New Orleans I






Irma Thomas / Straight From The Soul

■MINIT〜インペリアル時代の代表曲を網羅した「Straight from the Soul」、と言いたいところだが残念ながら、このアルバムはそうではない。MINIT時代のシングル6枚12曲のうち3曲、IMPERIAL時代は9枚18曲中11曲のみが収録されている。曲目は重なるものが多いが2枚のアルバム24曲中16曲ということでどちらかと言うとアルバムメインの選曲になっている。(発売当時は初CD化曲もありそこが売りだったようだ)
■楽曲はというと…MINITの頃のものは良くも悪くもトゥーサン、僕が思うにこの頃のトゥーサンはErnie K DoeやLee Dorseyのようなノベルティソングには光るセンスを感じられるが、正統派のラブソングはどうもいただけない。またインペリアルのビッグプロデュース軍団のものは、良くあるメロディ、良くあるアレンジ、良くある曲調…まるでMOTOWNの亜流なのだ。時代的にこういう音楽が好かれていたのはとてもよくわかるのだが、明らかに二番煎じ感が否めない、個としてのアーマの個性ではなく「こういう音が今風」というプロデュースによって出来上がった3年間だというのが良くわかる。待望のメジャーデビューなのだがなんとも不運としか言いようがない感じがする。
■そうといってもやはり若さはすばらしい。スマッシュヒット"Wish Someone Would Care"とそのB面の"Break-A-Way"(トレイシー・ウルマンがカバーしリバイバルヒットさせる)は必聴だ。特に"Break-A-Way"のハンドクラップにあわせて跳ねとぶアーマのピチピチした歌声は聴くものの心を明るくしてくれる。また、ローリング・ストーンズがカバーして一躍有名になったTime Is On My Sideも若きミックとは比べ物にならない迫力の歌声ですばらしい。 結果的には不運な時代ではあるが、メジャーデビューし全国的に自分の歌声がラジオから流れる中、若い力いっぱいの希望が凝縮された時代のコンピと言える。

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Ivan Neville / Thanks

■Aaronの息子、アイヴァンの95年Iguana Recordsからの2枚目。当時すでにRolling StonesのアルバムやBonnie Raittのバックバンドで実力をつけていたアイヴァン、そういうキャリアから生じる音としては至極納得のいくソウル&ファンクアルバムだ。ムーディなミディアムと踊れるファンチューン。しかし、個性のあまり感じられない。
■ボニーレイットがバックボーカルで、キースとロンウッドがギターとベースで参加している。



Ingrid Lucia / Almost Blue

■Ingridの新作はいつも通り正々堂々と場末のオールドタイミースィングを聴かせてくれる。ブルーズやタンゴ、ちょっとPOPなミディアムバラードまで出てくる今回、しかしいつも以上にジャズテイストに溢れているように感じる。
■それもそのはずHarry Connick Jr.やKermit RuffinsのプロデューサーTracy Freemanが全面的にバックアップしている。いつもならアーシーな音色を聞かせるJohn Fohlのギターも今回は4ビートを鳴らしている。特筆すべきはJohn Grosのオルガン、その熱いテンションで渋いブルーズを演出している。
■なによりも主役のイングリッド姫の歌だろう。スロウなジャズブルーズアルバムとして彼女の歌声を堪能できる。いつものお茶目なナイトフラッパーな彼女も健在だが、このアルバムではスロウに聞き惚れたい。媚惑的な声を持つ美しい歌姫との思い出を作ろうじゃないか?

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Ingrid Lucia & The Flying Neutrinos / Live From New Orleans!

■レトロスィングの注目女性、イングリッド・ルシーアの2001年オールド・ポイントでのライヴ。2003年発売。
■デキシーランドジャズからジャンプスタイル、ホンキートンクまでヒップに、時には妖艶に「場末の踊り子」のような雰囲気を作ってくれています。初期のマリア・マルダーのラグタイム版みたいな女性。とても小粋でリラックスさせてくれます。
■バックメンバーはギターにモダン・ルイジアナ・ブルースで頭角を現してきているJohn Fohl、ピアノにはオルガンコンボで注目のJoe Krown、そしてトランペットに元New Birth Brass BandのJames Andrewsの名前が見えます。ジェームズは4曲目5曲目等でジェントルな歌声も聞かせてくれていますが、近頃かなり乗ってきてますね、今後のNOを引っ張っていく一人になるでしょう。
■そんなジェームズのラッパとルーシアの歌声が絡むところなど本当にゾクゾクモノです。ルイジアナの歌姫イングリッド・ルーシアは是非買いです! (2004/02)

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Iguanas / Plastic Silver 9 Volt Heart

■ナンナーナナナァナ、ナナーナナナ、一曲目のこのフレーズだけで購入決定したアルバム。メキシカンR&Bとかヌエボ・ブガルーとか色々言い方はあるけど、ソウル、ザディコ、ケイジャン、テックス・メックス、ラテンなど、さまざまなエッセンスがガンボしてるルーツバンド。
■ルーズというかノホホンというか、イギリスのスクィーズをNO風にした感じかな。ホーンとアコーディオンがなんだかふにゃふにゃした世界に連れて行ってくれます。メロディや歌声はわりと普通なPOPSの方程式なんだけど、彼らが演奏すると青空の下の午睡タイムになってしまうのはそのハートなんでしょうかねぇ。
■イギーポップが昔在籍したバンドとはなんら関わりありません。さあ、ご一緒に♪ナンナーナナナァナ、ナナーナナナ。。。

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Ivan Neville / Saturday Morning Music / Scrape

■Aaronの息子、アイヴァンの2002年発売の3作目(左)と2004発売の4作目(右)、実はタイトルとジャケを変えただけのアルバムです。契約かなんかの問題なのでしょう、どちらか一枚持っていれば問題ないです。
■とにかく豪華なアルバムで父AaronやLeo Nocentelliは当たり前にしてもGeorge Duke、Keith Richards、Michael Brecker、Bonnie Raitt、Bobby Womack等がサポートしている。しかし彼らベテラン勢に食われることなく中心に屹立するアイヴァンの将来は期待大だ。
■70年代ニューソウルを中心としてHipHopやP-Funk風味を添加しているのはとても今風。メインストリームのアルバムとして若者のドライヴデートのBGMになっていても全く違和感のない音だ。いい音を作るのなら伝統にこだわらないという部分は父Aaronの姿勢にとても近いものを感じるが、声の方は叔父Cyrilにとても似ている。そしてFunknessもCyrilに近い。
■実に気持ちよく楽しく問題のないアルバムなのだが、欲を言えば手堅すぎ。JossieのMeters→RepriseのMeters→Nevilles→FunkyMetersとNOファンクの進化を牽引してきた血筋だからこそ、Ivanに21世紀のNOファンクの方向性を見たいと思ってしまう。欲張りすぎか? (2004/03)

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