New Orleans C






Chocolate Milk / Action Speaks Louder Than Words

■「行動は言葉より多くを語る」は乳首スケスケのジャケが「ソウルLPジャケット名作50選」にもランクインされているニューオリンズのファンクバンドのデビューヒット曲。音的にも世の中の捉えられ方としてもレアグルーヴやDJのサンプリングネタの世界で語られるのだが、なんとAllen Toussaintプロデュース。ミーターズの足跡を追いかけてメンフィスからNOに移った彼らはトゥーサンのハウスバンドとしてツアーやアルバムのバッキングをこなしている。また、MetersとともにPaul McCartneyのセッションにも参加しているというこちら好みの経歴を持っている。
■音はねちっこいビートとメロウなメロディでゆったり踊ることができるし、女の子を口説くにもとてもいいだろう。トゥーサン、こんな芸もできるんだなあという笑える見本みたいなもの。トゥーサンの白人ソウルで特に活かされる「甘さ」がメロウファンクのメインストリームにもとてもフィットしているという証拠だ。
■このバンドはトゥーサンと袂をわかってすぐに崩壊してしまうが、リーダーのAmadee Castenell Jr.はJAZZサックスプレーヤーとして今でもルイジアナで活躍中である。試聴したが全然違う音だった。人ってわからんものだ。

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Coolbone / Brass-Hop

■HipHopとブラスバンドの融合をテーマに様々なチャレンジをしているSteve "Coolbone" Johnson(とジョンソンファミリー)のヒップホップブラスアルバム(タイトルどおりだな・・・)。
■Coolboneは97年に2枚のアルバム(Coolbone Swing Troop名義とコレ)を出しており、どっちがデビューアルバムなのかはよくわからないが、こちらでは生音+ヒップホップラップという感じ。名前のとおりクールなリズムの上にラップがかぶさり、バックを抑制されたホーンが押さえるという構成で、2006年としてはちょいと古い感じがしなくもないが、私らのような若いヒップホップにはちょっとついていけない年代にとっては心地いい。
■「ミシシッピーのほとりから」では「ホーンを使ったスチャダラパーのようだ」と揶揄されていたかれらだが、先行シングルだった"Nothin' But Strife "ビル・ウィザースの"Use Me"などを含め、(当時で考えるなら)新しい音と旧来のメロディを巧く解け合わせていたといえよう。ゆるゆるヒップホップの代表曲になるかと思わせる「聖者の行進」はヒップホップ嫌いでも一聴の価値あり。

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Craig Klein / New Orleans Trombonisms

■怒涛のブラスで全てを蹴散らしてしまうブラスファンクバンドBoneramaの中心人物であるクレイグ・クラインのソロアルバム。しかしBoneramaのような重厚なブラスアンサンブルを期待すると肩透かしを食ってしまうかもしれない。
■オーウニングこそアフロなリズムとクールなアンサンブルで何かが爆発するのを期待させてしまうが、オールドジャズやスイング、セカンドラインを中心とした以外と大人しい曲が多くを占めている。つまりトロンボーンの音色をとことん聴けということだろう。ゆるくて温かみのあるその音は人間臭さが感じられ、なんとなく安心させられる。
■4曲目のボーカルに絡むSmiley Rickのチャント、5曲目のキャバレーソングのようなJohn Boutteの唄(語り?)、ジャンプナンバーでもあり、もっとも盛り上がるであろうスイングの10曲目、ボブマーリーの12曲目等トロンボーン以外でも聴きどころ満載だ。

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Cyril Neville and the Uptown Allstars / For The Funk Of It - Remembering Benny's Bar

■戦うフォンクマスター・シリルの2004年最新作。ヴァレンスストリートに97年まであったBenny's Barへのトリビュート的な意味合いが強い。
■そうはいってもCyrilのこと、決して甘い音を奏でるわけではない。強いパーカッションのビート、攻撃的な歌声、何を言っているのかは皆目見当つかないのですが、すごくメッセージ色が強いのだろうということは伝わります。レゲエのリズムが目立つのも彼らしい。 以前からその傾向はあったが、このアルバムでは特にHipHop色が強くなっている。しかしそれはメッセンジャーとしてのシリルにとってとても相応しい選択なのかもしれない。
■聴きどころはかなり激しいジミヘンのFoxyLadyとトロピカル風味になったカーティス・メイフィールドのI Need To Belong(To Someone)、あの美しいバラードがリズミカルでぜんぜん甘くない出来です。自作曲でのオススメは電子音とチャントを融合したBig Chief Jollyの硬い肌触り。そして対照的な大地から力を得たような8分以上の大曲Indian Red。HipHopもレゲエもブラックインディアンもシンセサイザーも自らの腕力にしてしまうシリルはやはりステキな男である。

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Cousin Joe / Complete Recordings 1945-1955

■1907年生まれのピアニスト・ギタリスト、カズン・ジョー。ブルーズとジャンプの両ジャンルで語られることの多い彼の45〜55年サヴォイ、ゴーサム、デッカ、インペリアル等で録音された64曲をコンプリート。多分同じ内容でBlue Moonレーベルから各2500円近くで出ているが、こっちはNight Trainから3CDボックスで19.95ドル。
■誰もがいうようにやはり3枚目の出来が秀逸だ。ノリに乗っているというか、上手い具合にブルーズとジャンプがブレンドされて、ムチャクチャ楽しい雰囲気を作り上げている。アットホームなピアノとトーキングボイスがチャーミングな#2、タイトルのわりにスロウブルーズで笑わせる#4ハイパワーガール、とにかくハイスピードで楽しい#11・20、ブロウするサックスが怒迫力の#19、ジャンプジャンプジャンプ!!な#22まで、人の気も知らないでどんどん引っ張っていく。
■しかし、その後のバラード2曲はいいが何故「サンタがママにキスをした」でこのコンプリートは終わるのだろう? それだけが妙な気分だ。そしてこのCD、直輸入だから安かったのは良いが、ボックスにボールペンで商品番号が落書きしてあるのはいただけない。

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Crescent City Gold / The Ultimate Session

■94年発売の"ドリームチーム"のアルバム。Allen ToussaintにDr.John(ギター担当。本名のMac Rebennack名義)、ファッツドミノやジョニー・オーティスのバックで活躍したドラマーのEarl Palmer、50年代のNOサウンドを引っ張ったサックスのAlvin TylerとLee Allen、そしてピアノのEdward Frank。この3人はデイヴ・バーソロミュー・バンドのメンバーだった。その他ウイリー・ティーの相棒ベーシストのErving Charles, Jr.など参加ゲストも盛りだくさん。ファッツ・ドミノ、スマイリー・ルイス、リトル・リチャードなど50年代のNOのR&Bスターたちをこの世に送り出したJ&Mスタジオのハウスバンドを現代に再生させたという趣向だ。
■R&B、ラテン、ブギウギなどNOらしいジャンルの曲を新曲、カバー織り交ぜて、楽しんでいる。「究極のセッション」というバンド名とは裏腹に実にホンワカ楽しげな演奏だ。意気込んで聴くとちょっと肩透かしを食らうかもしれない。メモリアルな演奏とジョンとトゥーサンの共演という部分で楽しんで欲しい。(2004/02)

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Corey Harris & Henry Butler / Vu-Du Menz

■「マッコイ・タイナーの左手、プロフェッサー・ロングヘアーの右手」と言われた盲目のピアノスト、ヘンリー・バトラーが若きドブロギターの雄コリー・ハリスとデュオアルバム。2000年アリゲーターレコードの名盤だ。
■当時31歳のブルーズマン、コリーと52歳のジャズマン、ヘンリー。世代も歴史も違った二人だが、そのルーツミュージックへの真摯な姿勢は近いものがあったのかもしれない。軽やかに転がるくせにロマンチックなピアノとハリスの若々しい歌声が重なる部分がとてもすがすがしくて気持ちいい。
■たしかにニューオリンズブルーズやデルタブルーズをギターとピアノの弾き語りで演奏しているだけなのだが、何かが違う。ルーツではない音なのだ。良くはわからないがルーツ音楽の形をした新しい音楽のような気がする。既存の音楽の全てを抱合した新しいルーツブルーズ、そんな肌触りの音である。言葉足らずでごめん。 (2004/02)

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Cool Riddims & Sista Teedy / Pledge to My People

■John Boutteの姪Tricia Boutteのグループユニット、98年作でAllen TousaintのプロデュースでNYNOからリリースされている。Triciaはこの時期Sista Teedyを名乗り、Blue LouieやNew Orleans Nightcrawlersなどのアルバムでも姿を現しているが、こちらはCool Riddimsというレゲエグループの一員としてがんばっている。
■まだまだあどけない表情のジャケだが、歌の方はかなりのもの。全体を貫くレゲエビートを自由自在に操り、時には攻撃的に時には優しく大らかに唄いこむ実力は大したものだ。この後彼女はその歌唱力をフルに使いJAZZ畑にのめりこんでいくが、その前のお茶目な姿をとどめておくならこのアルバムだろう。
■大いなる音楽への愛を歌い上げる#4 Music All Around、とても攻撃的なTriciaの声が聞ける#1 Thanks and Praise、大らかなビートをバックに高らかに唄うタイトル曲の#9 Pledge to My Peopleなど聴きどころ盛り沢山。

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Cubanismo feat. John Boutte The Yockamo Allstars
/ Mardi Gras Mambo: Cubanismo! in New Orleans

■John Boutteは昨年にも紹介しましたが、甘くてほろ苦いハイトーンボイスが魅力のニューオリンズのヴォーカリストです。昨年の時はレトロ風味のソウルで占められているソロアルバムと、ケイジャンザディコ〜カントリーのフレイヴァーに満ちたバンドUp Town Okraとのユニットをご紹介しました。今度はキューバンです。
■ハバナを拠点に活躍するソンのバンドCubanismoクバニスモはトランペッターのJesus Alemaniyヘスス・アレマニを中心にソンの実力者を集めたオールスターバンドで、96年にデビューしたそうです。2000年に発売のこのMardi Gras Mambo: Cubanismo! in New Orleansはタイトルどおり、長年交流の深いキューバとNOの融合がテーマなのでしょうか、The Yockamo Allstarsというニューオリンズジャズバンドとの共演そして約半数の曲でJohn Boutteがリードボーカルを取っています。
■まさに融合という言葉がぴったり、というかこの2つの音が根底で繋がっていることを再認識したというか、ラテン調で聴かせるMother In LawやIko Ikoが全然違和感を感じさせず、元からキューバンだったような気分になります。妖しげなキューバンメロディにのって流暢に唄うブッテのボーカルに聞きほれます。キューバンのコーラスとのやり取りも絶妙なことこの上ありません。そしてめくるめく熱帯の夕べを演出するこの一枚はハバナとNOのブラスが交わりあうミディアム曲で幕を閉じます。曲名もCuborleans、同じ血を受け継ぐ2つの街の融合を宣言しているかのようです。
■ソウルにカントリー、キューバンそして99年にはなんとも甘いジャズアルバムも発表しているブッテ、様々な音楽のなかで光り輝くその歌声はどこを開いても魅力的なアーティストであることを証明しています。

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Charmaine Neville / Queen Of The Mardi Gras

■クイーンなんてついているが、まだまだネビルのPrincess、チャールズの娘シャーメインの98年の作品。ジャケも可愛いが音も可愛い。思わず微笑んでしまう。
■しかし演奏が拙いとかそういうことではない。こんな伝統的な音作りを若い女が行なっていることに微笑んでしまうのだ。ここにあるのは綿々と続くNOサウンドそのままだ。それを若い女性が誠心誠意、堂々と唄っているのだ。
■はちきれんばかりの元気印が実に潔く快い。名盤というには早すぎるが何度でも聴きたいアルバムだ。

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Cyril Neville / New Orleans Cookin'

■20世紀のニューオリンズを総括しようとしたのだろうか? 2000年発売のこのアルバムはNOの魅力に満ちている。TipitinaやTell It Like It Is、Soul TrainなどのR&Bの名曲がぎっしり。まさに黄金時代へのトリビュートだ。
■出演者もGary Brown、James Andrews、Allen Toussaint、Eddie Bo、Willie Green、Corey Henry 、Charles Nevilleなどなど盛りだくさん。地元ではDr.Johnの「Gumbo」以来の作品だ大絶賛だったそうです。
■ 元々はProf.Longhairに捧ぐということで自主制作した「ME AND FESS」というアルバムが元になっているようですが、とにかく楽しい! やっている彼らがまず楽しそうで、その楽しさが伝わってきてなお楽しい! 楽しみながらもNOの音の歴史を一枚に封じ込めた手腕は素晴らしいです。TipitinaでのFessばりの唸りに拍手! (2004/03)

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Cyril Neville and the Uptown Allstars / Fire This Time

■ネヴィル兄弟の末っ子シリルが94年に世にとうた初ソロ。日本盤には「服部剛丈君の家族にささげる」と謳われている。「フリーズ」の意味がわからずに撃ち殺された留学生のことだ。銃社会への警句を説くとは政治や社会問題に熱いシリルらしい。タイトルもJames Boldwinの小説「The Fire Next Time」からのインスピレーションだそうだ。
■しかし、英語の聞き取れないボクにとっては上質なファンキーアルバム。セカンドラインだけではなくポップスや甘茶ソウル、ラテンの要素も取り入れ、バラエティに富んだダンスアルバム。楽しく踊れること請け合います。
■特にホーンと歌の絡みがスリリング、全体的には(歌詞から表れているのか?)圧倒的な腕力で追い立てられるようなスリルを感じます。それにしてもIguana Records盤、Endangered盤(2種類)、日本盤、、、みなジャケが違うのは何とかならんかね、2枚買っちゃったよ(笑)

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Coolbone / Ole School Flava

■Steve "Coolbone" Johnson、2002年の個人名義アルバム。本領であるHIPHOPとBrassBandの融合を大真面目に取り組んだアルバムだ。
■一曲目からいきなり気持ちい〜いブラスをバックにバスの効いた低音ボイスがラップを絡める。Grover Washington Jr.のMr MagicにP-FunkのFlash Lightだ。そして2曲目はOhio PlayersのSkin Tight、そしてJust The Two Of Us、Let's Get It On、Got To Be Realなどなど、タイトルどおりオールドスクール好きのナンバーが並ぶ。
■オールドスクールラップのお皿回しの代わりにブラスバンドでやってしまいましたというコンセプトだが、曲によってはラップやボーカルがヘボヘボなのがちょっと哀しい。バンド自体はユルい演奏がなんとも気持ちいいのだが、、、実はHipHop世代より我々のほうが受ける作品のような気がする。(2004/03)

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CoolBone Swing Troupe / Bone Swing

■Steve "Coolbone" JohnsonはHipHopとブラスバンドの融合をテーマに様々なチャレンジをしているが、このアルバムではCoolbone Swing Troupeという名義で(Coolbone名義やCoolbone Brass Band名義やら)オールドタイプのスイングジャズをかなりユルくやっている。
■バンド名義ではJames Brownや Geroge Clinton、B.B. King、Ben Harper、 David Byrneなど大物の前座をやっているのに、このアルバムは全てがお決まりの音、演奏で何も新しいものはない。こんなんだったら、昔の名盤を聴けばいいじゃないかーと感じてしまう部分もママある。しかし何故かこのユルさが癖になる。やめられない、リピートしちゃう、一緒に唄っちゃう。他の力の入った革新的な作品をきちんと聴いていないので良くわからないが、この人すっごく曲者かもしれない。2000年の発表。

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