New Orleans D






David Batiste & the Gladiators / New Orleans Is Coming back

■David Batiste & The Gladiatorsの2007年に出た新譜New Orleans Is Coming Backはニューオリンズ復興を願うタイトルチューンがユルファンクでなかなか良い。
■ 全然知らなかったバンドだが、http://www.davidbatisteandthegladiators.com/のバイオによると1962年に出来たバンドでキーボードのディヴィッドを中心の兄弟バンド。70年にFunky Soulというヒットがあり(あったかもしんないなー)、ほとんどの時期をツアーに明け暮れていたようだ。でもミーターズのヘルプをやったり、懐かしのサタデー・ナイト・ライブに出演していたりと時代を感じさせる活動をしているらしい。またパパグロやFunky MetersのDavid Russell Batiste, Jrのおとっつあんなんだな。これでやっと色々見えてきた。
■ で、曲もオルガン中心のインストあり歌あり、レアグルーヴ好きなら「おおお」とよだれをたらしそうなラインナップ。Funky Soul part1&2やFunky Hipsなどのヒットチューンにはさすがっと唸らせるものがある。しかしたぶん新曲の数曲は馴れ合いのゆるゆる感が強くBGMになりかねない。バーケイズやユルメのR&Bインストファンクが好きな方なら良いと思う。

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Dirty Dozen Brass Band / What's Going On

■あのカトリーナから1年後に世に出たDDBBの「What's Going On」を僕はまだ消化できていない。
■ Marvin Gayeが70年代初めに時代の全てに対して怒りをぶつけたアルバムの全曲コピーであるこのアルバムは9曲中4曲はインストで残りはChuck D、Bettye LaVette、Ivan Neville、G. LoveそしてGuruがラップとヴォーカルで参加している非常に派手な「売る気満々」の企画アルバムに見える。しかしその実態はかなりクールなグルーヴとへヴィなテーマが蔓延し、とても心地よくなったり、酒が美味くなるアルバムではない。少なくとも(世界一有名な)ニューオリンズブラスバンドの代表的な音ではないのだ。彼らはまったく別の境地にいる。それはジョン・メディスキをプロデューサーに迎えた99年の"Buck Jump"から連なる音だ。しかし今回はそのジャムっぽさやクールファンクの手法は使っていても彼らのソウル(魂)が音楽を楽しむことには向かっていない。
■ Marvinが「What's Going On」で表現しようと試みた災害や争い、対立などへの「怒り」や「悲しみ」「救い」を自分たちの音で表現しようとしている。これはボーカリストならもっとたやすいことだろう、しかしスーザホンやラッパでメッセージをどうやって伝えるのだろうか? 結論としてなのかどうかはわからないがこのアルバムは大変抑制された怒りを表現しているといえる。野太いホーンによる力任せのパーティタイムを繰り広げていたブラバンがこれだけ沈んだ表現をするとなるとかなり大きな憤怒であろう。
■ さてここまではアルバムの作りであるが、僕が消化できないのはここからだ。このような音が作れるミュージシャンはもはや音楽家ではなく表現者であろう。メッセンジャーであり、ボブディランでありピカソなのだ。しかし発言者であるブラバンというのがアリなのかナシなのか、これから未曾有の表現力を手にしてしまったこのバンドはどこへ進もうとしているのだろうか? そのあたりは考えても仕方ないのだろうか、じっと注目している以外には。ファンとしてはとにかく「あっちの世界」に行ってしまわないように祈る限りだ。



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Dr. John / Desitively Bonnaroo

■74年発売の7枚目、邦題は「恐るべきファンキードクター」だったらしい(笑)。In The Right Placeの続編的アルバムでプロデュースもアラン父さん、バックもMeters。 74年のMetersといえばRejuvenationの頃、ストーンズの前座やって翌年にはマッカートニー夫妻の船上ライヴが控えている。悪いわけがない時期だ。
■ヒットも飛ばし絶好調のDr.とストーンズにまで名前の知られたMeters、そして様々なアーティストにニューオリンズ詣でさせて一種の信仰になりつつあったアラン・トゥーサン、絶好調の3者ががっぷり組んだアルバムだが、意外に落ち着いた作りである。しっかりとNOの伝統を踏襲しながらGris Grisのようなドロドロさ、弾力的なファンクのどちらもを聞き心地の良いマイルドな音に仕上げて、極上のR&Bアルバムに仕上げている。「プロの仕事」のサンプルを見せられたようにうなづくしか出来ない。まさにGood Music Of New Orleans!!

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DocHoulind Ragtime Band meets John Boutte / Live At Femo

■デンマークはコペンハーゲンを中心に活躍するニューオリンズスタイルのジャズドラマーのシクステットがご存知ジョン・ブッテをゲストに迎えた96年のFemo Jazz Festivalでの録音。
■全12曲中ブッテがボーカルを務めるのは7曲。どれも気取らないビター&スィートなブッテワールドが堪能できる。日本でもそうだが、ビッグバンドの影響だろうか本場以外の国のアーティストのデキシースタイルはちょっと上品だ。そこがまたブッテらしさとマッチしている。
■インストでリードを取るクラリネットやトランペットも気分よく、また主人公のDoc Houlindも2曲でボーカルを取っているがこれがまた皺枯れていてオールドタイミーなムードを醸し出している。何回聞いてもいい作品。新譜では入手不可能なのがとても残念。



Dr.John / N'Awlinz Dis Dat Or D'Udda

■ニューオリンズ自体に贈るアルバムということで、ゲストもてんこ盛り、カバーも盛りだくさん。しかし、発売当初のCCCD騒動で躓いたことが象徴するように、なんとなくイマイチなアルバム。
■Wardell Quezergue、Mavis Staples、Earl Palmer、John Fohl 、Davell Crawford、Dirty Dozen Brass Band、Cyril Neville、Nicholas Payton、Willie Tee、Creolettes、Eddie Bo、Randy Newman、Willie Nelson、Snooks Eaglin、B.B. King、Clarence "Gatemouth" Brown、Walter "Wolfman" Washington・・・いやあたくさん集めましたねえ、それも一癖も二癖もある人たちばかり。マックの交友と名声のなせる技ですか、しかし結局誰のアルバムなんだ? というのが最後まで残る感想。ボクはDr.Johnを聞きたくてこのアルバムを買ったのだよ、ニューオリンズオールスターズを聞きたかったわけじゃないんだ。それがこのアルバム全体を象徴する言葉だ。
■一曲目はRuben Gonzalezに、11〜13はCousin Joeに捧げられている。曲のクオリティはどれも秀逸だがやはり寄せ集め感が否めない。やりたいこと全部、手を広げすぎだよレベナックさん。

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Davell Crawford / Let Them Talk

■赤版が版ズレまでしていて究極のダメジャケ(失礼)なのだが、古き良きニューオリンズR&B大好き人には堪らないアルバム。Davellは「ジャコモ」でおなじみのJames "Sugar Boy" Crawfordの孫。95年のメジャーデビューアルバムである。
■いきなりChirs KennerのNOらしいR&Bできたかと思えば、2曲目はゴスペルをピアノソロなんて一筋縄ではいかなさそうな雰囲気。ほとんどカバー曲で、祖父のものが4曲、Joe Turnerバラードや、Clovers、タイトル曲のLittle Willie Johnのスタンダード等。ブルーズ、R&B、ノヴェルティ、ゴスペルなどさまざまだ。
■ピアノソロはオリジナル曲が2曲ある。こっちはとても滑らかで美しいファンクピアノ。才能の萌芽を感じさせるに充分だ。しかし歌曲部分は「古き良き」を再現するアルバムとしては楽しいの一言に尽きるが、まだ個性が出ていないというか、「だったら昔のものを聞けばいい」という元も子もない結論に陥りそうな危険性を感じる。
■数曲Wardell QuezergueがアレンジしていたりAlvin Red TylerやSnook Eaglinのバンド仲間らが顔をそろえているのはさすが祖父の七光り? 安心して楽しめるアルバムです。

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Dr.John / All by Hisself: Live at the Lonestar

■'86年、NYはLone Star Cafeでのピアノソロライヴ ボーナスDVD付。古いライブを何でいまさら?と思ったが、なんでも取り貯めしたライヴを5回に分けて出す予定だとか。これがその第一弾らしい。
■タイトルどおりエレピとヴォーカルのみの録音なので結構たのしい。しかし妙に軽い感じがする。ピアノ弾き語りってもっとなんだかしっとりしてそうなのに、すこぶるラフな雰囲気である。ちょっと近くまで来たんでピアノもあるし唄ってみますか!ってか感じ。トリッピンライヴの重厚さとは対照的かも。聴いているうちに俺もウィスキーが欲しくなってきたぞー。そういう意味でオススメです。 (2004/01)

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Dr.John / Tango Palece

■79年発表のA&M/ホライズンからの2作目。本来のニューオリンズ・ファンク・サウンドをたっぷり味わえる。
■Tommy LiPumaとHugh McCrackenのプロデュースは前作のように自分たちのフィールドにドクターを押し込めるのではなく、ドクターの世界を上手く表現できるように自分たちが力を貸すという感じ。そういう意味でNO原産のアルバムとも違和感なく楽しめる。
■その上A&M擁するプロフェッショナルスタジオミュージシャンたちがドクターの手助けをしているのだからサウンズライクなことこの上ないアルバム。スティーヴ・ガッドの切れのいいハイハットをバックに唄うドクターの声の伸びやかさ。いいアルバムだね。文句ない。名曲Renegade、Louisiana Lullabye収録。 (2004/01)

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Dr.John / Trippin' Live

■His First Official Live Albumと(発売当時の)ジャケに謳われている様に彼の20年以上の芸歴を持つドクターの初のライブアルバムである(「Such a Night! Live in London」は認めていないのだろう)。
■ロンドンはロニースコッツの録音であるこのアルバム、特に言うことはない。そのベテランぶりが遺憾なく発揮された好演だ。安心して音に酔える。バックの7人も長い間一緒にやってきているらしい。呼吸もぴったりだ。ファンキーでロマンチックで軽快。
■聴きどころはラストでラプソディ・イン・ブルーのさわりが聴ける#4、NOの伝統とマルディグラの雰囲気を余すところなく発揮したメドレーの#9、そしてNOフォロワーで知られるスクィーズのジュールズ・ホーランドがピアノで参加する#10。ここではドクターのギターが聴けます。

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Dr.John / Television

■94年のFUNKYアルバム。なーんかしばらくの間大人しくなっていたジョンが久々に世に問うたファンクアルバムだったのだが、民族衣装でテレビのリモコンを差し出しているジャケに不安感が。。。
■しかし、中身は問題なく心地いいファンクです。プロデュースにA&MのMcCrackenも参加してるしタンゴパレスが好きな人にはとてもいいかな。洗練されてます。ロニー・キューバ、ランディ・ブレッカー参加。

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Dr.John / City Lights

■Dr.JohnのA&M/ホライズン移籍第一弾として発表された78年のアルバム。AOR界の名コンビ、Tommy LiPumaとHugh McCrackenの完璧なプロデュースの下、NYの夜景にぴったりなシティサウンドが繰り広げられている。
■しかしNOの重鎮とNYというのはなんともおかしな取り合わせである。しかしそれが(レベナック本人の意思とは関係なく)上手く嵌っているのだから興味深い。バック演奏はMcCrackenを始めとしてSteve Gadd、David Sanborn、Neil LarsenそしてRichard Tee。
■やはり聴きどころはNYとNOのピアノ対決。。。かなり興味深い結果になっています。

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Dr.John / Ultimate

■良くも悪くも初期ドクタージョンのベストアルバム。GrisGris、Remedies、Gumbo、In The Light Place、Destively Bonnarooより14曲をセレクト
■彼の足跡を知るのには好盤だ。


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Dr.John / Gris Gris

■バラカン氏が挙げる、68年の奇妙な3枚のレコードの1枚(ちなみにその他はTheBandのMusicFromBigPinkとVanMorrisonのAstralWeek)。DrJohnのデビューアルバム。
■あの軽快なピアノがうれしいGumboや昨今のジャズっぽいものを期待すると肩透かしを食らうかもしれない。全編ドロドロした呪術的な音で占められている。あぁそうか、伝説の呪術師「ドクタージョン」をイメージしたアルバムなんだ、といまさらながらに気付かされる。
■このディープさがナマのニューオリンズなんだろうな、本当のヴードゥー社会を垣間見ることの出来る時間だ。こわいよーヽ( ;´Ο`)丿  

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Dr.John / Creole Moon

■いやー復活です。10年以上スタンダードジャズやなんかばかりやってすっかり爺くさくなっていたドクター、しかし2001年に発表されたこのアルバムはまさにFUNK。ジャムバンド等の若い動きに触発されたのか、高潤度ファンキーアルバムになっています。リズムも唄もうねりまくり! アップビートでもバラードでもまさにドクター流(=NO流)FUNKの醍醐味バッチリです。
■ゲストのFred Wesleyのホーンも光ってます。ライナーにNO方言解説表付き(笑)。

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Dr. John /In The Right Place

■Gumboに続いてリリースされたDr.John最大のヒットアルバム。こちらはオリジナル曲中心。ニューオリンズのヒットメーカー、アラン・トゥーサンのプロデュースで、ファンクの創始者ミーターズをバックにしたコンテンポラリー・ニュオリンズ・ファンクの完成版。
■このアルバムにはDr. Johnの最大のポップヒットとなった「Right Place, Wrong Time,」を収録、1973年のチャートで3位になったヒット作である。また、「Such A Night」というほろ苦くも美しいミディアムバラードもあり、まさに当時のルイジアナのPOPSの究極の形といえる。やはりHe Is New Orleans!

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Dr. John / Dr. John's Gumbo

■Dr.Johnはニューオリンズそのものである、といっても過言ではない。そしてこのアルバムGumboもニューオリンズMusicそのものである。
■ドクタージョンことマック・レッベナックの、先達たちへの愛と尊敬に溢れたこのアルバムは忘れ去られていたニューオリンズジャズやファンクのスタンダードを総括的にカバー。ロック一辺倒だった70年代初頭の音楽ビジネス業界にニューオリンズの素晴らしさを知らしめた。まさにセカンドラインのドクトリンである。
■ゆるゆるとしたビートに身を委ねながら、ジョンの軽やかなピアノに耳を傾けると、全ての音楽を受け入れて自分流に仕立ててしまうルイジアナの懐(ふところ)の深さを感じてしまう。まさにこれがホンキートンク。ミシシッピのすべてがここにあるといえよう。

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Doc Souchon / Early New Orleans Minstrel Days

■バンジョーやギターを爪弾きながら優しくもへなちょこな歌を聞かせるEdmond Souchonは本当に医者だったらしい。
■ミンストレル・ピリオド、吟遊詩人の時代と訳してしまうとなんだか興ざめだが、1835-1875の時代の音のつもりらしい。というのも本当にそうなのか分からないからだ。
■そんなことよりも、音に耳を傾けよう。ボードビル、ティン・パン・アレィ、ラグタイム、そんな時代を思い起こさせる素朴で温もりを感じさせる歌の数々、このアルバムを聴きながら白河夜船に身を任せたいものだ。

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Dr. Michael White / Jazz From The Soul Of New Orleans

■古きよきデキシースタイルを持るクラリネット奏者、Dr. Michael White。Basin Streetレーベルに移籍しての第2弾だ。
■温かい木管の音にふとなごんでしまう、激しくもなくマッタリでもない、柔らかくも楽しい4ビート、それがマイケル・ホワイトの売りなのか、お祭り時の街角をそぞろ歩きするような、かなり贅沢な時間を送ることが出来る。数曲ごとにボーカル曲も入るので飽きも来ません。
■古臭い作りの音なのに、その古さを感じさせないのは効果的に各々の音が整理されているからだろう。古さだけ抜き取って、豊かな「懐かしさ」を残しておいた音作りに惚れてしまう。

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Deacon John Moore / Deacon John's Jump Blues

■ディーコン・ジョンは40年のキャリアを持つスライドギタリストで、Cosimo MatassaのスタジオバンドでAaron NevilleのTell It Like It IsやChris KennerのLand of 1000 Dancesを、アラン・トゥーサンのスタジオバンドではErnie K-DoeのMother in LawやLee DorseyのWorkin' in a Coal Mine、Irma ThomasのRuler of My Heartなどのヒット曲のバックを務めている。60年代にすでにソロでなんともいなせなR&Bチューンを発表している。近年では90年にヘボいボーカルフュージョンまがいのアルバムを出したり、コテコテなブルーズのライブアルバムを聞かせてくれたりしていた。しかし、その40年にも及ぶ活動が認められ、2000年にめでたくLouisiana Blues Hall of Fameに選ばれた。今回のアルバムはそのお祝いアルバムのようだ。ライブ録音で、DVDも同時発売している。
■しかしこのアルバムは彼らしいブルーズアルバムではない。Wardell Quezerque指揮するビッグ・バンドをバックにスイングするJump&Jiveのアルバムなのだ。記念アルバムで新趣向を見せる(それも真似事ではなく完璧なジャンプミュージック!)とは引き出しの多いアーティストはいいねえ。Ray CharlesのJumpin’In the Morningで始まるスタンダード14曲、どれもご機嫌な大人の娯楽である。
■トゥーサン、ジョン、バトラーらの豪華なキャストが決して出すぎることなく、あくまでバックミュージシャンとしてディーコンのハイトーンヴォーカルをサポートしているのがとてもいい調子を出している。トゥーサンにドクター・ジョンの曲を弾かせたり、そのドクターにTIPITINAを弾き語りさせたりなんとも興味深い。また、Teddy Boutte(John Boutteの姉妹)が唄うPiece of My HeartはJanis Joplinが唄った事で有名だが、こちらはオリジナルのErma Franklinのヴァージョンを元にしている。
■そしてこのアルバムの別の趣向だが、ピアノの聴き比べも楽しい。Allen Toussaint、Dr.John、Henry Butlerらツワモノまざり、若き実力派のDavell Crawford(Jock-A-Moのヒットで知られるSugar Boy Crawfordの孫)の鍵盤も聴くことができる。4人のキーの聞き比べ、かなり興味深い。
■そんなクレジット系だけでも充分魅力的なこのアルバムだが、やはりなんといってもディーコンのジャンプ&ブルーズのグルーヴがなんといってもいい。スマートで楽しく派手なところは派手に、抑制するところはきちんと抑制したビッグバンドダンスミュージック。40〜50年代でもこんな楽しいスイングはなかなかお耳にかかれなかったでしょう。ご祝儀どころか、とんだ実力を見せ付けた名盤になっています。

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Big Chief Donald Harrison, Jr. / Big Chief Donald Harrison, Jr.

■「Young Guardians Of The Flame」のDonald Harrison,Jrのソロアルバムです。しかし、JAZZ好きの方なら知ってるでしょうが、Donald Harrison,Jrって40歳前後のサックスプレーヤーですよね、しかしこのアルバムはHipHopアルバムなのです。
■のっけから強いビートにラップと女声コーラスが絡みます。かなり流行の音です。2曲目はもっとダンサブル。3曲目になるとインジャンっぽいコール&レスポンスになりますが、ビートはNOのFUNK、そして装飾はHipHopのアレです。どこにもDonald Harrisonらしいサックスは聞こえてきません。
■思うに今回の主役はJAZZ音楽家Donald Harrison,JrではなくBig ChiefとしてのDonald Harrison,Jr、トライブのまとめ役としてのDonald Harrison,Jrではないでしょうか? つまりSr.が98年に亡くなり、自分がトライブを引き継いだことを意識した、JAZZとは別の血の伝統の継承と発展を考えたファミリーアルバムということ。そう考えるとこのサウンドは納得いきます。かなり今風の発展を見せてはいますが、マルディグラ・トライブの伝統も強く意識しています。
■また、このCD、ジャケもカラーコピーだしCD−Rです。JAZZ界のスターDonald Harrisonではないでしょう。そこはビジネスとは別に考えている現われだと思います。そんな感じです。(チャントをラップに変えるとIkoIkoになるだけだとこのアルバムで知りました)とりあえず、大音量のカーステで聴くにはなかなかスリリングです。まあここの読者にそんな人がいるとは思えませんが。

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The Dirty Dozen Brass Band / Medicated Magic

■DDBB2002年の作、前作Buck JumpでJohn Medeskiをプロデューサーに迎え新たな境地を見出した彼らが、JamBand的な解釈をさらに自分たち流にこなしたアルバム。いわゆる「勉強」だった前作が今回は彼らの血となり肉となっている。
■NYのジャムシーンから見たニューオリンズ音楽というメディスキの切り口が、現場としてのニューオリンズのブラスバンドを刺激しているのは実に興味深い。
■トラッドを含めMetersやDr.Johnらの名曲を現代的に解釈し、21世紀のブラバンの方向性を指し示している。名盤だ。

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The Dirty Dozen Brass Band / Buck Jump

■DDBBがmedeski,Martin & Woodのジョン・メディスキをプロデューサーに迎えた99年の作品。近頃評判のジャムバンドの兄さんとちょっと遊んでみようか?という感じで作ったのかも。
■音的には野太いホーンが縦横無尽なんていつもの台詞がそのまま適応できる満足な作り、ただ、ちょっと上品に感じるのはメデスキのプロデュースだからかもしれない。Marvin GayeのInner City Bluesなんぞカバーしちゃってますね。

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The Dirty Dozen Brass Band / New Orleans Album

■古式ゆかしいNew Orleans Brass Band Music的な音作りを忠実に再現したDDBBの90年の作品。緊張感はあるものの、どこを切ってもゆるくて楽しく迫力満点なホンキートークのオンパレードだ。
■中でも聴き所はEddi Boが唄う2曲目と、Elvis Costelloをフィーチャーした5曲目(Spikeでのコラボの返礼か?)、あの真面目なコステロがとてもはじけて楽しそうだ。こんな石頭さえも楽しませてしまうところがNOの魔力なのだろう。実にゆるくて、実に愉快だ。

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The Dirty Dozen Brass Band / Live: Mardi Gras In Montreux

■Dirty Dozenの出世作。86年のモントルージャズフェスティヴァルでのライヴだ。
■地響きのようにとどろくスーザフォンのうねりに始まり、様々なホーンが入り乱れての管楽器の狂乱、初めてこの音を聴いた16歳の少年は、とてつもないパワーにぶっ飛んだものだった。ゆるいんだけど大迫力。うねっているのにビシッと決まるニューオリンズの魅力に捕り憑かれてしまったものだった。
■これ以降DDBBは破竹の勢いでNOを代表するブラスバンドに成長していくが、やはりこの迫力に勝る音はない。まさに管楽器の祭典さながら、このメンバーでの演奏を一度見たかったものだ。

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