オトススメStoU






S.O.S. Band / Sands of Time

■高校のころから大好きだったミネアポリスサウンド。ジャム&ルイスプロデュースによる、あのチャカチャカ音です。発表は86年、Janet Jacksonの「Control」とCherreleの「High Priority」、そしてこのアルバムとJam & Lewisが次々に名盤を輩出し、黄金時代を作ったその一枚であります。
■いつ聴いてもゴージャスでダンサブル、おおらかなリズムとひんやり心地いいボーカルがゴールデン80'sに浸らせてくれます。ドライブにも最適。



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Talking Heads / The Name Of This Band Is Talking Heads

■初CD化の「実況録音盤」。77年のメジャー・デビュー直後のライヴと、80年の『Remain In Light』発表後にニューヨークでのLiveの模様を収録した2枚組、82年発表。
■アナログがすごい価格で取引されていたようだが、たまたま知って買ったのでありがたみはよくわからない。ただ77年・80年のこのアルバムと83年録音のStop Making Senseを聴いていくとその技量のすごさと演出力やパフォーマーとしての能力がどんどん上がっていくのがよく判る。
■一枚目はがむしゃらなパンクだなーって感じだけど、2枚目になるとスタジオ録音と同じようなクオリティになっていく。そしてStopは何物にも変えられないバーンワールドを見せ付けてくれるようになる。はっきり言えばこの2枚は単なる記録で歴史の一部かもしれないが、Heads好きならほほえましく楽しめる作品だろう。12曲も未発表が増えて、却って中だるみがちなのが多少残念。



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竹内まりや / Expressions

■いわずもがなの「シンガーソング専業主婦」まりやさんベストアルバム。RVC時代とその後の両方を収録しているので買ってしまった。
■やっぱり「VARIETY」のころが一番好きだな、アイドル時代の「戻っておいで〜」や「五線紙」なども無意味に目頭が熱くなります。
■それにしても30年、ほとんど声質がかわらないのもびっくりです。



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土屋アンナ/NUDY SHOW!

■アンナはJ-waveでヘビーオンエアされていたGINGER目当てだったのですが他の曲もなかなか。一部重いバラードは若い人向けですが、それ以外は90年〜現代R&B/HIPHOPシーンぽくっていいです。
■英語の曲かとおもっていた曲がよ〜く聞いたら日本語だったなんてお茶目さもグッド。出勤時などのアクティヴになりたい時にアンナはグッドです。



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3 Tora Hot Club / 3 Tora Hot Five

■名古屋は大須のOYSという小さなライブハウスが作ったレーベルからデビューした3 Tora Hot Clubだ。
■Janet Klein名古屋ライブの前座をやっていた彼ら(てことは俺見たのかな?)はギター、トロンボーン、ドラム、バンジョー&カズー、ウッドベースの5人組。デビューアルバム3 Tora Hot Fiveはジャイヴやブルーズやジャンプの雰囲気とメロディを日本語にアレンジしている。
■えーっと、なんというかHoosier Hot Shotsみたいな感じかな。バンバンバザールのデビューって程には斬新ではない。でもなんか和む。亡くなった高田渡さんが若かったらこんな感じかもって気もする。別にあってもなくてもどうでもいいけど、有ったらちょっぴり幸せが増えるかも。ぼーっと聞いていると馴染んだメロディがそこかしこに。コピーライツってどうなっているんだろう?って不安になるのであまり有名にならない方がいいかも。そんなことどうだっていいか、まあ和んでおけや。



テリー&フランシスコ / Terry&Francisco

■2006夏、結構きいたテリー&フランシスコです。日本人です。若者です。2006年デビューです。しかしなんというか懐かしい感じの音です。70年代ウエストコースト?って感じ。ネッド・ドヒニーとかJDサウザーだったりティンパンアレーのようなシティポップスだったりと。
■最初に聞いたのはJ-waveでのスタジオライブだったのですが、実にJ-waveらしい音で30代にはぴったりでした。カラオケで唄っても結構気持ちいいですが、Aメロ、Bメロ、Cメロ?、、、Dメロ、Eメロかよ! 聞くにはいいが売れないなあって感じで。

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Taj Mahal / Giant Step/De Ole Folks at Home

■Taj MahalはRy CooderやJesse Ed DavisとRising Sunsというバンドを組んでいた黒人ブルーズマン、69年に発表した二枚組のこのアルバムでブルーズアーティストとしての評価を定着させた。
■ 普通僕らが思う「ブルーズ」はB.B.キングやマディー・ウォーターズ、近藤房之助などのようなエレキギターをグイングイン弾きまくる暑っ苦しい黒汁音を想像しがちだが、タジの音は土の香りのする乾いた音だ。 アコギとドブロを中心とした、クラシックブルース調のサウンドは、さながらスワンプロックやウッドストック系のような肌ざわり。ブルーズを基盤としつつもラグタイム、ジャズ、トラディショナルフォーク、ファンク、カリプソ、レゲエ、ハワイアンと各地のルーツ音楽を探求していく姿はさながら黒いライ・クーダーである。
■ モンキーズのカバーであり、ボビー・チャールズの「Small Town Talk」と並び称される口笛名曲の「Ain't Gwine To Whistle Dixie (Any Mo')」で始まる1枚目(LPでは2枚組だっ た)は「GIANT STEP」というタイトルでタジのドブロ&アコギと、ジェシ・エド・ディヴィスのギターを中心にベースとドラムでアーシーでスワンプなバンドサウンドを聞かせてくれる。また2枚目は「DE OLE FOLKS AT HOME」は アコギの弾き語りでしみじみとトラディショナルフォークやカントリーブルーズを奏でている。
■ 声的にもそうだが、タジの曲は黒人っぽくない。前述のボビー・チャールズなどのほうがよっぽど黒人っぽい。スワンプとかアーシー、ウッドストックなどという言葉が出てくるあたりがすでに白人音楽の解説のようだ。白人の中で白人の目線で黒人音楽を聴いて育ってきたのではないか? そう感じさせるものがある。
■ そういう部分も含めて、このアルバムは決してブルーズの名盤とはいえないが、アメリカ音楽全般でみれば間違いなく不朽の名作だと言える。ここからTajワールドが始まり、ここに極まっているといえる。

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鈴木博文 / 無敵の人

■いままで聴いた音楽の中でもっとも誠実さを感じたのは、鈴木博文さんのデビューソロ「無敵の人」である。フーちゃんこと鈴木博文さんは、日本一活動歴の長いPOPバンドムーンライダースのメンツで、リーダーの鈴木慶一さんの弟でもある。音楽的には兄・慶一の音の方が好きだし、ムーンライダースの方が全然良い。
■しかしこのアルバムを聴くと、とても自分の中途半端さが恥ずかしくなってくる。フーちゃんはまっすぐ自分のやることを決めている。自分が何に対して誠実であろうとしているのか、それが分かってるのではないだろうか。
■「何かがいらなくなった時 どこかへいきたくなった時 ぼくはすぐ夢を捨てる」フーちゃんはいさぎよい。それは覚悟を決めてしまった人だけができる誠実さだ。
■兄についてバンドに加わり、30も過ぎた、そんな時期に発表したソロは、もう迷うことなく、自分の信じた音楽を追及する、一生自分(のリスナー)に対し、決して恥ずかしくないような音楽だけを作っていく。そんな覚悟を宣言するようなアルバムである。だからとても自分に対して誠実な立ち位置にいるのだろう。送り手の誠実さは必ず受け手に伝わる。

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Sippie Wallace / Sippie

■1970年に発作で車椅子生活を余儀なくされたSippieのカムバック作としてということよりも、Bonnie RaittとSippieのコラボレイト作として有名なこの小品は、戦前JAZZ&ブルーズがそのまんま現代によみがえったようなおおらかで優しいアルバムだ。
■ 1982年レコーディング、翌年発表のこの作品にはWoman Be Wise、Up the Country Blues 、I'm a Mighty Tight Womanほか、彼女の往年のヒット曲が所狭しと並んでいるまさに再録ベスト盤といえる。もちろん彼女の最盛期である1920年代の歌声とは艶も張りも比べ物にならないだろう、しかしそこには数十年自分の血肉となって唄いこまれてきた歌たちの懐の深さが感じられる。
■ 84歳にもなり、再びマイクと対面したSippieは何を思ったのであろうか。どれだけ聞き込んでもこの歌声には10年以上のときを経たカムバック作という気負いもなければ、現代の音楽事情に歩幅を合わせようとする努力も感じさせない。自分がつちかったものをありのまま唄う、そういう姿勢をSippieが貫けたことは、彼女を再び歌の世界に連れ出したBonnieをはじめ、ミュージシャンや関わってきた音楽産業界の人間たちの理解と愛情、そして尊敬があったからだろう。飾らない音のよさをとても分かりやすく体験できるこのアルバム「Sippie」は間違いなく名盤である。
■ W.C. Handy Awardの年間ベスト・ブルース・アルバム賞受賞、またグラミー賞のトラディショナル・ブルース部門のノミネート作品ともなったこのアルバムを録音して4年後、彼女は波乱万丈の人生を終えることになる。 Sippie Wallaceのバイオグラフィーはこちら→http://bluesbio.exblog.jp/1868086


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Soulive / No Place Like Soul

■Souliveのデビューアルバム『TURN IT OUT』はすばらしいアルバムだった。私のこのWebsiteはSouliveとGalacticを紹介するためにはじめたようなものだ。99年3月に活動開始したSouliveはわずか6ヶ月でアルバム『TURN IT OUT』を発表し。インディーズながらもNYタワーレコードのジャズチャートで堂々3位を記録した。
■オルガン、ギター、ドラムという最小ユニットでとことんまで贅肉を減らしてもなお熱く厚いグルーヴはジミースミスやロニー・スミス、ジョニー・ハモンド・スミス(オルガニストはみなスミス?)など往年のオルガンファンカーをぶっ飛ばしても余りある才能を感じさせた。2作目、ブルーノートからのメジャー作品『Doin' Something』もそう、同じテンションだ。そして3枚目『NEXT』ではゲスト参加だったホーンを正式メンバーとしてさらにファンク度が増した。禁欲的なファンクからゴージャスなエンターテインメントを目指した彼らだったが、結局数年で元のトリオに戻り、セルフタイトルのライヴアルバム『Soulive』を発表している。
■さて、ここまでだ。彼らの最高のアルバムは一枚目とライブ盤といわれている。最初のコンセプトが大成功し、広げてみたがやっぱり戻ったというところだろ。通常はここで金太郎飴的な職人バンドになっていくのだろう。しかし彼らは違った。大胆な試みをはじめたのだ。というのもボーカリストを入れ、ボーカルメインのアルバムを作りはじめたのだ。
■ボーカリストを入れたということはどういうことか? ジャズファンクトリオではなくR&Bのボーカリストとバックバンドになるということだ。動機は? よくわからん。ボーカリストを正式メンバーにした『No Place Like Soul』は確かに良く出来たブラックソウルアルバムだ。しかしあの火花が散るようなスリリングなジャムセッションを求めていたファンは肩透かしだし、第一良くできてはいるが年に数百枚発売されるソウルアルバムの一枚でしかない。
■ワンアンドオンリーだったオルガンジャムバンドがなぜ一般のR&Bグループになろうとしているのかを是非知りたいものだ。それともコレが単なる遊びの中のひとつで、飽きたらまた元に戻るのだろうか? そのあたりは良くわからない。
■Soulive自身、実は普通にやっていたらワンアンドオンリーと言われたのかもしれない。そして独創的な試みなはずだったボーカルメインのジャムバンドを企てたらスベっているだけかも。。。そのあたりは想像しかできないが。

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Steve Gadd / Gadd About

■Gadd唯一のソロリーダーアルバム。人気爆発直前のDave Matthewsがプロデューサー。この後MJQを通じてDaveとGaddはコラボレイトをしていく。
■Stuffやこの後のGadd Gangとは違ってかなりソフィスティケイトされたこのアルバム。あまりにも洗練されていて、ドラムよりも曲全体を大事にしていることがよく分かる。
■小気味いいリフの一曲目から始まり、全員の息の合っているところがよく分かるMy Little Brother 、我が子に捧げたDuke(Gaddのスキャット入り!)、そしてTeeのフェンダーが美しいバラードLeavin' Tonightまで、どれも素晴らしくキマッている。最高。

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STUFF / STUFF

■ティーが世の中で注目されるきっかけとなったのがこのセッションバンドSTUFFだ。70年代中盤から80年代初め、フュージョンという音楽ジャンルの幕開けを担った彼らの音楽史上での功績は大きい。
■STUFFのメンツはリーダーのVan MacoyのhustleやJBsで名を知らしめたGordon Edwards(B)、King CurtisのバックメンバーだったCornell Dupree(G)、George BensonやHank Crawford、Bob James、Quincy Jones等々数え切れないほどのバックを勤めたEric Gale(G)、Brecker BrothersのドラマーChristpher Parker(Dr)、11歳のときにDizzy Gillespieと一緒に演奏したというStephen(Steve) Gadd(Dr)、そしてAretha FranklinやRoberta FlackのセッションミュージシャンとしてMotown中心に活躍してきたRichard Tee(Key)の六人。
■彼らの音楽スタイルは前身となるグループ「the Encyclopedia of Soul」から「Stuff」に変わった1975年に出来上がる。翌76年に発表された1stアルバムStuffはまだフュージョンという言葉が安定していない時代のFusionのベストアルバムの一つだ。今聞くとCrusadersやAlDiMeora、そして日本のミュージシャンたちが確立したFusionというジャンルらしくはない。どちらかというと都会派R&Bのインストルメンタルという風だろう。
■自分も初めて彼らのアルバムを聴いた中学の時はFusionの括りのバンドだとは思いもしなかった。Fusionの軽さ、涼風のような心地よさが感じられない、もっと力強くてもっとねっとりした音感を汲み取ったのだ。それはたぶん、Teeのモータウン仕込みのゴスペル風ピアノの印象が強かったのだろう。そしてJBを体験しているGordonのベース、リズム隊の二人がR&B世界の人間ならおのずと黒光りした音になるというもの。

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Stuff / More Stuff

■2ndのMore StuffなんてSoulアルバム以外の何モノでもない。上記のVan McCoyをプロデューサーに迎え、Stevie WonderのAsをカバーしたり、ゴードンとティーがヴォーカルを勤めたりと、ブラック向けのアプローチが強まっている。そのためリズムが強調されギターが泣くようになり、他のバンドとの差別化が完成したように見える。
■ファンキーなThis One's For Youやギターの力強いSubway、Tee以外には出しえないピアノで始まるSometimes Bubba Gets Down、そしてこれもTeeの独壇場のようなフェンダーローズを生かした浮遊感あるAs。そして前述のボーカル曲。彼らメンバーのソロも含め、これ以降の彼らの音作りの指標がここで固まったように思える。

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Stuff / Stuff It

■そしてスタジオラストアルバムであるStuff It。4曲もボーカルものがあるだけでなく、きちんとしたコーラス隊とホーンセクション・ストリングセクションを従え、George YoungやRonnie Cuberらのソロ・プレーヤーもゲスト参加するなど、まさにソウルアルバムの様。
■曲もOrleansのDance With MeだとかSpinnersのMighty Love、S.WonderのLove Having You AroundなどSoul/Danceムーヴメントへの色気たっぷりである。確かにこういう音にGaddとGordonのねっとり黒光りするリズムは合うし、Cornellのギターの泣きっぷりはハマりまくる。しかし、なんかここまで来ちゃうとStuffじゃなくてもいいという感じが否めないのが、このアルバムがイマイチ名盤として残らない理由であろう。
■ただし、どの曲も素晴らしくいい演奏になっていることには変わりはない。たぶん、前2作がヒットして予算が付いたことで、一度やってみたかった贅沢な音作りをしてみたというのが実際のところなのだろう。

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Stuff / Live Stuff

■ライブ盤だ。公式には2枚のライブアルバムがある。最初のほうはLive Stuffは1978年東京の郵便貯金会館での録音であり、日本のみの発売である。Chris Parkerが参加しておらず、ドラムは完全にGaddのものだ。
■全6曲のうち持ち歌は3曲のみで残りは三度Stevie Wonderの曲でSigned, Sealed, Delivered I'm Yours。Junior WalkerのメドレーもGaddのドラムソロを含めて7分ほど、そしてトラディショナル曲。どれも自分たちの音にし尽くしてしまっているのが驚異的である。

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Stuff / Live In New York

■そしてワールドワイドには唯一のライヴアルバムであるLive In New York。これは彼らのホームベースであるNYの、そのまた本拠地として、スタジオワークの憂さを晴らすためにライブをするところとして定着していたミケールズという小屋での演奏だ。前述のLive Stuffが遠征公演というプロフェッショナリズムだとすれば、こちらは肩の力が抜ける勝手知ったる我が家での演奏。もちろんいい音になるに決まっております。 ■こちらはメドレーでAin't No Mountain High Enoughをやっている以外はすべてオリジナル曲。それも一曲目のSometimes Bubba Gets Down以外はすべて未発表曲という力の入れよう。6曲目のDuck Soupのように後で自らのソロに入れてしまう(Dupreeが91年のアルバムで再演)ほどのものもあり、ライブでの捨て曲では決してない。 ■実はこのLive In New York、個人的には最も好きなアルバムである。スタジオ盤よりファンキーな1曲目、グルーヴィとしか言いようのない2曲目、ツインドラムとギターのリフの絡みがスリリングな3曲目、一転してくだけたShuffle、オープニングのドラム対決から興奮させられっぱなしのテーマ曲、ねちっこい黒汁を撒き散らすDuck Soup、そして亡きVan McCoyへのトリビュート曲であるThe Real McCoy(決して感傷的な曲にならないのがいい!)。どれもStuffの一番美味しいところをパッキングしたようだ。マジ最高のアルバムです。ベストオブスタッフとして一生聴いていきたいものです。

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Stuff / Now

■今思うと日本におけるフュージョンのイメージはカシオペアやTスクエア、ボブジェームスやアールクルー、グローバーワシントンJr等を代表とするメロディアスでムーディあるいは軽くドライブ向けな音楽のイメージが強い。
■それはそれで日本人ユーザーの好みがそちらへ行っているということで責めるものでもなんでもないが、フュージョンの創生期をになったSTUFFの音楽も是非聴いていただき、本場のフュージョンが何を目指していたのかも理解していただけるとうれしい。リズム&ブルース的な黒いうねりとジャズの持つジャムセッション的・インプロビゼーション的な部分、ロックやソウルが持つわかりやすいメロディ、そんなものが「ごちゃ混ぜ」となったのがフュージョン=ごちゃ混ぜだったのだろうということを。
■現在同じ様なジャンル横断の他流試合の流れがJAMBANDというムーブメントとして現れている。彼らの今後を見る上でも大切な先駆者の歴史としてもSTUFFの歴史は是非聴いてほしいと思う。
■下の定番ベストとこちらの最新ベストどちらでもよいが重くうねるグルーヴ、圧倒的な技術力、美しいメロディ、それらを体感するとともに時代というものも見つめなおしてほしい

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Stuff / The Right STUFF(コンプリートスタッフ)

■今思うと日本におけるフュージョンのイメージはカシオペアやTスクエア、ボブジェームスやアールクルー、グローバーワシントンJr等を代表とするメロディアスでムーディあるいは軽くドライブ向けな音楽のイメージが強い。
■それはそれで日本人ユーザーの好みがそちらへ行っているということで責めるものでもなんでもないが、フュージョンの創生期をになったSTUFFの音楽も是非聴いていただき、本場のフュージョンが何を目指していたのかも理解していただけるとうれしい。リズム&ブルース的な黒いうねりとジャズの持つジャムセッション的・インプロビゼーション的な部分、ロックやソウルが持つわかりやすいメロディ、そんなものが「ごちゃ混ぜ」となったのがフュージョン=ごちゃ混ぜだったのだろうということを。
■現在同じ様なジャンル横断の他流試合の流れがJAMBANDというムーブメントとして現れている。彼らの今後を見る上でも大切な先駆者の歴史としてもSTUFFの歴史は是非聴いてほしいと思う。
■上の最新ベストとこちらの定番ベストどちらでもよいが重くうねるグルーヴ、圧倒的な技術力、美しいメロディ、それらを体感するとともに時代というものも見つめなおしてほしい

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Stuff / Made In America

■最後に一つ、Teeの死後、旧Stuffの面々が集まり、Teeを偲ぶアルバムを作った。一度きりに再結成だ。Keyを担当するのは若手のJames Allen Smith。彼の繊細で美しいピアノも素晴らしいがやはりTeeの力強さにあわせて作られた曲・アレンジ、なかなかに欲求不満になるところはあります。何も知らないで聴けばいい作品かもしれませんが。
■この後、Galeも亡くなり、絶対再結成できなくなった彼ら。あろうことか、Gordon(b,vo)とDupree(g)を中心に全く新しいバンドとして活動しているらしい。まあいつか聴いてみようとは思う。

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Smith & D'abo / Smith & D'abo

■Dave Clark FiveのMike SmithとManfred ManのMike D'aboの2人のマイクによる唯一のデュオアルバム、76年発表。
■AORというと西海岸のおしゃれな音を思い浮かべそうだが、イギリス産AORの名作と断言できるこのアルバムはちょいと違う。全然ムーディでもおしゃれでもない。どっちかというとPOPさにあふれている。それはビートの強さだろうか、それともAORなんてモノよりもっと黒い音を夢みていたからなのか?
■今で言うとBen Folds Fiveっぽい。たぶんAORというのではなくPOPなUKビートをソウルフルにしようとした結果なのだろう。数年後にブルー・アイド・ソウルと呼ばれるようになる音の原型を見た気がする。ソウルフルでジャズっぽくでもどうしようもなくPOPなこの2人の音に多くの人が触れてくれることを望む。

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Squeeze / Greatest Hits!

■たしかにスクィーズをパブロックの範疇で紹介すると誤解を呼ぶのかもしれない。77年、初めて「ニューウェイヴ」という単語が使われたとき、XTCとともに紹介された彼らの音はチープなテクノサウンドを中心としたポップソングが詰め込まれている。しかし彼らが歩んできた道は純然たるパブサーキットなのだ。
■それは売れなかっただけなのかもしれない。ヒット曲もなくXTCのように神格化もされることなく、ただひたむきにポップソングだけを作り続けてきたティルブルックたち。売れなくて解散、しかし3年後に再結成、そしてやはり売れない。なんなんだろ、この人たちはやはりただ単にポップソングが好きなんだろうな。
■刺激のない音、親しみやすくそしてユルく楽しめる温泉ポップス。ぜんぜん残らないよ。このベストもデビューからの15年が詰まっているのに全然感慨も何も生み出さない。単なるPOPS、それだけ、本当にPOPなだけの愛すべきヤツラなのです。

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下田逸郎 / GOLDEN J-POP/ THE BEST

■下田氏を知ったのは中学の頃、甲斐よしひろのラジオショウだった。淡々と語る「セクシィ」や妙に吹っ切れたようなのほほんとした歌い口調で"廻るベッドの上、灯りは少しだけ、鏡で揺れながら抱き合うだけだよ〜"と唄う「ラブホテル」がとても印象的だった。
■優し気でちょっと淋しげなダンディズム、フォーク世界でもっとも女に持てそうな男。たぶん、この淋しさからくる頼り気のなさと長髪の甘い美顔のバランスが女に尽くさせるんだろうなぁと感じさせる、勉強になる(笑)。
■基本弾き語りにさりげないバック演奏が付く。本人の芸歴は斉藤ノブとのコンビでデビュー、東京キッドブラザーズ音楽監督としてNYオフブロードウェイにてロングランを経て帰国後71年にフォークシンガーとしてデビューしている。2ndアルバムはNY録音らしい。その後も各国を漂流しているようだ。
■全く音楽イメージとそぐわない経歴だが、そんなバックボーンを敢えてフォークソングに封じ込めるということは何かがあるのかもしれない。もっともっと聞き込むべき音だ。
■上記に曲以外には疾走感のある哀しさを感じさせる「恋に生きる女」、加藤和彦っぽいエキゾチックサンバ「ドン・キホーテ」、弾き語りライブ録音で淋しい女心を唄う「踊り子」等。叙情派フォークと異国感が渾然一体となったベストアルバムです。

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Southern Comfort / Southern Comfort

■サザン・コンフォートの2作目72年の作品だ。マシューズ・サザン・コンフォートからサザンコンフォートとなってどう変わったかはマシューズのほうを聴いていないので良くわからないが、このアルバムはとても心地いい。
■ソフトロックとフォークとがブレンドされたような爽やかなサウンドもそうだが、最大の魅力は3声によるユニゾンハーモニーだと思う。アメリカだとこのユニゾンが広大な原野を彷彿とさせるカントリーチックになるのだろうが、そこがトラッドの国イギリス、原野ではなく瑞々しい緑の芝生を連想させる。
■途中途中で効果的に挟み込まれるストリングスのインストや(ちょっと滑稽だが)小鳥のさえずりの効果音も含めて全てが田園風景に誘われる。さりげない幸せを垣間見たような気がして安堵感を感じてしまう。ちょっとした息抜きのような、名盤って銘打つほどじゃないけど大切にしたい一枚だ。

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渋さ知らズ / 渋旗

■これをチカラワザといわないで何をいうのであろうか? 総勢25名のミュージシャンによる怒涛のような音の嵐、音音音なのだ。どこにも隙間はない音の壁。それが渋さのライブだった。
■ライナーによるとそこに蛍光色のラメラメダンサーたちが絡んでくるようなので、ステージの上は混沌坩堝、ステージの下は音と情欲と本能のカタストロフィになっていたことであろう。
■このアルバムはたぶん、良いのだろう。演奏も上手いのだろう。旋律も綺麗なのであろう。しかし!そんなことはわからない、すべてこの音の壁の下では判断不能になってしまう。後は音にひれ伏すしかない。

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Terri Hendrix / Live

■テリヘンの99年のテキサスでのライヴ。この人ってカントリーなのに、カントリー独特の厚ぼったさがないんだよね。カラとしてて、どちらかというと当世流行のアコースティクなんとかって感じ。その良いとこ取りっぽさがなかなか良い。
■まだまだ幼さの残る声で楽しく弾き歌うテリのライヴは誰もが乗せられて楽しい気分になってくる。はじけてる感いっぱいです。
■#4が特に好き、歌の合間の台詞っぽくつぶやく部分がとても魅力的です。
■ただちょっと幼さ故か途中で飽きが来るのも否めない。セカンドアルバムだから仕方ないか、今現在の成長をこの眼で見てみたい、そして一緒にはじけてみたいです。

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Uncle Earl / She Went Upstairs

■「21世紀のヘイゼル&アリス」と呼ぶのはブルーグラス/カントリー専門レコ屋のBOMサービス。カントリーのことは良くわからないが、Uncle Earlのハーモニーの美しさは良くわかる。
■アンクル・アールはブルーグラスの女性若手シンガーのK.C. Grovesと先日紹介したJo Serrapereのツインボーカル/ギターを中心にフィドルやバンジョーなどを絡めた女性ばかりのオールドタイミー・ユニットで、アパラチア地方のカントリー/フォークを中心に12曲演奏している。
■どの曲も聴きどころはK.CとJoの歌声。曲によって主従を替えつつ、美しいハーモニーを聞かせてくれる。フォーク/カントリーの民謡とはいっても多くは現代的なアコースティックアレンジの解釈がなされており、古臭さを感じさせない。中でも聴きどころはJoのコンポーズしたOrphan Trainの美しいメロディ、フィドルだけをバックにJoが独唱するLost Child、そしてミディアム調のOver in the Glory LandでのK.Cの温かい歌声にハーモニーが重なるあたり、などなどとても魅力的。やはりJo Serrapereからはしばらく耳が離せない。限りなく素朴で美しいアルバム。必聴!

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UA / Fine Feathers Make Fine Birds

■どんなアーティストでもその絶頂期のライヴというものはいいものだ。UAのこの96年のライヴもそうだ。そんじょそこらの黒人には負けないほどのソウルフルなボーカルを縦横無尽に使いきり、バンドとの連帯感を嫌が応にも見せ付けたこの2枚組。
■代表曲の一つ「太陽は手に月は心の両手に」から始まり、「Harlem Blues」のカヴァーまで一息で走りすぎるような疾走感を楽しませてくれる。特に「Somebody To Love」などはオリジナルのJefferson Airplaneを超えて余りある力強さだ。育ての親・朝本浩文の意図以上に素晴らしい演奏になったのではないか。まさに名盤。

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UA / 泥棒

■UAの歌声を聴きながら曇った空を見上げるとどうしようもなく世紀末的な気分になる。シングル曲だけを聴いていると情熱や情念を破裂させるようなパワーばかりが印象に残るが、アルバム単位で聴くと情熱的な曲よりも、切々と抑制した信念を紡いだ曲のほうに目が向いてしまう。
■2002年発表のこのアルバムは、映画『水の女』等で女優としても実力を見せ付けた頃の作品。アコギとパーカッションだけをバックにその豊かな表現力に驚かされる「閃光」のアルバムバージョンをはじめ、基本的にドラムス/パーカッション、ウッドベース、ギター、キーボードによるジャジーで落ち着いたイメージに仕上がっている。
■気だるげだが決して諦めず、自分の信じる道を泥だらけになりながらも確実に進むような歌声、まるで水の底を漂っているような重い浮遊感のあるサウンド、そして黙示録のような言葉が羅列された歌詞。それらが一体となって作り上げる世界はどんより曇った空の向こうにある「希望」を見ているかのようだ。

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関口和之&砂山オールスターズ / World Hits Of Southern All Stars

■サザンオールスターズの関口氏のソロユニット。その名も砂山(サザン)オールスターズ。曲目もすべてサザンモノなんだけど、これがなかなか良いんですよ。
■言ってみれば換骨脱脂。桑田の親しみやすいPOPで独特なメロディだけを残して、すべてワールドミュージック仕様となっている。たとえばミスブランニューデイはレゲエ、涙のキスはボサノバってな具合に南の国々のアーシィなリズムを使って「楽しく歌える」サザンの曲を「小粋でエキゾチック」なものに作り変えた。
■これが思いのほかしみじみと心に響いてよい。サザン=夏の海だとすれば、砂山は9月の海だろう。泳ぎはしないが、眺めていたい海の色だ。

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Slim Gaillard & Slam Stewart / Complete Columbia Master Takes

■集大成の感のある3枚組。1938〜41年の全56曲(うち3曲がボーナストラックというのも?だが)がスイングの歴史の一幕を見せ付けている。
■ジャンピングギタリスト・スリム・ゲイラードとその相棒スラム・スチュアート、2人の掛け合いの妙技、スローの蕩けるような甘さとほろ苦さ、ヴァイブの幻想的な響きどれをとってもアメリカにしか存在しえなかった時代の産み落とした宝物だ。
■スリムの音はキャブやジョーダンほど灰汁が強くないので、聴いている人間の風景に溶け込んでくる。溶けつつ聴くものの心をときほぐしてハッピィにしてくれる。まさにJIVEの入門編であり完成盤である。

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Soulive / Turn It Out

■ジャムという音楽シーンが日本で注目されだしたのはこのアルバムの発売がきっかけだったと言っても過言はないだろう。ソウライブというオルガントリオが21世紀幕開け前後の音楽シーンに与えた影響は計り知れないものがある。
■全くありふれたハモンド+ギター+ドラムという編成の若きジャズトリオが生み出したものは、分厚くはないが、確実に聴く者の細胞を熱くするグルーヴだった。ニールのハモンドB-3が生み出す変幻自在なうねりと、エリックの一見単調だが執拗に繰り返されるギターのカッティング、そしてアランのFUNK以上に熱いドラミングが生み出すサウンドは熱いだけじゃない。メロディがキャッチーなのだ。
■誰もが口づさみたくなるような甘くて分かりやすいサビメロのリフレイン、そしてそれを彩るようなギターとオルガンの熾烈なバトル。そこがソウライヴの魅力だろう。よくジミースミスのバンド版だとか、FunkIncの現代版と言われるが、ブルージーなジミー、ジャズファンク〜フュージョンの時代を流れたファンクインクより、ソウライブの音は明らかにPOPでメロディアスだ、しかしそれが前者たちよりファンキーじゃないということではないのが興味深い。簡単にいえば、素人目から見てもカッコイイということだ。必聴。

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Soulive / Next

■ソウライブの三作目。人気絶頂時のアルバムだ。このアルバムでは前作「Doin' Something」でゲスト参加していたサックスのサム・キニンジャーが正式メンバーとして加入している。カルテットでの録音だ。
■簡単に言おう。実にポップでファンキーだ。メロディの美しい彼らにメロディラインを明確に表現できるパートが増えたのだ。悪くなるわけがない。その代わりにオルガンがリズムパートを重点的に補填でき余計にファンク度が増したといえる。ジャムバンドとしてのスリリングさよりも、CDというパッケージメディアでの表現方法を追求した結果であろう。聞いていてこんなに楽しいオルガンファンクはないだろう。1〜2作目の荒削りさもかなり洗練された。ポップな部分を追求することでねっとりとしたブルーズを廃し、切れのいいリズムを聞かせてくれる。その切れのよさが、熱いながらもクールなクラブチューンとしての印象を与える。
■また、アメール・ラリュー参加のボーカル曲があったり、ラップの挟まる曲があったり、グローヴァー・ワシントンJr.かと思えるほどメロウなフュージョンチューンがあったりと実にバラエティに富んでいる。飽きさせないし、誰もが楽しめるアルバムだ。
■いわゆる傑作アルバムである。商業音楽のあり方としては満点を与えても良いだろう。しかし、悲しいことにこういう音はこれ以上進化できない。一つの形態として完成しつくしているのだ。この路線で進むのなら、確実にファッションとしてもてはやされ、青山や麻布などでも「おしゃれさん」たちの御用達音楽となって消費されていくだろう。それはそれでレコード会社的にはいいのかもしれないが、どんどん進化していくジャムシーンに生きる彼らにとっては致命的だ。
■そういうことを本人たちも知っているのだろう。次作ではまたトリオ編成に戻り、熱いジャムセッションを聞かせてくれる。一つのバンドの歴史の中では試行錯誤の一作かもしれないが、単体のアルバムとしては非常に突き詰められて作られた完成作だといえる。日本盤にはライヴ音源を追加収録。

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Templeton Twins / Thrill Ot Like It Was

■双子の芸人Templeton Twinsの73年のリイシュー。30分にも満たないアルバムは全曲カバー。ドアーズの Light My Fireやジム・ウェッブ作の MacArthur Park By The Time I Get To Phoenix 、フランキー・ヴァリ(現在はBoys Town Gangとか椎名林檎といったほうがわかりやすいか)の「君の瞳に恋してる」 、そしてビートルズの Yesterday Something Hey Judeなどなどが30年代スタイル(クルーナースタイルというらしい)で演奏されている。要するにフィドルやクラリネットなんかを中心にまったりとスイングさせているわけです。
■さすがにイエスタディなどは歌詞を充分知っているから気づいてしまうだろうが、BGMで流れていたら誰が「ヘイジュード」だと、「君の瞳に恋してる」だと気づくであろうか? まさに換骨奪胎という言葉がぴったりだ。ミュートのホーンがスイングしながら始まる「ハートに火を付けて」なんてベッドタイムミュージックのスタンダードになりそうな名演奏である。
■このように全く違ったものにしようとする場合、往々にしてその曲の個性や主張を鑑みず、「一個の素材」として処理しがちだが、この双子兄弟は決してそういうことはしていない気がする。しかしその代わり、世のヒットパレードに対してのアンチテーゼとしての自分たちの解釈(新しいものを過去のものにしてしまう)をすることで、それらの曲に普遍をもたらそうとしているのではないだろうか?
■流行歌というものの宿命であるアウト・オブ・デイト化を防ぐために、普通は新しい衣を着せ替える(=最新のアレンジでカバー)のであるが、彼等の場合は「今でも古い」(=もうこれ以上古くなりえない)状態にして、自分の愛する曲たちを流行遅れになるのを防ごうとしたのだろうと勝手に解釈してみる。
■とりあえず和む、笑える、いい気分になれる。いい音楽だ。一日の終わりにこういう音楽に浸るのはかなり贅沢な部類に入るであろう。
■それにしてもビートルズまでを解釈してまったくオリジナルにしてしまう奴等がいた事には驚愕する。しかしここまでしないと他人の物にならないビートルズナンバーの個性というものにも改めて驚くのである。(オトシャベリより改稿)

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Squeeze / Frank

■グレンティルブリック率いるパブロックのポップ部門代表選手スクイーズの89年のアルバム。しかし僕は彼らのことを「温泉ロック」と呼んでいる。
■ぬっくいのだ。どんな激しい曲をやろうとどんなバラードをやろうと、印象はぬるま湯にゆっくり浸っている感じなのだよ。ぬくもりでもなく熱いのでもない。そもそも優しさなんて感じられない。世の中に対する批判精神や苦痛の叫びも彼らとは関係ない。たまの休暇に湯治場で休んでいるようなポップだ。
■とても気持ちがいい音だが、いかんせん刺激のない音は売れない。本人たちには悪いが売れないでいてほしい。



Swan Dive / You're so beautiful

■遅れたネオアコ、スワンダイヴの97年のセカンド。Everything But The GirlやFairground Attraction好きならまず気に入るはずです。
■ネオアコなんだけど懐古的雰囲気。ちょっとミュージカルっぽい感じで、寂れた遊園地とかサーカス団とか、そういうセンチメンタリズムを表現してくれる。
■ナッシュビル産だからなのかな?ヨーロッパの耽美的なアクースティックとは違って楽しげな感じ、音もスイングもあればカントリーっぽいスティールギターもあり、アコーディオンやボサノバもある。ヴァンダイクパークスのネオアコ盤といったほうがいいかもしれない。渋谷系(笑)。

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10cc / 「愛ゆえに」Deceptive Bends

■10ccが半分になった最初のアルバム。決してPOP度数も半分になったのではなく、スチュアート&グルードマンのミラクルポップが全開になったアルバムといえよう。
■確かにポピュラー音楽の進化の歴史はこれ以後10ccには目を向けないかもしれない。しかし一曲一曲がこんなに楽しくて、こんなにセンチメンタルなアルバムが残されたのだから良いではないか!
■10ccの良さというと普通はスチュアート&グルードマンのPOPセンスとゴドリー&クレームの実験性や批評性の混交体だと言われる。でもポップを極めたのはやはりこのアルバムだろう。真の英国POPだ。

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Tot Taylor / Box-Office Poison

■ピチカートの小西君も会員だったというレーベル「コンパクトオーガニゼーション」の主催者、トットの86年のアルバム。「ヴァン・ダイク・パークスがサイモンフィリップにプロデュースさせたような音」と僕は言っているけど貴方はどうか?
■全編オーケストラを起用、貴族的で甘い音楽を作り上げている。フレンチホーンと4重奏の上にファズギターをかけてウォンウォンいわせることが出来るのはこの人だけではないだろうか?(笑)。でも決してシンフォニックではなく、むしろポップな室内楽に歌がついた感じかな。
■アンティークなおもちゃ箱のような旋律とアレンジが白昼夢に誘う。

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Todd Rundgren / Hermit Of Mink Hollow

■すべての演奏を独りでこなすマジカルポッパー・トッドラングレンの78年のアルバム「ミンクホロウの世捨て人」。彼が実験精神のすべてを平行に活動していたバンド・ユートピアに向けていた時期だけにこちらでは思う存分にポップでセンチメンタルなトッドが堪能できる。
■「All The Children Sing」の煌き、「Onomatopoeia」のクルクル転がるような楽しさ、「Fade Away」の甘さ。そしてもっともすばらしいのは「Can We Still Be Friends」の切ない歌声だ。引きこもり音楽(宅録)の先祖の最大限に感受性豊かなバラード、この曲に泣けなければ貴方の感性は錆び付いていると断言したい。

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Stan Campbell / Stan Campbell

■スタン・キャンベルの音はブラックミュージックの音じゃない。白人のような音だというわけでは毛頭ない。崩壊寸前だったスカの王者ザ・スペシャルズの最後のメンバーとして加入し、その後身バンドSpecialA.K.A.のリードボーカリストとして活躍した彼は2Toneレーベルの凋落をほんの少し遅らせたという役割で音楽史に名を残すだろう。
■彼の唯一のソロアルバムはアツくない。ブラックミュージック特有のアツさを感じさせないのだ。JBもマイケル・ジャクソンもEW&Fもテディ・ライリーもみな身体を動かし汗だくになりながらその種族特有のボリュームと深みのある「ソウルフルな」声を聞かせてきた。しかしキャンベルは少し違う。アフロアメリカンの音楽が「腕力勝負」で聴くモノの感覚を制圧してしまうのに対し、彼はその肉体力よりも言葉遣いや説得力、雰囲気や理解などの「知性」や「感性」に対するアプローチをしている。
■#3「Save the World」で見せる平和と慈愛の祈りはゴスペルのソレではない。アニマルズの「Don't Let Me Be Misunderstood」を歌う彼はブルーズでもR&Bでもない。白人ブルーズの名曲を彼独自の解釈で歌い上げている。「奇妙な果実」はそれこそカヴァーされつくしている。しかしこれほどまでに時代に相応しいカヴァーを考えてカヴァーした音は聴いたことがあるだろうか?
■彼は黒人としての武器を使わない。それは人種という範疇に埋没してしまうことに対する個人の死守でもあるのだろう。自分とマーヴィン・ゲイとパフ・ダディを一緒くたに「黒人はすごい」と括られることへの反抗だ。それはつまり彼の個性が、腕力・無知・セクシャルというような黒人らしさではなく、一人の人間としての個性であるということだ。我々のような無力で頭でっかちな民族でも彼とは分かりあえる気が、ちょっとだけ、する。



Talking Heads / Stop Making Sense

■これをライヴアルバムと定義するのはおかしいかも知れないが、ライヴ映画のサントラならライヴ演奏である。NYの知性派集団の83年のライヴ。
■ほとんど何もないシンプル以前のセットの前で、体型に全く合わないでかいスーツで、まるで絞め殺される直前の鶏のように首をヒクヒクひきつらせながら唄うデビッド・バーン、この知性ゆえの無様な狂気の下で、都会に矯正されかけている黒人音楽が断末魔の悲鳴を上げているような演奏は、醜態であり、だから最先端だったのだろう。
■彼らの毒を浴びてしまった無垢な少年は20年経ってもその毒素が抜けきれずに今に至る。

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佐野元春 / Someday

■これは同世代体験でしかないので決して、新リスナーが同意できるものではないかもしれない。しかしロウティーンだったボクにとってのつらさ、不安定さを、不安さを支えてくれたのはモトハルのキラキラしたアレンジの中にあったソウルフルなメッセージだったのだろう。
■傷ついたってStepTomorrow、ただのスクラップにはなりたくないんだ、信じる心いつまでも。。。少年の心に心地よくセンチメンタルでかっこよく、しかし確実に響いてきた彼の台詞は僕らへの応援歌だった。
■誠実で愛情にあふれた彼のロックは汚れた今でも否定できないものだ。

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T-Rex / Slider

■ポップスターという硝子の城の頂上で道化を演じることを最大限全うしたマーク・ボランが、そのセルロイドヒーローとしての外見的魅力を自ら(恣意的に?)耽溺して作った豪華絢爛ポップワールド。
■すべてが虚構であり、すべてが虚無であることを少ない音数と圧倒的なカリスマぶりで体現しているこのアルバムは、崖っぷちぎりぎり自らの地位の保持のみを願わざるを得ないロックンロールアイドルの哀しい叫びにしか聴こえない。
■いくらポップで、いくらアグレッシブなブギであっても、聴後に残るのは絶叫にも近い魂の叫びだけだ。

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Speech / Spiritual People

■Speechが2000年にアジアのみで発売したSpiritual Peopleは、そのタイトル通りSpiritual Musicだ。HIPHOPという攻撃性の強い音楽/テーマを扱っているはずなのに、なぜかとても心を優しくしてくれる。
■決してCalmだったりFolkyだったりというわけではない。彼のバンドArrested Deveropmentが得意としてきたアバンギャルドHIPHOPの音楽性はまったくといってイイほど変化していない、むしろ進化している。しかし、演奏された音(つまり弦の響きだとか、リズムの座り具合とか、キーの手触りとか、もちろん歌声も)がとても柔らかいのだ。まるで傷口をいたわるような温かさで触れてくる。
■MarvinやMarleyの楽曲を現代的に、しかし楽曲の精神はむしろより深めて、甦らせた事でユーザーの多大な評価を得たSpeech。彼は楽曲をカバーしたことで、その気持ちまでカバーしてしまったのかもしれない。踊ることも笑うことも幸せに浸ることも泣くことですらもこのアルバムは許してくれる。そんな気持ちになれる名盤だ。(オトシャベリより改稿)

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Stevie Wonder / Key Of Life

■名作Key Of Life、76年に発売されてから2年間、CashBoxの年間売上で1位をとった2枚組アルバムです。1枚が2年連続1位という偉業はThe BeatlesもMichael Jacksonもやっていない。
■そんな大それたデータは抜きにして、このアルバムを聴こう。ほら、包まれていく感じ、わかるかな? 愛情に包まれて優しくって温かくってほっとする。愛に溢れていく感触だ。
■シングルヒットした2曲Isn’t She LovelyとSir Duke、前者は愛娘アイシャへの惜しみない愛情を歌った曲だし、後者はDuke Elingtonに捧げられた敬愛に満ちた曲。その2曲だけでも愛情こもっているのがわかるのに、このアルバムは基本姿勢が愛情、驚かす技も激しいメッセージもない。踊れる曲もバラードもミディアムテンポの曲も、ただ前向きに、心をこめた愛のみ、男女の愛、友愛、親愛、血愛、Stevieのすべての愛をこの1枚に込めてます。あぁ素敵♪
■盲目の黒人少年アーティストStevie Wonder、60年代にMotownよりデビューして以来、現在まで、息の途切れることなく愛と優しさをメロディに込めて送り出している。
■このアルバムKey Of Lifeを聴いて温かい気分になれない人とはちょっと近づきたくない(笑)(オトシャベリより改稿)

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Uncle Walt's Band / The Girl on the Sunny Shore

■地元サウスカリフォルニアのコーヒーハウスの名をとったこのアコースティックカントリー/フォークのバンドは、Grateful DeadのUncle John's Bandのような音を目指していたらしい。
■アコギ2本とウッドベースのみの繊細な音作りなのに懐の深さを感じさせるのは3人のコーラスワークにぬくもりを感じさせるものがあるせいだろうか。Deschamps HoodのリードギターもDjango Reinhaldtのようなふくよかな音色を聴かせる。とても優しくて温かい、よく眠れそうな音だ。
■3弦とコーラスワークと言うとCSN&Yを想像しがちだが、彼らのような求道的な美しさとは違い、こちらはもっとリラックスした素朴さを感じる。音楽と世界の関係を求める使命感よりも生活の隙間の気楽な楽しさが伝わってくる。
■74年の1stアルバムBlame It On The Bossa Nova(後にUncle Walt's Bandと改題)と、再結成後79年に録音された6-26-79(リリースは88年にカセットのみ)より構成された美しいアコースティックな音のスコールは聴く者の心の中にじんわり入り込んでくる。必聴!

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Uncle Jim's Music / There's a Song In This

■きよさんのレコードから焼いてもらったアルバム。1972年のセカンド。West Coastのマイナー系Country Rockグループなのだが、ユルい感じがなんともいい。GrateFul DeadのWorking Man's Deadのようなユルさである。
■諸氏の指摘にあるようにこのアルバムのみ参加し、この後 イーグルスに合流するJim Ed Normanの力か、イーグルスっぽい曲も聴ける。ただ、やはり聞きどころはリーダーのGary Tolbert Nicholsonによるマッタリバラード#8や#10、Brinsley Schwartzがアメリカのバンドだったらこんな音をしているんだろうなと思わせてしまう#5や#7など。レコ会社諸君、彼らのアルバムは再発しないのかい?



鈴木博文 / 無敵の人

■誠実であるということはいかなることであろうか? 例えば、恋人に誠実ということは、浮気をしないこと?(それだけで誠実なのか?)包み隠さないこと?(事実を伝えればいいってものじゃないだろう)ウソをつかないこと?(ウソをついた方がいい場合もある)
  ■鈴木博文さんのデビューソロ「無敵の人」は最も誠実さを感じる音楽の一つだ。フーちゃんこと鈴木博文さんは、日本一活動歴の長いPOPバンド「ムーンライダース」のメンツで、リーダーの鈴木慶一さんの弟でもある。音楽的には兄・慶一の音の方が好きだし、ムーンライダースの方が全然良い。
■しかしこのアルバムを聴くと、とても自分の中途半端さが恥ずかしくなってくる。フーちゃんはまっすぐ自分のやることを決めている。自分が何に対して誠実であろうとしているのか、それが分かってるのではないだろうか。
■「何かがいらなくなった時 どこかへいきたくなった時 ぼくはすぐ夢を捨てる」フーちゃんはいさぎよい。それは覚悟を決めてしまった人だけができる誠実さだ。
■兄についてバンドに加わり、30も過ぎた、そんな時期に発表したソロは、もう迷うことなく、自分の信じた音楽を追及する、一生自分(のリスナー)に対し、決して恥ずかしくないような音楽だけを作っていく。そんな覚悟を宣言するようなアルバムである。だからとても自分に対して誠実な立ち位置にいるのだろう。送り手の誠実さは必ず受け手に伝わる。そんな彼のような覚悟、自分も持っていたい。その覚悟と、覚悟から産まれる迷いのない誠実さを持って、仕事をしたいし、人を愛していきたい。生きていきたいと思う。

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佐藤奈々子 / Tears Of ANGEL〜Best Of

■僕が最初に夢中になった日本人女性ボーカリスト。数枚のアルバムを残して渡仏、カメラマンとなった彼女のささやくような歌声はまるでピロートークだ。その声は甘くしかし気高く、まるでシルクの肌着のように聴くものを包み込んでくれる。
■ウイスパーヴォイスの癖に決して甘えてはこない、むしろ甘やかしてくれるようだ。バックミュージックも小粋にそしてちょっとばかりノスタルジックにスイングしている。まさに海中深くに置き去られた宝石のような写しいアルバムである。

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さだまさし / 夢回帰線

■あまり音楽性を語られないさだ氏ですが、幼少の時からバイオリンを修練していただけあって、弦の音に対してはとってもこだわりを持っているようです。
■ハワイで録音されたこのアルバムはとても乾いた弦の音と冷たいエレピが心地良すぎます。日本一のマリンバ奏者宅間久善氏のパーカスも乾燥した土地で本領を発揮しているようで・・・えっ、歌詞が嫌いですって? 難しいことをいわずに音とメロディに身をゆだねてみてはいかがですか? ハイトーンな彼の声、かなり気持ちいいですよ。

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Till Bronner / Blue Eyed Soul

■トランペッターTill Bronnerの「Blue Eyed Soul」はJAZZファン以上に、ブラックミュージックやジャムバンド、クラブもの好きに聴いてもらいたいアルバムだ。
■彼の略歴等はUniversalMusicのHPを見ていただきたいが、そのミュートの効いたかすれがちな音色と、バックのクールだがしかも腰にくるグルーヴのブレンドがとても気持ちいい。
■面白いのは、部屋で何気なくかけているととても和むアルバムであるのに、カーステレオ等で低音を効かせると思わず身体が震える程シャープでファンキーなのだ。不思議なアルバムだ。
■蛇足だが、チェット・ベーカーと比較されるように、ティルは唄いもする。しかしチェット・ベーカー同様にその甘い歌声は、そのスタイリッシュされた音楽構成の箍を緩めてしまっている気がしてならない。君にはラッパ吹きに徹してほしいものだ。(オトシャベリより改稿)

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TITI松村 / ふなのような女

■今はゴンチチと呼ばれているゴンザレス三上&チチ松村の片割れのソロ。これはありったけマッタリしているアルバムだ。
■ゴンチチの癒し系ネオアコ音楽とは違って、波止場の猥雑な酒場の雰囲気。どことなく育ちのよさそうな没落中流階級が、自分の人生をあきらめがちに回想しているようなアルバムだ。
■ぶぉぉぉと下世話に唸るサックスとどことなく寂しげだが、甘くマッタリした松村氏の歌が聴きどころ。しかしもっとも聴きどころなのは2曲目「世界一陽気な男と世界一陰気な女」だろう。ブレイク前のCharaと松村のデュエット曲である。VioletBlueが出る前のChara、そうまだ可愛さよりも米軍基地出の場末っぽさや、あばずれっぽさ、ジャジーさを売りにしていた頃の彼女が絡むのだ。
■色々な過去を背負って生きているような「世界一陰気」な女と、飄々として、かつ包容力のありそうな「世界一陽気」な男のデュエット、これは何度聴いてもいい。70年代っぽい薄暗さ気障さと、90年代っぽい癒し感覚の同居したアルバム。。。いいなぁ。(オトシャベリより改稿)

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TomWaits / Franks Wild Years

■酔いどれ吟遊詩人TomWaits、人はそういうが、ぼくにとってはアルコールのイメージよりもレトロのイメージの方が断然強い。
■最初に聴いたのがフランクの荒くれな日々シリーズだったからかもしれないが、壊れた大型のマイクやアコーディオン、廃棄されたピエロ人形や閉鎖された遊園地の回転木馬なんかがもっともしっくり来る。
■逆行してアサイラムの頃のものを聴くが、若々しさの方が目(耳?)に付いて、「酔いどれ」とか「吟遊」とかいう達観/厭世の印象はほとんど受けない。これは大切なものを失っているのだろうか?
■破れた太鼓をやる気なく叩かれると、調律不可能な弦楽器たちが響きわたるHang on St. Christopher 。そしてざわついた音の向こうから(機材のせいで?)くぐもったような嗄れ声で、か細く、しかし蠱惑的に幻想の世界に誘うTemptasion(どうやって聴いてもみゅうぅじしゃぁんに聞こえる)。
■御伽噺にしては堕落的すぎて、現実にしては幻想的過ぎる境界世界を映し出す似非万華鏡。それがTomWaitsであり、Frankの国書刊行会的冒険譚である。(オトシャベリより改稿)

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Sade / Lovers Rock

■スィーテストタブーのクールな美しさとは全然変わってしまったシャーデー。まるで母親の懐に包まれているような安心感と充足感に満たされる。
■女は弱し、されど母は強し。という言葉を思い出してしまう。幼くって頼りなげだった娘が、母親になったとたん、包容力にあふれた信頼できる人間になってしまうような感じだ。
■疲れて磨耗してしまった心と体を癒してくれるこのアルバム。一人暮らしのビジネスマンは絶対持っていたほうがいいアルバムだと思う。

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Steely Dan / gaucho

■実はAjaと迷った。しかしBabylonSistersがやはり一番だろう。なんだろう、SteelyDanのすばらしさって。楽曲もそのメロディもミュージシャンたちのテクも雰囲気もすばらしい。しかし一番すばらしいのは、これだけの完成度の高い音楽を作り上げながらも、聴く者をリラックスさせることだろう。
■一部の隙もない音なのに堅苦しさを見せない、聴く者とともに音楽を楽しむ、そんな姿勢まで感じさせる。そこにドナルドとウォルターの余裕のようなものを感じずにはいられない。この余裕がなければSteelyDanはAOR界のハービーハンコックやXTCになっていたかもしれない。

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