New Orleans G






George Porter,Jr. / It's Life

■07年リリースのジョージ・ポーターの最新作。今までどのアルバムもあまりいい評価をしていない五條だが、これも高得点ではない。
■ ミーターズというニューオリンズファンクの改革と伝播を担ったバンドのベーシストのソロアルバムではなく、90年代以降はもっぱらボーカリストとしての自分を強調している。タイトル曲を含めた数曲はなかなかのファンクチューンなのだが、それ以外はアメリカの田舎らしいメロディアスでもっさりしたバラードだ。つまり個性的ではない=歌唱力の勝負という曲が多い、しかしジョージのボーカルは……。
■ バックにはKeyにDavid Torkanowsky、Ivan Neville、John Gros 。GuitarにBrian Stoltz、June Yamagishi。DrumにはRussell Batiste Jr.やStanton Mooreの名前が見える。ニューオリンズの現在を担っている実力派たちだ。豪華であるから逆に惜しい、悔しいボーカルアルバムである。
■ ソロアルバムからファンクチューンだけ抜き出して一枚にして楽しむと、かなりいいかもしれない。僕は彼の老練なファンクを聞きたくて毎回アルバムを買っている。

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Galactic / From the Corner to the Block

■Galacticの2007年夏の新譜From the Corner to the Blockは毎日ヘビロテしてます。そんじょそこらのFUNKやHIPHOPアルバムより断然カッコいい。
■やっぱJAM Bandとラップってあうよね〜。ボーカルのテリル・デ・クロワが抜けちゃってどうなるんだろう?と思っていたら、彼の持っていたR&B色から見事脱却したね。これはいい。
■モンク・ボドルー酋長も彼らに料理されたら最先端のHIPHOPになるんだね。それもテキトーなチャンチャカチャンチャカ風のバックリズムに合わせてえんえんとラップしてる奴じゃなくて、バシバシと迫力あるジャズ/ファンク/ジャム/ロックサウンドに乗っかってるからかっこ悪いはずがない。中だるみも全くなし。今年のベストアルバムの1つにはいるぞ〜

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George Porter's Joy Ride / Searching for a Joyride

■タイトでファンキーなMoneyMoney(この曲どこかで聞いたことがあるんだけどなあ)から始まるJoyRide唯一のアルバム。77年のMeters後のPorter,Jr.が結成したバンドで81年のアルバム。いわば、Porer,Jr.が90年代にRunnin' Partnerを結成するまでにいわばミッシングリングである。
■メンバーはGeorge Porter,Jr.のほかはキーボードに元Sam & The Soul MachoneのSam Henry、後にRunnin' Partnerでも活躍するBruce MacDonald、ドラムのRicky Sebastianはこの後、Herbie MannやDonald Harrison Cornell Dupreeなどのジャズ畑で活躍する。
■サウンドはMetersのファンクばかりじゃない自分を見せたかったのか、3人のメンバーの個性を重視したらこうなったのかは不明だが、正統派70年代ファンクの間にサザンロックやR&Bバラード、カリビアンサウンドなどが織り交ぜられている。良くも悪くもメインストリームのアルバムであり、NOらしい曲もあるが、そちらはちょい浮き気味だ。評価としては悪くない。ただ、ぐいぐい惹きつけるような個性はあまり見られない。@BEなどオススメだ。

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Galactic / Jazz Fest Live 2006

■2006年、ジャズフェスAcuraでのライブ録音。近頃Galactic熱が冷めていた五條としては、とても久し振りに彼らの音を聴いたのですが、アレ? Crazyhorse Mangooseってこんな激しい曲だっけ? Go-Goってこんなパーカッシブな熱い曲だっけ? などちょいとびっくり。
■やはりバンドも進化していました。全体の音がRuckusやムーアのソロっぽくなっているかな。まあジャムバンドのくくりで出てきたんだから当然なんだけど、1〜2枚目のソリッドなR&Bバンドの頃からのイメージを持っている僕としては、ちょっとユルさを楽しめなくなっているのは残念なところ。まあすこぶるカッコいいんだけどね。それにしても熱い。ライブだから熱くなきゃ困るんだけど、、、熱い。やはり素晴らしい。

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George Porter Jr. - Russell Batiste Jr. - Brian Stoltz
/ Expanding The Funkin Universe

■2005年発売、Funky MetersからArt Nevilleが抜けている形。ポーターが二人を引っ張ってこのアルバムを作ったのかな、ファンクなんだけどなんとなくロックアルバムのような感じ。元々Stoltzってロックっぽいんだよね、そこに硬いドラムのBatisteでしょ、ジャケの70年代っぽさもあってブラックロックアルバムかしら、と思いました。
■さすがのポーターも1/4Metersじゃあグルーヴを保てないのかな。黒いは黒いんだけどね、なんか違った感じ。でもこれはこれで悪くはないんだけど、やっぱりもっとシンコペートを求めちゃう。そもそもGeorge Prter JrってMetersからJoy RideやRunnin' Pardnersなどのリーダーズアルバムに進んで、Funky Meters作って、その先にこのアルバムでしょ、どうして行きたいのかイマイチ見えないんだよね。もうちょっとはっきりして欲しいものだ。

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The Golden Eagles feat. Monk Boudreaux / Lightning And Thunder

■マグノリアスのモンク・ボドルー、自らのトライブを率いてのライヴ録音。音としてはマグノリアスの音からバンドを引いたものに近い。要するにパーカッションとボーカルだけだ。
■商業的には難しいだろう。多少のファンク好きにも薦めるのは難しい。しかし、ここには本当の魂がある、圧倒的なリズムとヒリヒリとした雄叫び、呪術的に淡々と続くコーラス、本来のディープなクレッシェント・シティのむき出しの姿を垣間見るには最も適したアルバムだろう。

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Galactic / Ruckus

■2003年秋に届けられたアルバムは贅沢な環境で納得いくまで作ることの出来た作品。彼らのこれからの方向性が見えてくる秀作である。
■プロデュースはダン・“ジ・オートメイター”ナカムラという人、彼らを売り出したFog Cityのダン・プロテロの友達らしいんだが、この人がヒップホップやエレクトリックのフィールドでかなり仕事をしていることもあり、そっちに興味津々のメンバーと息が合ったらしい。かなり多くの曲で細かい作りこみが見られ、シーケンサーやサンプラーもばりばり使われて、ノイズっぽかったり「ん?ドラムンベースか?」てな音も聴ける。
■この方向性がいいかどうかは個々人にゆだねられるが、彼ら自身はかなり胸を張ったアルバムのようだ。無論#8のような今までらしいメロディ作りもされている。個人的には悪いアルバムとは思わない。ただ、この方向性が彼らをワン・アンド・オンリーのバンドでいられる方向性なのかははなはだ疑問だ。また、やはりテリル・デクロワのボーカルがこのバンドの音にとてつもない薄っぺらさを与えていることは残念だ。

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Garage a Trois / Emphasizer

■シアトルの変態ジャムサックスプレーヤー、スケリックとパーカッション、マリンバを自在に操るツレのマイク・ディロン、8弦ギターの名手、チャーリー・ハンターにギャラクティックのスタントン・ムーアのトロワというよりはカルテット。
■ムーアのソロ作のような感じを期待してたんだけど、妙に抑制されてるの、すっごく静かな感じ。白熱のジャムバトルというよりはジャズの進化形という表現のほうがあってる? 一曲一曲はとてもきれいに構築されていてため息が出るほど美しい。でも40分間美しいばかりじゃなぁと大音量にして聴いてみる。おーすげー、ダウン系のドラッグの様だ。薄いくせに絶対破れない音の壁が押し寄せてきてどうしようもなくなりそう。内省的になりたい時にぴったりなのかも〜 #8の絨毯爆撃のようなドラミングに精神崩壊の危険性を感じます。

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Galactic / Vintage Reserve

■ギャラクティックの初期3枚からのベストアルバム。ヴォルケノレコードからの脱退にあわせての発売。2003年。未発表曲1曲とライヴ2曲を含む。
■このアルバムで気付くのはHamp's HumpもWitch Doctorも入っていないということだ。ニューオリンズらしさからの脱出なのか、タイトな曲ばかりが耳に付く。しかしジャムっているばかりでもない。どちらかというとロック寄りな彼らが見えてくる。こんなにハードにロックしていたっけ?そんな印象だ。元来ジャムバンドとは一線を引きたがっていた彼らだが、NOらしさとも一線を引くのだろうか?
■そうかと思うとライヴ曲のSew Sew SewではMonk BoudreauxをはじめとするGolden Eagles Mardi Gras Indiansたちが顔を並べLil' Rascals Brass Bandがバックを支えている。モロNOだ。考えられるのはNOらしさと自分たちのオリジナルとは区別して考えていくこと。そうなると次回作は? 自ずと答えが出ようもの。

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Galactic / We Love 'em Tonight +4

■2001年、ニューオリンズのライヴの殿堂「ティピティナ」でのライヴ。正直言って音質がいまいちモコモコしている。しかしそんなことは5秒ぐらいで忘れてしまうくらいに怒迫力なアルバムだ。これがジャムセッションの緊張感というものか!? と納得させられるアルバムだろう。とはいっても地元ニューオリンズでのライヴ、自然と気楽になってしまうもの、しかしその地元っぽいリラックスした部分も効果的だ。陰と陽、静と動、対立と調和の二律背反が随所に見られ、聴くものの耳を刺激してくれる。
■イールマンのフリージャズ的なホーンも、ジェフのFUNKギターらしいカッティングも、リチャードの変態キーボードもどれも狂ったように自己を主張してくる。テリルの一度聴いたら耳について離れないヴォーカルもそうだろう。しかし、それらの目立ちたがりがムーアのドラミングの下で主張したり調和したりを繰り返していく。これこそがまさにジャムセッションだ。
■辣腕ドラマーの最重要聴きどころはデューク・エリントンのカバー、8曲目後半のドラムソロ。コレを聴いていると何故だか笑えてきてしまう。可笑しいのじゃない、「うれし笑い」というものだろうか大声で笑ってしまいたくなる。ムーアのドラムはボクの神経までもおかしくしてしまうのだろうか?
■その他、アラン・トゥーサンの#10、#11はブラック・サバスのカバーと聴きどころ満載。国内盤ではボーナスディスク付き!<

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Galactic / Late For The Future

■3rdのLate For The Future。2ndの親しみやすいジャケットとは違いソリッドなデザインがポイント。ジャケは体を顕すかどうかは分からないがこのアルバムは緊張感がみなぎっている。ギターもキーもホーンも唸りっぱなしだ。みんなが技を競い合っている、そんな印象がある。
■前作のような状態だとMooreに主導権をとられっぱなしになると思ったのか、はたまたMooreの音作りに触発されたのか、みなが自分を高めようとしているのが良く分かる。まさに喧騒、どの音も前作のような聴くものを緩ませるような部分は全くない。
■そして全員の音をしっかり捉え、確実に、効果的に、全てを纏め上げているのがMooreのドラムだということも良く分かる。その上で全ての緊張感を、憑き物落としのように落とすのはBenの滑稽なくせに妙にはまる高音のアルトサックスだった。
■各メンバーが競い合いながら成長してゆくことで、バンドの中での位置を確立していく、そんなアルバムだ。だからこのアルバムはJam BandとしてのGalacticというユニットが発展する方向性を見出したアルバムとして興味深い。

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Galactic / Crazyhorse Mangoose

■Galacticの存在を決定付けたセカンドアルバム。#1冒頭のブラスの音、地の底から響き渡るにしてはあまりにも間の抜けた、バシッと決まらないバリトンとそれに合わせて、絶妙なツッコミを入れるアルト、そこに合いの手のように絡んでくるリズムセクション。音が始まるまでの緊張感をすべてぶち壊してくれる。最初の一小節だけで、「もう、どうでもいいやぁ」という気にさせるこのリズムは間違いなくニューオリンズのアレでしかない。Dr.Johnのアレ、トゥーサンのアレ、ヒューイ・スミスのアレである。まさしくセカンドライン、Galacticが凡百のジャムバンドには終わらない新進気鋭のニューオリンズファンクマスターになった瞬間であった。
■しかしこのバンドはアレだけに終わらない。#2では緊張感を完全に解いておいてから、徐々に攻めてくるのである。とてもタイトに締まっっているくせに完全に間を抜いているビートがどうしても聴く側に力を入れさせない。それなのにギターもキーも容赦なく攻めてくるのである。そしてそこにテリルのボーカル、70年代ニューソウルのフィーリングを確実に現代の音として消化している。
■そして#3どんどん演奏はタイトになっていく。まるでメロディパートを追い立てるようにドラムが走る、しかし決して走りすぎることはない。こんなにドラムがガンガン鳴り響いているのに決して煩くはない、むしろその追い立てる音が痛快でさえある。緩みきった身体に突っ込んでくるビートがまるでマッサージのようだ。気持ちよくって自然と笑みがこぼれてくる。。。
■ちょっと語り過ぎた。とにかく緊張と弛緩の極上のブレンド、それがこのアルバムでの最高の収穫なのであろう。決して単なる緩ませっぱなしのニューオリンズファンクではない。緊張感でハイになるばかりのアシッドジャズでもない。それはとても危険なタイトロープの上にある新しい音楽の形態なのだと思う。
■もうすでにこのアルバムはStanton Mooreと新しくメンバーに加わったクレズマーバンドのBen Ellmanによるニューオリンズの伝統を踏まえたニュータイプ・ファンク・グルーヴである。ファーストではバンドの音に味わいを付けていたTherylのボーカルも古臭く聞こえるから不思議だ。

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Galactic / Coolin' Off

■ジャムバンド界最強のユニットの一つGalactic98年のデビュー作。ベース・ドラム・キーボード・ギターと、彼らの指南役的存在のテリル・デ・クロアのボーカルで構成される。2曲目の冒頭でテリルが「Wellcome to New Orleans!」と叫んでいる通り、このアルバムはニューオリンズファンクのムーヴメントの範疇で語られるアルバムだろう。
■うねうねと地を這うギター、小気味いいリズム、ソウルフルだが絶叫しないボーカル、ゲストのホーンメンバーもいい感じにユルイ。腰が立たなくなるくらいダレて和んだミーターズ直伝とでも言えるファンク、まさにニューオリンズのグルーヴである。
■テンポの速い曲もゆったりとした曲もどちらも和ませるから面白い。たとえばTrack8のようなホーンとドラムだけのスリリングなセッション、相当技量が試されるはずの瞬間なのになぜか和まされてしまう。また、ピアノもドラムもとてもクールな音を出しているのに、妙に人肌のよさを感じさせてしまう。クールでいてユルイ。不思議な気持ちのよさだ。それにしても、本当にマッタリとしてとても気持ちがいい。
■しかし、このままでは非常に良く出来たニューオリンズファンクのバンドだったろう。これ以降Galacticの成長が始まる。まずは序章的なアルバム、しかし素晴らしいアルバムだ。ニューオリンズグルーヴの幕開けだぜ!

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George Porter,Jr.and Runnin' Pardners / Funk'n' Go Nuts

■ジョージ・ポーターの2000年の作品。ベーシストのアルバムの癖にあんまりベースを引き立たせず、むしろ作品として聞かせようという意図がうれしい。
■ミーターズを現代調にしたような曲やセルフカバーもあり、より客観的にミーターズを見られるようになっているのだろう。しかしジョージポーターである必要を感じさせないアルバムだ。もしかして現在のJBのように、バティストやブライント、グロス、ストルツら若手を育てていくために音楽作りをしているのか?それにしてもバラードはダメだ、やめてくれ。

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George Porter,Jr. Of The Meters/ Runnin' Partner

■ミーターズのジョージ・ポーター・ジュニア、90年のソロ初作です。「ミーターズの」とつけなくちゃいけなかったところがすでに彼の自信のなさを表してますよね。
■ミーターズ解散後沈黙の10年を経て発表したアルバムにしては良く出来ています。まだ伝説にはなりたくない、という思いが良く伝わってくるのですが、90年当時においてもちょっと流行遅れな感が否めません。フュージョンやジャズファンク寄りの音にミーターズの影がちらつく感じです。アール・キングとエディ・ボーが参加してます。

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The Gaturs / Wasted

■名スタジオミュージシャンとしてニューオリンズのファンクを支え続けてきた男ウィリー・ティー(Key)を中心とした4人組、簡単に紹介するなら「裏ミーターズ」。ミーターズ好きならハマルこと間違いない音です。
■特徴といえばこちらの方が低音が弱く、そのせいでリズムがダンサブル、踊れます。ミーターズではリズム隊として縁の下役が多かったキーボードがこちらでは前面に押し出され、縦横無尽に走り回っております。
■キーが中心だからだろう、セカンドラインのリズムはしっかりとっているものの、曲によってはフュージョン?と思えるくらい爽やかなダンスチューンもあり、きちんと歌い込んでいるボーカルチューンもあるのでAORやフュージョン好きな方にはまさにオススメといえます。

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