hey Thereのことだ。25年ぶりのソロアルバム、全編フィンガーピッキングのギターの弾き語り。ほとんどスタンダードのカバーってあたりが情報か? そんなことはどうでもいいくらいに優しい音だ。
■25年前の作品と比べるのも野暮ったいが、若干歌声が後退してギターの音色が中心に聞こえるような配置になっている。高音のピッキングが朝露のようなさわやかな美しさを見せ、その後ろでちょっぴりくぐもり気味に聞こえてくるジョンのボーカルが湿気で曇ったガラスから暖かい室内の灯を見つめるようなそんな風景画になる。
■一曲のオリジナルを除いて全てカヴァー。どれも何年も奏でなれた曲だと言う。2曲のHoagy Carmichaelのインストゥルメンタルは儚げだが時折、芯の強さを垣間見せる女性のようだ。Bye Bye Blackbirdの親しみやすさ、Hey Thereの体温のような感触、そしてMoon Riverの素朴な美しさはジョンならではだろう。
■Biding My TimeとHey There、その間にジョンの前には様々な物事や人達が通りすぎていったのだろう。しかし、時の流れに左右される事のない彼の優しい音色は何時の時代にも耳を傾けるものの心や身体をそっと温めてくれる。本当に至福の時だ。



John Miller / How About Me

■ジョン・ミラーのフィンガーピッキングの素朴さは人の心にじわじわと染み入ってくる。小粋なくせに気取っておらず、温かい。体温が直に伝わってくるような演奏だ。
■ほとんどがギターとヘタウマなボーカルだけなのだが、そこに人間の真実が見え隠れする。都会の狭間の安堵感的な時間をくれる。タイトル曲の「HowAboutMe?」は「ホワイトクリスマス」の作者であるアーヴィング・バーリンの名曲なのだが、ジョンの手に任せると大げさな大曲には思えない。人としての等身大の音が聞こえてくる。
■彼が南部の泥臭さから脱却した記念碑的作品。74年作。これ以降のジョンは全ていい。



John Miller / Biding My Time(ガーシュインでスイング!)

■フィンガーピッキングのギター奏者として活躍したジョン・ミラーの1979年の作品。全曲ジョージ・ガーシュインの曲をフィーチャしている。
■一見、地味ともいえるギターと彼自身の歌声オンリーのアルバムであるが、曲自体の秀逸さと彼の軽やかでかつ湿り気のあるピッキングがなんとも心地よい。巧いとは言えないが愛情のこもったその歌声も、聴くものを夜船の世界へいざなってくれる。
■これ程ひそやかでゆったりとした音を聴きながら時を過ごすのなら、それは考えうる限りもっとも贅沢な遊びひとつであろう。そろそろ個人名義の新作を期待したい。

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Jim Kweskin Band with Samoa Wilson / Now And Again

■60年代末にジャグバンドブームを引き起こし、ジョン・セバスチャン、マリア・マルダーらを世に送り出した伝説のジャグバンドのリーダー「ジム・クエスキン」の2003年の最新作。
■全体になだらかで穏やかな時間が流れていくフィドルとピアノがゆっくり流れてゆき、そこに全てを達観したような迷うことのない老人の喜びに満ち溢れた歌声が響いてゆく。
■デュエットの美女サモア・ウィルソンとの関係も決して男女ではなく、お互いを尊敬し尊重し合える師弟のような真摯な態度だ。クエスキンの様に歳を取れたらいいだろう。大らかで緩やかで人生を楽しめる音楽。そんな時を感じたいならこのアルバムだ。

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John Pizzarelli Trio / I'm Hip(Please Don't Tell My Father)

■ジャズギタリスト、バッキー・ビザレリの息子ジョンの23歳の時のデビューアルバム。'83年作。
■いわゆるアコースティックスイングブームに乗っての再評価であるが、実は普通に有線のJAZZチャンネルなんかで流れているようなBGM。ギター・ピアノ・ベースのトリオで小粋なスイングを繰り広げてくれるが、本人の血統の良さゆえだろうか、デビュー盤にしては主張やアクや気負いがほとんど感じられない。そこが小気味よさを完璧なものにしている。
■決して「この一枚」という存在にはならないが、流していて気持ちの良い音。いい感じ。甘いマスクも主張がなくてよい(笑)。

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Joe Jackson / Body & Soul

■静寂をぶっ潰すバスドラムの響き、そして凛と聳え立つような堂々としたホーン、それらに支えられてたちあがるJoeの苦汁の叫び「Verdect!!」。荘厳な初章に引き継がれる不穏なダンスナンバーCha Cha Loco。美しいバラードによって沈静化された感情を一気にまくし立てる、焦燥感を煽るナンバー You Can't Get What You Want。
■一曲一曲がすばらしいが、それよりもなによりも、聴くものを捕らえて離さないのは構成の美だ。完璧主義者ジャクソンの性向が十二分にでたアルバムといえるだろう。コンセプトアルバムとしての完成度は、数少ないプログレの名盤に比肩しうる。とても靜かで地味なアルバムであるが、その完璧さへの追求においえてはナニモノにも負けないアルバムである。美しい。

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