New Orleans B






Bro.Taisuke&Earl ScioneauxIII / Gospel and Jazz in New Orleans

■寝室でヘビロテしたBro.Taisuke&Earl ScioneauxIIIのGospel and Jazz in New Orleans。タイスケさんのアルバムだからさぞ激しいのだろうと思っていたら、かなりシブめ。ほとんどの曲がEarlのピアノとTaisuke氏のボーカルで聞かせる。
■21世紀の日本人が作ったアルバムだろうかと疑うくらいにトラディショナルに誠意をもった作りをしていて、もう少し音が悪ければ30年代の南部の音源であると言われても信じてしまいそう。
■生で聴く氏のパワフルな歌声の魅力は充分心得ているのだが、このようにパッケージにして改めて聴くと、パワフルに歌い上げる部分より、ミディアムな部分の表現力の豊かさに耳を奪われることに気づく。Earlのピアノも軽やかかつしっとりしていて、豊潤な時間を味わいたい時にはとてもいいアルバムだ。

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Bobby Lounge / Bobby's Back In Town

■ボビーラウンジの06年のライブ、慢性疲労症候群のためにアイアン・ラングという機器と看護士が手放せないボビーは年に一度程度しかライヴをできないので、かなりレアな録音である。
■しかしこのライヴは非常に力強いボビーが堪能できる。今までの彼のスタジオアルバムはどちらかというと女性とも聞き間違うようなハスキーボイスとやわらかい鍵盤で誠実そうに音をつむぐのが魅力だった。しかし今回のライブでは意志の強いシャウトと力強いピアノで、ソウルミュージックを歌い上げている。
■おお、ボビーもR&Bなんだな、ということがよくわかる一枚。どっちが好きかといわれるとスタジオアルバムのほうが好みではあるが、好きなアーティストの元気な姿もまた微笑ましい。聴く度に一緒に「ぼびぃぃっずばっきんたーぅん」と口ずさんでしまう。

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Big Sam's Funky Nation / Peace, Love & Understanding

■exDDBBのトロンボーニストSammie Williamsのファンク・ダンスミュージックバンド。08年の新譜。前作もすばらしかったがこのアルバムも一心不乱のブラス・ファンクを追い求めている。
■Casey Robinsonのすっごくごきげんなギターカットから、ベースとスネアが入ってホーン三本がドカドカドカっと割り込んで主役を取っちゃう1曲目Up In Hereは背筋がぞくぞくするような興奮感、パーティの始まりだい!って感じ。でもこのバンドは3本のホーンのアンサンブルを基礎としていて、かなり基本に忠実に音も演奏も作られているので、パーティミュージックだからといって力技の粗さはまったくない。ジャズフュージョンのテクニックをもちつつ低音が響くファンクミュージックをやっているのでとても安心できる。
■これくらい安定していて全曲潔いくらいのアップテンポが続くのは気持ちがいい。ただ、低音がかっこよく、管楽器の高音もとてもいいのだが、中音(というのか?)は意外と聞こえないようだ。お気に入りはT.M.P.ハイスピードなのにとてもポップな感触が残るのがいい。

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Bobby Charles / Homemade Songs

■ボビーチャールズ、久し振りのニューアルバムです。もうすでにどこを切ってもボビー色なので、あえてなにも言いません。温もりを感じさせるホワイトソウルを存分に聞きましょう。ジャケも温かくってさわやかでいい感じです。
■とばかり言っていてもしかたないのですが、レシーブ二郎さんが音楽ブログで色々書かれているので、解説はそこから借りてきちゃいます。

  「1曲目は、サニーのボトルネック・ギターが全開のニューオーリンズ・タッチの親しみやすいロック。聴いているこちらまで笑みがもれそうな感じです。2曲目は、彼にしては珍しい暗めのブルース。サニーの独特のギター・テクもあって凡百のアレンジと一線を画しています。3曲目は少しさわやかなフォーク・ロック調のナンバー。ここまで3曲で、それぞれ違った味わいのサニーのボトルネックを楽しむことができます。
  4曲目、彼の代表作「But I Do」と、5曲目「Cowboys and Indians」は1986年に西ドイツで発売された『Clear Water』に収録されていたもの。6曲目「The Mardi Gras Song」と8曲目「The Truth Will Set You Free」は日本で発売された『Wish You Were Here Right Now』に収録されていました。最近のボビーのアルバムには、このように過去に国外で発表したアルバムにいれていたものを少しずつ入れる傾向にあるようです。ただ、「But I Do」だけは、よほど気にいっているのか何度も何度も収録してます。
  7曲目、ゆったりした「Too Blue」にはドクター・ジョンが参加、一発で彼とわかる転がるピアノを披露。サニーも活躍しています。9曲目「Homemade Songs」は未発表に終わったベアズヴィルからのセカンドに収録予定だったナンバー。ベアズヴィル・ボックスに収録されていますが、ここではフレッド・カーターJr.やスプーナー・オールダムか参加した新録バージョン。後半には、ボビー・チャールズ独特の落ちついた歌が多く収められています。10曲目には再びサニーとドクター・ジョンが登場。少しおどけた感じのナンバーで確かなテクを聴かせてくれます。11曲目「Rose」はアコースティック・ギターではじまる落ち着いた曲。これも、典型的なボビー節。ぜひライブで聴いてみたい曲です。
  12曲目「Always Been A Gambler」はポール・バターフィールドとの共作。こちらも間違えなくボビー節が出てきます。ウッドストック時代の作品かも知れませんが、おそらく今回はじめて陽の目をみるもので、メンバーからみて新録のようですが、ミッキー・ラファエルのブルース・ハープはバターフィールドを髣髴とさせます。それにても味わい深い演奏です。13曲目「Here I Go Again」もおなじみの作品ですが、スプーナーらを加えての新録です。今回はエレクトリック・ギターのリズムが少し強調されロック色が強いですが、充実した演奏です。14曲目は、あの「Tennessee Blues」の新録。サニー・ランドレスがボトルネックでひかえめに彩りを添えています。ラスト・ナンバー「Swep’em」は、ちょっとばかり毛色の違う感じの曲です。バットがボールを捉える音と歓声ではじまり、ホーンも入ってなんとなく行進曲調の楽しいナンバー。野球賛歌なんだろうなぁ。」

■以上、僕は「But I Do」「The Truth Will Set You Free」「Homemade Songs」「Seize The Moment」「Swep' em」あたりが好き。

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Bobby Lounge / I Remember The Night Your Trailer Burnt Down

■個人的にはすっごく日本人向けだと思うのに、国内のどのレコ屋やレビューでも取り上げられない&ググってもほとんど出てこないボビーラウンジです。たぶん大きな問題はジャケじゃないかと思います、僕も試聴がなければ手を出しませんでした。
■ 彼の凛と姿勢の正しい音と温かみのある誠実そうな歌声、そしてラグタイムっぽい安らぐピアノは心を癒すのには充分すぎるだろう。今回も前作と変わらない心地よさ、若干声が低くなったかな?前作は「あれ?オールドウーマンだっけ」と誤解しそうな部分もありましたが、今回は男性だとはっきりわかります。
■ 是非一度聴いてみてください、良さがわかるはずです。

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Bonerama / Bringing It Home

■BONERAMA、3枚目にして彼らの初の国内盤リリース。BONERAMAとはニューオリンズのブラスバンドで、トロンボーン5本+スーザホン1本+ギターとドラムというきちがいじみた編成のユニット。しかしメンバーの一人が他界したため現在はトロンボーン4人である。5本のトロンボーンを中心に厚いアンサンブルで聞かせるハードファンクは渋さ知ラズに似た力技と、ハードロック的な選曲をすることで、誰も追従できないハードブラスファンクロックを体現していた。
■しかし、正直この新作Bringing It Homeは普通だ。トロンボーンがメロディを表現することに焦点を絞りすぎ、4本あることを上手に生かしきれていない。1本でもいいじゃないか?という気にさせる。またボーカル曲を入れすぎたことで、ボーカル+ブラス+リズムという普通のニューオリンズバンドに成り下がってしまった。亡くなったブライアン・オーニールの存在はそんなに大切だったのかと思い知らされる(ブライアンはアレンジも担当)。
■デビューアルバムではツッペリンとエドガーウィンター、2枚目ではブラックサバスとジミヘンというハードロックを大胆にアレンジしたBonerama。今回はツェッペリンのOceanとビートルズのYer BluesとHelter SkelterそしてミーターズのCabbage Alleyなどをカバーしているが……唄ってんじゃねえーよ。それじゃ、ボーカル+ギター+ベース(ソーサホン)+ドラムにトロンボーンが3本ってかんじで全然普通の若手ファンクロックバンドだろ。Boneramaはメジャー路線に行くために存在理由を忘れてしまったのだろうか?マジで不安になる。

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Brotherhood of Groove / BOG Style

■Brotherhood Of Grooveの二枚目、06年発表。P-ヴァインから日本版で出てたからなんじゃこりゃ?と思って購入。ファーストは買おう買おうと思っていてそのまんま数年たっていたのですがなかなかのファンク具合にあー買っておけばよかったとちょいと後悔です。
■ぐいぐい引っ張るビートとホーン、テンション高くジャズ風味も効いていてジャムジャムした感じです。ジャムバンド好きならとてもはまりますな。どちらかというと低音で引っ張るというよりはホーン、ギター、オルガンなどのメロディパートが印象的。なんでもリーダーのBrandon TarriconeはNOの人ではなく、NOの大学を出てその土地でバンドを組んだだけだとか。デビューバンドとしては卓越したライティングとギターのテク&センスを持つ人だと思う。そしてメンバーもすごくJon Massing(ドラム、exブライアン・セッツアーバンド)、Jeff Watkins(テナー JBバンド)、Sam Kininger(アルト、exソウライブ)、Uganda Roberts(コンガ、トゥーサンやフェスらのバックメンバー)、Michael Pellera(ヴィダコビッチのバック)、そしておなじみIvan Neville (オルガン)など。東西の名手が参加している。
■しかし、自分としてはこのアルバムを聞き流してしまっている。かっこいいんだけどね、なんか薄いんだよね。こういう音いっぱいあるしさ、BOGスタイルといってもどんなスタイルなのかよくわからない。もっと個性がほしい、ディープであってほしい、そう思うのは高望みだろうか?

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Big Sam's Funky Nation / Take Me Back

■2006年リリースのビッグサムことSammie Williamsのユニット、セカンドアルバム。彼のトロンボーンとペットとサックスの3本のホーンを中心とした、かなりストレートなファンキーアルバム。P-FUNKやJBなんかが好きなだろうなあというのがよくわかる。
■技巧を凝らすでもなく、コンポーズの妙を見せるでもなく、ただただ踊れるファンクに打ち込んでいるところなど、とても好感が持て、僕のドライブCD棚ではこの数ヶ月マスト状態だ。掛け合いボーカルも黒色FUNKらしいポイントにFUNKらしく入っていて心地いい。
■新しさや面白みはないが、ただFUNKを楽しみたい時にはとてもいい。決して技巧的なフュージョンにはいり込むことなく、このままFUNKホーン道を突っ走って欲しいものだ。

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Bobby Lounge / Ten Foot Woman

■ラグタイム風の心地いいピアノと、凛とした力強い声、女性かと思えるほどのちょっとハスキーなヴォイス。ボビーラウンジは何の変哲もない音たちをとても美しく温かくしてくれる。 ジャケは確かになんじゃこりゃという感じだが、音はとてもリラックスだ。John Boutteを聴いて以来、こんな美しくて屈託のない音を聞いた。
■ 1950年生まれのボビーは80年代にはステージに立っていたが肉体的な病のために、IronLungという人間をすっぽり包んでしまう大きさの呼吸補助装置と離れられない生活を強いられているらしい。ライヴでも横にその装置を置き、後ろにナースが控えている状況でのステージだという。
■ 下に試聴LINKがあるので是非聞いてほしい。Randy Newmanや戦前派、Dr.John、Maria Muldaurなどが楽しめる人は必ず楽しめるはずだ。この歌とピアノを聴いているとほっとする。1日の疲れがゆっくりと癒されていく感じだ。今年のBestには必ず入れよう。

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Bonerama / LIVE From New York

■トロンボーン5本+スーザホン1本+ギターとドラムというきちがいじみた編成のユニットのNYはTribeca Rock Clubでのライブ。前作からトロンボーンが一人抜け、代わりにFred Wesleyがゲスト参加している。またドラムはGalacticのStanton MooreとChad Gilmoreが半分ぐらいずつ。
■ハードロックのカバーが目を惹く、ブラックサバスの「War Pig」、オールマンの「Wipping Post」、ジミヘンの「Crosstown Traffic」。どの曲もギターが印象的な曲だ。5本のホーンでエレキの重厚感を描き出しているのはすごい。しかし元来エレキギター自体がホーンや弦楽の代用をしているわけだから先祖還りなのか?
■重厚でハードなジャムプレイは最早ブラバンとかセカンドラインとかではなく、ハードロックだ。つまりハードブラスロックだ。ChicagoやBS&Tなんかより全然カッコイイブラスロックが21世紀に現れましたぞ!

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Big Daddy 'O' / Deranged Covers

■ラバダッシュのブルーズマン、Owen TuftsことBig Daddy 'O'のセカンドアルバム。全編ブルーズやソウルのカバーアルバム。Crossroads、St. Louis Blues、A Song For You等々の親しみ深いナンバーが17曲も並んでいる。
■「乱れたカバーたち」というタイトルはジャケのベッドカバーの乱れと、カバー曲の乱れをかけているのだろう。彼としては雑なカバー曲でごめんね的な意味合いだと思うが、これがなかなかいいアルバムだ。
■前作の「That's How Strong My Love Is」はそのタイトル通りの強い意志をほぼ全編アコギとボーカルで表現することで、自らの真摯な愛情や誠実な意思を表現した名盤だ。しかしこちらはもっと砕けた感じで、フェイバリットソングを楽しんでいる。曲によってはエレキを中心にしたバンドスタイルでの音も聴けるが、決して名曲に挑むというようなものではなく肩の力を抜いた「音の楽しみ」を味わっているようだ。
■こういったラフな感じがNOの音楽の真髄だとぼくは思っている、だから(前作はブルーズの名盤だったが)このアルバムの屈託のなさはまさしくクレッシェントシティミュージックの名作だろう。聴く側もゆったりベッドに寝転びながら楽しんでいただきたい。(2004/03)

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Big Al and Heavyweights / Late Night Gumbo Party

■ドラマーのビッグ・アルことAlbert J. Lauro, Jr.率いるブルーズバンド。2002年のこのアルバムはGumbo Groovesの名に恥じないグルーヴィブルーズにあふれている。
■ブルースブラザーズのダン・エイクロイドがラジオでヘビィプレイしたことで世に知られた彼らの音は、ブルースブラザーズ好きならなかなか気に入るのではないでしょうか?
■ジャケとGumbo Partyという言葉から連想するコテコテセカンドラインではなく、あくまで元気印のブルーズが中心。タイトル曲等でセカンドラインを披露してはいるもののバンドの本質は南部ブルーズ道を歩んでいるようです。若手ブルーズバンドの今後にちぇきっ!

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Big Daddy 'O' / That's How Strong My Love Is

■OffBeatMagazineでIndustryAward受賞作。オーウェン・タフツことビッグ・ダディー・オーの心に染み入るアルバムだ。
■ほとんどギター弾き語りに近い編成で、トラディショナルや古きよきブルーズを唄いこんでいる。陳腐な言い方だが「心が洗われる」感じだ。なんとも一曲一曲に対する深い愛情を感じずにはいられない。歌がうまいとかどうのではなく愛を一心に織り込んでいる。そしてその上で歌唱力があり、ギターもいい味を出している。
■プロデュースにジョン・オースティン、フィドルにテレサ・アンダーソンというラバダッシュ・ファミリーで作り上げたアルバムだが、是非聴いて欲しい。この音を教えてくれたFURUさんに感謝!

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Boswell Sisters / Cocktail Hour

■ジャズコーラスの先駆けといわれるボズウェルシスターズ、20年代半ばにエラ・フィッツジェラルドがお気に入りだったコニー・ボズウェルに、楽器だけじゃなくて姉妹たちとコーラスをしなさいと言ったのが始まりだとか。
■このアルバムはtight-knit harmoniesと呼ばれた彼女たちの魅力を余すところなく伝えてくれている。複雑なコーラス、難解なスキャット、それらをさっりとこなして心地よく聴かせる技量は彼女たちが元々は楽器のプレーヤーだったからだろう(ニューリンズフィルハーモニーオーケストラでマーシャはピアノ、コニーはチェロやサックス、ギターを、ヴェットはヴァイオリンやバンジョーを弾いていた)。Heebie JeebiesやRoll On, Mississippi, Roll Onでのコロコロ転がっていくような流暢なコーラスは誰の心も楽しくしてくれる。
■なんでもいいが僕のCDはDisc1と2の曲目が逆になっている、非常に難解だ。

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Bobby Charles / Last Train To Memphis

■ジャケがいいね、Bobby Charlesの久しぶりの新作は75〜01年の未発表音源15曲+近作3枚からのベストテイク19曲という2枚組。ファッツ・ドミノ、ウィリー・ネルソン、ダン・ペン、ニール・ヤング、クラレンス・フロッグマン・ヘンリー、ジェフ・マルダー、マリア・マルダーなど豪華メンバーが集っている。
■Disc1の未発表作品集は自曲の再演や提供曲の自演が目玉だろう。ザ・バンドに贈ったタイトル曲や、オヤジたちの合言葉にもなってる「See You Later Alligator」はとても興味深い。3枚のアルバムからのベストテイク集であるDisc2は「Clean Water」から6曲、「Wish You Were Here Right Now」から8曲、「Secrets of the Heart」から5曲(ちなみにClean Waterからの曲のうち5曲はSecrets of the Heartでの収録されている)の計19曲。どれも大らかな心持ちになることができるナンバーばかりだ。
■オクラ曲と既発表曲だけの企画ものアルバムで四半世紀以上の幅広い録音期間があるのにちっとも散漫さがないのには驚くばかりだ。いつでも時代を超えたグッドミュージックを提供してきたということだろう。いいモノはいつでも良い。Bobbyはそれを教えてくれる類まれなアーティストの一人だ。
■なおボクが解説しているのはProper Pairs盤を原盤にした日本盤。アメリカ盤であるBogalusa盤は多少曲目が違う。

■UK/Proper盤・US/Bogalusa・試聴の順で



Bobby Charles / Wish You Were Here Right Now

■94年発表のボビー・チャールズの癖にいやに元気なアルバム。ゲスト陣もWillie Nelson、Neil Young、Fats Dominoなどイヤに豪華だ。
■というのもこれはウィリー・ネルソンやニール・ヤング、フィドルのRufus Thibodeauxらと行った84年のセッション(後のファーム・エイドに繋がる)と91年のルイジアナ州モーリスでのセッションからなっているからだ。どちらもボビーがかなり楽しんでやったものであろう
■自らのヒット曲「See You Later Alligator」をザディコ風に再演したり、ジョー・コッカーに贈った「The Jealous Kind」のセルフやファッツ・ドミノに書き下ろした「Walking to the New Orleans」をそのファッツとともにセルフカバーしたり、とても楽しそうだ。
■前作前々作と比べると明らかにNO色が強い。血が騒いで作ったアルバムであろう。それにしても2回のセッションの間に10年近い時間が流れているのに違和感がないのがすごい。

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Bobby Charles / Clean Water

■割と地味な扱いに終始されたボビーの87年の自己レーベルRice'n Gravy/Village Greenからのアルバム。マボロシ扱いだった前作から15年の時間がすぎているにもかかわらず相変わらずの屈託のない歌声。前作も再起盤とは思えないほど力が抜けていたのでノンビリノホホンした人なんだろう。そこがいいのでもある。
■水質改善運動を謳ったタイトル曲やクラレンス・ヘンリーがヒットさせた「But I Do」のセルフカバー他、さりげないやさしさを感じさせてくれる佳曲が11曲。小さな、本当に小さな宝石だ。

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June Victory and The Bayou Renegades / June Victory and The Bayou Renegades

■Wilson VictoryことJune RenegadeがJune Victoryという名で(ややこしい)冠となった2作目、1998作。一作目よりグルーヴが強くなりドス黒くうねっている、これはかなりいいぞ!
■へなちょこバラードはいただけないがそれ以外はギター弾きまくり唄いまくり、ミーターズ風のリズムトラックといい、すべてがビンビン響いてくる。一般的に言って好盤だ。しかしやはりワンアンドオンリーな音ではない。作曲もAll Songs Witten by June Victoryというわりには決めのフレーズはトラッドからの借り物が多い。レネゲイヅである必要は?と問われるとやはり、、、<

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Bayou Renegade / Bayou Renegade

■レネゲイヅは75年に出来たインディアン・トライブで、特筆すべきことはバンドだということである。つまりコーラスやパーカッションだけではなく、自分たちで演奏するということだ。リーダーのWilson VictoryことJune Renegadeは8歳からギターを握り、O.V.ライトやジャッキー・ウィルソン、バーケイズ、マンハッタンズ、プリンス&ザ・タイムズ、アーロン・ネヴィルらと仕事をしてきたツワモノだ。
■そんな彼らが満を持して92年に発表したアルバムがこれ。ギターソロのインスト曲を織り交ぜながらNOの伝統とセコンドラインファンクを楽しませてくれる。かなり力強く粘着質なビートがとても心地いいが、問題は個性? クオリティの高さはお墨付きだが、パーソナリティがいまいち見えないのが残念。



Bobby Charles / Small Town Talk

■このアルバムはダブり。曲目も内容も前述の「Bobby Charles 」(+2は省く)と一緒。クレジットも(C)1988 See・For・Miles Record Ltd Made In Franceとなっている部分以外一緒だ。まあ名盤だから予備としておいておこう。

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Bobby Charles / Bobby Charles+2

■55年に「黒人レーベル初の白人アーティスト」として世に出たボビー、ニューオリンズを中心に歌手/コンポーザーとして活躍するも、60年代後半ドラッグに手を出したことにより不遇の時期を送る。起死回生作というには余りある名盤が作られたのは、厭世観より山村だったウッドストックに隠遁しようとした彼がたまたまニールヤングのバックメンバーと出会ったことがきっかけだったらしい。
■ザ・バンドやジェフ・マルダー、エイモス・ギャレットらのウッドストック派の若者らと作り上げた71年のこの作品はとってもリラックスしている。元大物の復活作というにはあまりにさりげない。「世に問う」という気負いを全く感じさせないからだ。それは彼自身の素朴でまっすぐに音楽を愛する人間性と、同じく音楽自体への愛情溢れるザ・バンドらが本当にいい音を作ることを目指した結果であろう。
■謳い上げるのではなく語りかけるようなボビーの歌声には真摯さと愛情が感じられる。全てを吹っ切ってただ自分が信じる音楽だけを紡いでいく彼と、現在の人気に溺れず、彼をリスペクトしサポートしていく若き音楽家たちの真心だけがこもったアルバムである。

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Brides Of Jesus / Saints & Sinners

■ギター&ヴォーカルのビル・アイソウを中心にアイヴァン・ネビル、イアン・ネヴィル、ラッセル・バティスト、さらにはスマイリン・マイロンでも活躍しているベースのマーク・ペロ、同じくベースに日本人のNori Naraoka等々、知ってる人は知っているニューオリンズの実力派を集めたブライヅ・オヴ・ジーザスの2002年の2ndアルバム。
■初期ミーターズのようなインスト曲#2、オルガンとギターがジャムってる#7、の他、オルタナカントリーかと思わせる曲やゴージャスなブラスが聴ける曲など引き出しも多い。またJerry Garcia BandやPete Townshendのカヴァーもあり、ビックリ箱のようなアルバムだ。
■しかし、バラバラの印象を持つことなく全体が一つのトーンできっちりまとめられておるので、安心して聴くことが出来る。今後かなり期待大のバンドだろう。

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Brian Stoltz / East Of Rampart Street

■ネヴィルズやファンキーミーターズのギタリストとして名を売ったブライアン・ストルツの2002年のソロ作。セカンドラインファンクから離れてのびのび好きなことをやっている。
■離れるっていっても離れすぎじゃないの?ってくらい、アーバン・ファンクだったりラップだったり、なんかU2っぽい音だったりで、ストルツの本当にやりたいことがこのアルバムなのだとしたら、彼はメインストリームのヒットチャートで生きたかった人なんじゃないだろうかと不安になる。
■しかし純粋に音楽を楽しめば、かなりソリッドでクールなサウンドは実に心地いい。ギターのカッティングも流石!とうならされる。ロックの言説で語ったほうが評価される作品だろう。ゲストにArt Neville(Vo)、George Porter Jr.、John Gros、Ivan Nevilleなどなど。

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Big Sam's Funky Nation / Birth Of A Nation

■20代にしてDirty Dozen Brass Bandのメンバーになり、初アルバム(Medicated Magic)でいきなり一曲目(Ain't Nothin' But A Party)のコンポーザーとして抜擢された期待のトロンボーンプレーヤー、Sammie Willliams。その彼が率いるバンドのデビューアルバムがこのBirth Of A Nation。
■デビューアルバムでOff BeatMagazineのBest Emerging Brass Bandに選ばれただけありとても活きのいいアルバムだ、しかしそれだけじゃない。ジャケを見るだけではBoneramaのようなチカラワザ的大音響のブラスにラップでも絡んでくるのかと思いきや、実はかなりメロディアスである。音の組み立てもかなり緻密で心地いい。
■リズムがキチッとしたグルーヴを刻んでいる上に、メロディを大切にした3本のホーン(トロンボーン・トランペット・テナーサックス)が一音の無駄も出さないようにと綿密に計算されたようなブロウを聴かせてくれる。10曲中7曲の作曲もしており、捨て曲がない。カバー曲でもJelly Roll Mortonをファンクナンバーにするあたり粋な心得もある。DDBBが認めただけあり、かなりの力量がプレーヤーとしてもコンポーザーとしてもあるのだろう。これは本気で「期待の新人」だ。購入以来カーステから離れないぞ!(笑)
■ただ、完成形を追い求めすぎて、将来的にはブラスフュージョンに落ち着いてしまうのではないかという不安も感じる。もっとはじけてみてもいいんじゃないかな? (2004/03)

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Bonerama / Live At The Old Point

■トロンボーン5本+スーザホン1本+ギターとドラムというきちがいじみた編成のユニットの名門オールドポイントでのライブ。これだけはぜひ大音量で聴いてほしいアルバムだ。圧倒的な重低音、怒涛のような音の洪水、気が狂ってきそうにFUNKである。
■こんな大編成でLed Zeppelinの「Moby Dick」、Edgar Winterの「Frankenstein」をやっているんだから、ハードロックがいくら大音量でギンギンにプレイしても勝てるわけがない。冒涜的にカッコいい、というかズルイよ、力技じゃんか(笑)。

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