New Orleans J






Jon Cleary and the Absolute Monster Gentlemen / Mo Hippa

■ボニーレイットのバックバンドもつとめているイギリス生まれのルイジアナピアノマン、ジョン・クリアリーの2008年シドニーでのライブアルバム。バックバンドは(一部メンバーチェンジがあるが)おなじみのAbsolute Monster Gentlemenということで、気の置けない演奏が楽しめる。
■彼のやわらかくも品のあるピアノが僕はとても好きだ。彼の音はニューオリンズらしさはもちろんあるのだが、その生まれからなのか、あの土臭さがまったく感じられない。たとえばこのライブの中のFessの「Go To the Mardi Gras」「Tipitina」、Metersの「People Say」などニューオリンズのアイデンティティといわれるくらいのスタンダードナンバーなのだが、彼の手にかかると都会向けのポップスサウンドになってしまう。以前別のアルバムでスティーリーダンかと思ったというようなことを書いたが、ニューオリンズの土と汗と血から生まれたサウンドを、その魅力を決して減らすことなく彼は自分のオリジナルであるソリッドで硬質なシティサウンドに構築しなおせる才能を持った人なのだ。
■まあ要するに、深夜デートドライブでも流せるNOLAサウンドなんてすごいじゃん、ってことを言いたい。初めてニューオリンズを聞く人に実にオススメなジョンのオススメなライブアルバム。普通の意味で「かっこいい」です。



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John Boutte / Good Neighbor

■やっとでた! 08年発売John Boutte渾身の個人名義アルバムである。コラボや企画モノでは多数声が聞けたのだがやはり20世紀最後の名盤であるファーストソロ「At The Foot Of Canal Street」の続きが聞きたかった。
■今回特筆されるのは8割がたがオリジナル曲であるということ、そしてそのほとんどが盟友Paul Sanchezとのコラボ曲である。カバー中心だった人がオリジナル中心にすると大抵は似たような曲ばかりで退屈になりがちだが、この2人のコンポーズはとてもバリエイションがあり、大曲ではないにしろ、心に染み込むメロディを聴かせてくれる。そしてもう1つの話題は参加メンバーだ。Leroy Jones、James Andrews、Troy "Trombone Shorty" Andrews、Craig Klein、Ivan Neville、David TorkanowskyなどなどNOLAの第一線で活躍するブッテのアルバムには同じく第一線のNOミュージシャンが集合している…のだが、とても音数が少ない。すごくシンプルで、音の間を感じさせる編曲がなされている。ある意味とてももったいないのだけど、それがなにも感じさせないほどブッテのボーカルは変幻自在で、まろやかで表現豊かでワン&オンリーなのだ。なぜこんな美しくも優しい歌声がメジャーデビューしないのか不思議でたまらない。
■それにしてもConspirareとのアルバムでも思ったがこの人は気に入れば同じ曲をなんどもなんどもレコーディングする人なんだなあ。というのもSistersもFoot Of Canal Streetも3回目だ、The Treme' Songも2回目。しかしどの曲も以前とはまったく違ったアプローチがされている。歌もすごいし作曲もいい(というか自分を生かす曲を知っている)、その上でこの大胆なアプローチが出来るなんて、本当に素晴らしいアーティストだと思う。手放しで名盤だ。

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John Boutte With Conspirare / John Boutte With Conspirare

■小品ながらもとても美しいBoutte07年のアルバム。テキサスを主たる活動地としているConspirareというクワイアとのコラボだが全曲が合唱つきというわけではない。どちらかというとピアノの伴奏にあわせてブッテが唄うライブアルバムという意味合いが強い。
■サム・クックA Change is Gonna Come、パーシィー・メイフィールドのPlease Send Me Someone To Love、Annie lennoxのA Thousand Beautiful Thingsなど相変わらず曲のチョイスも上手い。特にA Change is Gonna Comeは彼のボーカルで聞くのは既に3回目なのに、飽きもさせずじっくり聞き込める。歌唱力のすごさもあるが、なによりもセピアカラーの声にしっくり来るんだろうな。人種も性別も超越したワン&オンリーな歌声、夜中に1人で聴くと心に染み入ってきます。

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New Orleans Juice / Juice Live! Hey buddy

■ジュース(通称New Orleans' Juice)の2005年発売された2枚組ライブアルバム。このアルバムではニューオリンズオルガン業界のホープであるJoe Krownと元Smilin' MyronのギタリストSam Hotchkissが正式メンバーとして参加している。
■ 2ndではフォンクっぷりは素晴らしいもののまだまだ個性の出来きれていなかったJuiceだが、このライブは違う。JAMっぽさやセカンドライン、HIPHOPの要素なども入ってはいるがロックとR&Bを基にしたバンドであることを明確にしている。つまりブルースブラザーズのニューオリンズ版的なノリなのだ。 Dave JordanのしゃがれたボーカルとSamのギター、Jamie Gallowayのブルースハープがとてもロックぽさを出しており、そこにゲストのMark Van Allenのペダルスティールまで加わって完璧なゴリゴリロックサウンドになる。そこにJoeのオルガンとホーンが入ってR&Bフレイバーがぐっと増して野太い南部サウンドになっている。Taj Mahalの不朽の名盤「Giant Step」から「Further On Down The Road」をカバーしているがこちらも重低音な南部サウンドになっている。
■ HPではこのアルバムを最後にハーモニカのJamieがバンドを抜けたと書いている。やっと固まったバンドの個性がここでまた変わるのかなと思うとちょっと残念だが1枚1枚サウンドがぐっと変わっていくのが楽しみなバンドである。

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Johnny Sketch and the Dirty Notes / Big Awesome

■2008年2月にBuffaloから日本発売された素描家ジョニーと汚れた帳面たちのスタジオ3枚目はえらく気合が入っている。前作のときにPOP、JAM、ROCK、FUNK、Reggae、Krezmerなど取りとめがないと書きましたが、同じことを今回は変幻自在と褒め言葉にしてしまいます。色々なジャンルの音が混在しているにもかかわらず、明らかにJohnny Sketch and the Dirty Notesしか出せないスリル感とファンクネスで貫かれていてとてもきもちがいいです。
■ Roling Stone誌では「Phish+ニューオーリンズ+フランク・ザッパ+ジョージ・クリントン」と紹介されたそうで。国内のレビューでもGalactic好きなら絶対いけるという評価をいくつか見ました。
■ 70年代FUNKを髣髴とさせるギターの鋭いカッティングとうなるようなベース、Stanton Mooreを思い出させるような乾いたドラム。この取り合わせが、たとえヘビメタのような曲であっても、どうしようもないほどのファンクネスを感じさせてくれる。そしてホーンの活きのいいことなんのって。小さな箱でこういう演奏を聴かされたら本気でトランスしそうです。ぐいぐい引っ張って、連れ去られそうになる一枚。タイトルどおりBigでAwesome(すばらしい、畏怖すべき)なオススメです。

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James "12" Andrews & The Crescent City Allstars / People Get Ready Now

■Dr. John、Charmaine Neville、Walter "Wolfman" Washington、June Yamagishiなどなど豪華メンバーとバカ騒ぎをしたFUNKアルバム。トランペットを中心にすっごくグルーヴィーで贅沢なブラックファンクを聞かせてくれる。
■2曲目がMyles Styleてタイトルだけどなにがマイルス・デイヴィスなのかジャズにうとい僕にはわからないけどとても気持ちいい。Funky Saintsも「聖者が街に〜」をファンク解釈してて楽しい。ゴージャスでハイテンションに輝いているファンクアルバム。このアルバムといいTrombone ShortyのOrleans AvenueといいAndrews兄弟は良質で優雅なファンクを作ってくれていてうれしい。2007年発売。

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James Booker / Live at Montreux

■97年に世に出た78年のスイスはモントルーでのライブアルバム。ピアノソロ数曲の後Cash McCall(ギター)、Fred Beckmeier(ベース)、Tony Cook(ドラム)のカルテットが入る。
■ 特筆すべきはビートルズメドレーかな。Penny LaneのイントロからI Saw Her Standing Thereを唄って持ち歌のOne Helluva Nerveへ、なかなかスリリングな展開だ。
■ まあこの人の場合どれも同じ曲の演奏だし、音質とか関係ないんだけど、この盤は音質やテンションはかなりいい。Bookerが上機嫌で最高とはいえないまでもいいクオリティを保っている。あまり誰にも評価されない曲だがBooker自身の持ち歌Papa Was A Rascal(マイフェイバリット!)がかなり決まっている。バンドとも息が合っていてシャウトもかっこいい。おなじみのLet's Make A Better Worldも楽しそうにアルバムを締めてくれる。まあこの辺りでいい、満足なアルバムだ。



Johnny Sketch and The Dirty Notes
/ Pain, Pleasure, Fear and Opera

■ジョニー・スケッチの3枚目。前作がライブだったため、スタジオ録音では2枚目となる。ファンクの大盤振舞だったファーストから、ヘヴィメタすら思わせるギターやクレヅマーの音色を聴かせて音に広がりを見せたセカンドを経て、このアルバムはどうでる? と思ったらさらに音が広がりを見せています。
■いきなりPOPなファンクチューンではじまり、JAMバンドらしい2曲目、Dr.Feelgoodのパブロックを思い起こさせるような正統R&R、ホーンがグイグイのニューオーリンズファンク、ブンチャッブンチャというリズムはレゲエですか、フィドルが怪しく鳴り響いてヘヴィな東欧世界に一直線、、、、まあ取りとめがないのです。さすがにどうまとめていいのやらという感想。
■どの曲も一曲ごとに見ればかなり完成度は高く、聞き応えがあるのに、アルバムとしては散漫すぎます。ビートルズのホワイトアルバムをリアルタイムで聴いた人も同じような感想をもったのかもしれませんが2005年発売のこのアルバムをどのように評価するかは今後の彼らの方向性を見ていくしかないのでしょう。


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James Booker / Resurrection of the Bayou Maharajah

■Spiders On The Keysと対をなす形で発売されたMapleLeafBarでの1977〜82年のライブ集。彼はその頃ウィークリーで出演していたようで、大量の録音テープの中から選別されたベストテイクらしい。Spidersがピアノメインだったのを考えるとこちらはさしずめボーカル集か?
■特筆すべきはメドレーの多さだ。一曲目からSlow Down→Bony Maronie→Knock On Wood→I Heard It Through the Grapevine→Classifiedと9分の大メドレーだし、次もTico TicoとPapa Was a Rascal、3曲目もLawdy Miss Clawdy→Ballad at the Maple Leaf。自分の思いつくまま色々なフレーズを弾き語っているだけかもしれないのだが、それはその鬼才らしいところで、驚くやらうなずくやら、つくづく新鮮である。
■Minute WaltzやGitanariasなどなど、ピアノの弾き語りでこれだけ笑ったり驚いたり聞き惚れたりと、リスナーの感情を揺さぶるアルバムもあるまい。なんでも自分流にしてしまうBookerの奇人力と選曲者のセンスとその両方がマッチした名盤だ。

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James Booker / The Lost Paramount Tapes

■初期作品集であるGONZOを除けば、これだけしっかりとバックバンドが楽しめるのはこのアルバムくらいかもしれない。
■クレジットにはJohn Boudreaux(drums)、Jessie Hill(tambourines, vocals)、Richard "Didimus" Washington(percussions)、David Lastie(sax)、Alvin "Shine" Robinson(guitar)、Dave Johnson(electric bass)とある。まさにバンドだ。実に聞きやすい、たぶん、このアルバムからBookerにはいるのが一番なのだろう。しかし10枚目のBookerとして聞いた私としてはライブでその場の思いつきや雰囲気で変調していた曲たちって元はこういう曲なのね、という新鮮な驚きでした。
■しかしどれもカッコイイ。バンドがつくことで変幻自在の変態さは薄まってはいるもののその分FUNK度/ソウル度が高くなっており、世に言うニューオリンズファンクの名盤となっている。特に哀愁のラテンナンバーTico Ticoや彼の代名詞ともなっているJunco Partner(#2の方)、そして厚いバッキングが最高にファンキーなAfrican Gamboなどが超オススメ。つくづく不世出で早逝したのが悔やまれる。

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John Boutte & Glenn Patscha / Scotch & Soda

■いかにもなタイトルとジャケのこのアルバムはジョン・ブッテの最古のアルバム(96年)である。ピアノのグレン・パッツァはWynton Marsalisに見出され、Ellis Marsalisの元で修行をしたというマルサリスファミリー。現在はYockamo All-StarsのピアノストとしてCUBANISMOとブッテの共演アルバムにも参加している。
■ジャケで判断するかぎり気取ったアルバムのような先入観を得てしまいそうだが、音数の少ないピアノ&歌のみのこのスタンダードアルバムは結構優しい音を聞かせてくれる。もちろんブッテの歌声はビター&スィートに聴く者を魅了するが、グレンのピアノも若者とは思えないほど優しく包容力がある。しっとり深夜に力を抜きたい時にこのアルバムはとてもよい効果を示してくれるだろう。まるでスコッチのソーダ割のように、、、という意味でこのタイトルなんだろうな。必聴。

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James & Troy Andrews / 12 & Shorty

■トゥーサンのミニットレーベルからOoh-Poo-Pah-Dooのヒットで知られるJessie Hillを祖父に、Prince La La(誰やねん)を叔父に持つ、James "12" Andrews(TP)とTroy "Trombone Shorty"Andrews(TB)の兄弟アルバム。
■トレメやニューバースなどのブラスバンドを経て独り立ちした実力派の兄とその兄に支えられながらもロウティーンの頃のライヴ演奏がすでに人の口に上っていたという神童。
■ファーストアルバムを「Satchmo of the Ghetto」と、大きく出たジェイムズらしくちょっぴりダミ声のボーカルが全編で聴ける。Stanton Mooreのセカンドラインにラッパが鳴り響くブラスバンド的な曲とボーカルを中心に間奏でホーンを聞かせる曲、そしてモダンジャイヴものとカラフルな出来栄え。だがあまり熱くなくさらっとした感触を覚えるのは彼らの若さのせいか?
■ミュージシャンがすごい。Dr. John、Stanton Moore、Mark Brooks、Jun Yamagishiをバックミュージシャンに、ゲストにはCyril Neville、Donald Harrison Jr、Big Chief Monk Boudreauxなどなど。 インジャンチューンの(Talkin' About the) Zulu Kingでのビッグチーフのチャントとドナルドの熱いブロウが兄弟のサウンドにハマっていてなかなかのものだ。

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John Boutte / Jambalaya CD & Bonus DVD 5.1 AUDIO

■感情的に甘く盛り上がるボーカルは数多ある。切なく感傷に浸らせる歌声もまたしかり。しかしブッテのレトロスペクティヴなハイトーンは決して過去を懐かしむようなセンチメンタルに訴えるでも泣き歌でもない。
■ちょうど忘れ去られたグッドオールドディズにタイムスリップして、その雰囲気を楽しむようなイメージだ。遠い将来タイムトリップヴァケーションが旅行代理店の商売になった時、たぶんブッテの歌声はテーマソングになるのだろう。過去を懐かしむのではなく楽しむ人たちのために。
■2003年発売のジョン・ブッテのスタジオライヴアルバム。最高に美しい前作At The Foot Of Canal Streetとかぶっている5曲はほとんど同じアレンジだし、おまけのDVDは一曲目以外はCDと同じものだったりと「なんだかなぁ」的な選曲だが、一見ジャズのような少ない音数の中に身をゆだねてみると、そんなことはどうでも良くなる。ゆったりと楽しい時間がすぎていく。いい歌声だ。

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Johnny Sketch and The Dirty Notes / LIVE At The SPLEAF

■勢いのあるバンドってのは何やってもCoolなんですねえ! ジョニースケッチのセカンドは04年5月21日、Maple Leaf Barでのライヴでした。ホーンがすごくカッコイイ。そしてそこに絡むギターの勢いは背筋に電気が走るようです。また、ところどころに聞こえてくるコーラスというか合奏チャント?がツボを押さえていてこれもいいです。まるでハードロックのように激しいのにクールという言葉がぴったり来るステージです。
■彼らの曲は皆似ている、凡庸というわけではなく、とても個性的でキャッチーなのですが、いったいどれがどれやら良くわからなくなるところもあります。あれ?この曲さっきも演奏したような? というような疑問も感じますがまあ二回聞いても良いや♪ と思わせるのは彼らの実力でしょうか? 
■終盤に差し掛かるとサックスのハリー・ポットヘッドがフィドルに持ち替えてのBandicoot、途中でテレサ・アンダーソンが出てきます。そしてその後は何故かクレツマー世界に! 正直言ってビビります。しかし、クレツマーの中近東的な妖しさがこのバンドの怪しさとも妙につながるのも興味深いところです。でもこの部分は「遊び」にしておいて欲しいなぁ(笑)。ひたすら熱くてクールなステージを堪能ください。

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James Booker / King of New Orleans Keyboard

■77年ドイツはハンブルグでのライヴ録音。元は二枚のレコードだったがCD化で一枚に。77年というと名盤New Orleans Piano Wizard(Boogie Woogie and Ragtime Piano Contest)の録音の年、ヨーロッパ遠征でその実力が脚光を浴びたブッカーの最盛期の一つだった時期だ。
■そしてこのアルバム自体もいい演奏が詰まっている。ただ、ファンとしては慣れ親しんだ街から遠く離れすぎたツアーだったこともあろう、他のアルバムよりも真面目になりすぎているキラがある。どの曲もきちんとまとまりすぎている、そんな印象をうける部分もあるのだ。破天荒な変態ピアニストらしくないなぁというお行儀のよさを感じつつもやはり鍵盤さばきは鬼才のもの、どの曲も大いにウキウキさせられる。Ray Charles MedleyやRockin' Pneumoniaなど珍しい聞きどころもあるがやはり、track1のHow Do You FeelからClassifiedを通してOne Hell Of A Nerve〜Blues Rhapsodyまでが絶妙だ。この4曲だけでも買う価値はあるね!

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James Booker / Spiders On The Keys

■77〜82年のメープルリーフでのライヴから。いきなり大大大好きなPapa Was a Rascalで始まり、そのまま無人島のもって行きたい曲On the Sunny Side of the Streetに行ってしまうから大変です。特筆する曲はEleanor RigbyとOver the Rainbowくらいで、それ以外は彼も彼のファンも慣れ親しんだ曲のオンパレードです。ステキだね。
■そしてまた、このアルバムはピアノ演奏のみを集めた、つまり変態が声を発しないアルバムなのでもある。客の拍手も聞こえないかのように黙々と鍵盤を引き続ける(ように思える選曲なのだが)ブッカーに、他のアルバム以上に孤高の極みを感じさせられてしまう。シャーマンの詠唱? 修行僧??のようなアルバム。

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James Booker / United Our Thing Will Stand

■ティピティナでの76年の蔵出しライブ2枚組。オルガンのLet's Make A Better Worldからなる〜く始まる。2曲のみオルガン、後はいつものブッカー節。Precious Lordだったり、ゴッドファーザーのテーマだったりPeople Get Ready だったりCome On To My Houseだったり色んなところで遊んでいるが、どれもBooker節のピアノになっているところがすごいもんだ。存在自体がオリジナルなピアニストってなかなかいるもんじゃない。
■お気に入りはDisc-2冒頭のメドレー(Suspicious Blues/Let's Get Right/On The Sunny Side Of The Street)。きゃんきゃん飛び跳ねる仔犬のような楽しい音が次第に華やかなのに淋しげな感じになっていく様がなんとも良い。音質はかなりのもんです、Taste Of Honeyほどじゃないけど。

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James Booker / Gonzo: More Than All His 45s

■天才鬼才変才?、イヤただのジャンキーJames Bookerの1954〜62年のコンピレーション。15歳〜23歳、若き日の奇人はどんな音を出していたのだろうか? と恐る恐る聞いてみた。
■アチャーやっちゃったよーってのが最初の感想。すこぶる分かりやすい普通のR&Bだった。それも下手な歌。一生懸命イキがってる少年の張り上げるハイトーンの歌声(というか変な声?)がちょっと痛々しくもあった。一応ピアノも弾いてるんだが50年代ステレオタイプなアレンジにかき消されて天才の片鱗すら感じられない。
■しかし、5曲目になるとにわかに彼のオルガンが前面にフューチャアされはじめる。さすがBooker-Tとは言わない。しかし、なかなか洗練された切れのいいキー音がかなりカッコイイ。そして畳み掛けるようなLee AllenやRobert Parker、Red Tylerらのホーンも最高だ。
■あとは怒涛のオルガンファンク。ところどころ時代を意識したサバービアン調な音もあるが、それもなかなか悪くない。彼の指はあまり泥臭くないのでこういうのも違和感なく聞いていられる。
■最初にティーンネイジシンガーで売り出されて、いまいちだったのでアーティストに変更しましたというかんじだな。でもこのオルガン本当にファンキーでいいんですよ。きちんとした音楽教育と、R&Bの挫折とFUNK、それらが混じって70年代以降の彼のピアノ遣いがあるんだなぁと発見させられた一枚でした。

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James Booker / A Taste Of Honey

■ジャンキーな変態ピアニストJames Bookerの77年ニューオリンズでのライヴ録音二枚組。77年とあるだけなのでかなり多くのライヴからかき集めた音源ではないだろうか、決して音がいいとは言えない。そしてダブり曲がかなり多く在庫の音をとりあえずぶち込んだような作りだ。
■しかしこのアルバム、私にとってはちょっと新鮮だ。まず音が悪いゆえにピアノがかなりチャチに感じる。その上、他のアルバムに比べ歌モノが多い。自然と歌声に耳がいく。そうだ、このアルバムはブッカーの歌声を楽しむアルバムなのだ。変な声だ、変なメロディだ(はずれてる?)。変な叫び声だ。やはりブッカーは変態だ。それを再確認できた。満足の一枚。

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Jeff Spence / Rockin' Louisiana Man

■'93年ラバダッシュ発のピアノマン、ジェフ・スペンスのピアノとしゃがれ気味のボーカルはともに妙に軽快なロックンロールを聞かせてくれる。全体が二つのユニット(Shreveport GrooveとNew Orleans Groove)の演奏に分かれているらしいがどの曲がどちらなのかは不明。それよりもゴージャスなホーンが輝いている曲とブルースハープが唸っている曲に大別できる。前者はかなりスインギンブルーズで、後者はR&R風。どちらも軽めながらなかなかの味わい。
■「軽めながら」と書いたが、この軽さが彼の持ち味なのだろう。NOのネットリグルーヴだけでは決して描けない疾走感や高揚感をこのアルバムは味わせてくれる。それはルイジアナの癖に(メンフィスな)ロックを聴かせるロッキン・ルイジアナ・マンというタイトル通りだ。ただ、曲名のRockin' Louisiana ManのコメントにYep,that's me!と書いてしまうところは軽すぎちゃうか?(笑) (2004/02)

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John Magnie / Now Appearing

■現在もThe Subdudesのピアノ/アコーディオンとして活躍のジョン・マグニーの87年(84年?)のTipitinaでのライヴ。どうしようもなくペラペラでチープなジャケと憂鬱そうな写真は購入意欲を可能なかぎり下げてくれるが、中身はなかなかどうして、しっとりしたピアノライヴでした。
■Mary Flowerのアルバムでも何度もその名前を目にしたマグニー、この頃はまだアコーディオンは使ってないのか、ピアノ・ベース・ドラムのトリオに3人のコーラス。都会的ながらも抒情的なピアノの響きが妙に心に滲んできます。内向的で神経質な人なのかなとも感じます。ピアノも歌もあまり押し出すところがなく、ともするとBGMになる危険性を自分でも充分わかっているのでしょう。その部分をコーラストリオがきっちりフォロウしてくれてます。
■深夜に一人で#4、#5あたりを聴き込んでしまったらちょっと涙腺が危ないかも。ジョー・ジャクソンに音の作りと声がなんとなく似てます。むしろジョーを優しくした感じ。 (2004/02)

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James Booker / New Orleans Piano Wizard;Live!

■一曲目のOn The Sunny Side Of The Streetのイントロでやられた!って感じ。カッコよすぎるんだもん。このライブは77年のモントルージャズフェスで行われたBoogie Woogie and Ragtime Piano Contestでのもの。金賞を取ったらしい、当たり前だ。
■このアルバムでは特にピアノオンリーのインスト部分の出来がよい。「かろみ」が滋味を引き出し、あの広いフェス会場を鍵盤一つで一体にしてる感じがなんとも気持ちいい。

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James Booker / Classified

■最も好きなピアニストの一人、ジェイムズ・ブッカーの82年の録音、スタジオ録音では人生最後のもの。「Junco Partner」のような神がかり的な音ではない。どちらかというと自分で楽しんでる部分の方が多い。
■屈託なく、転がっていくピアノと無伴奏でも盛り上がっていく歌声。自分が楽しむことで回りも巻き込んでいく、まさにニューオリンズスタイルの原点がここにあるのだろう。このピアノだけで十分踊れる、というか体が勝手に踊ってしまうのよん
■ジャケの表情もいいよね。いい仕事ができたという満足感が表情に満ち溢れている。おれもこんな顔したいね。名盤中の名盤だから絶対聴け。

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James Booker / Junco Partner

■いやぁこんなすごいピアノソロは初めて聴きました。アフロでアパッチの人相の悪そうなにやけたオヤジだけれどマジすごいっすよ。たった一台のピアノとほんの数曲のボーカルだけで音楽のすべてのフィーリングを体現してしまうのだから。。。こんなファンキーで大胆な「ジャンコパートナー」はほかでは聴けないです。
■伝説のピアニストジェイムズ・キャロル・ブッカー3世のミュージシャン歴22年目にしての初ソロアルバム76年発表。バイセクシャルでドラッグ中毒で借金に追われた黒人ピアニストのもっとも輝いた演奏のひとつだろう。神がかり的だ。

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Joe Krown / New Orleans Piano Rolls

■Joe KrownはGatemouth Brown Bandのオルガニストとしての評判やComboでやっているジャムっぽい音のほうが有名だ。アレはかなりカッコイイ。でも実はピアノソロのほうに彼の本質があるんじゃないかしら? と思わせるのがこの一枚。2003年発表のピアノソロアルバム。
■ Joplinからはじまり、Tuts Washington、James Booker、Al Broussardなどなど、ラグライム〜ブルーズのソロピアノというのはNOのお家芸みたいなもの。しかしAl Broussardが天に召された今、アルバム一枚(退屈させず)ソロで聞かせることの出来るアーティストがどれだけいることでしょう? クラウンの精緻なピアノ触り、そして一見普通っぽいのにニヤリとさせてしまう曲選びはこれからのNOのピアノ界で相当期待できる力量とセンスを持っています。
■ 左手のグルーヴィなうねりに支えられて、自由に飛び回る右手が軽妙で気持ちのいいTipitinaから始まり、思わず跳ね上がりたくなる愛らしいOn the Sunnyside of the Street、しっとりとしたバラード調から一転してブギスタイルになるSt. Louis Bluesなど聴き応え充分。
■ ちょっと硬くて上品な印象もありますがソレは律儀な性格ゆえなのかな? 年を経るうちにもっと砕けて洒脱な音になっていくといいです。とにかく現在もっとも期待株のピアノアルバムです。 (200404)

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Jelly-Roll Morton / 1929-1930

■モートンのニューヨーク時代の録音、彼のバンドRed Hot Peppersを中心に、エリントンバンドから移ってきたクラリネット奏者のBarney Bigardらと組んだトリオ、そしてLizzie Miles、Billie Young、Wilton Crawleyらボーカルモノ。
■縦横無尽にデキシージャズを堪能できるRHPの録音が勢いでもクオリティでも一番だが、トリオでのホンワカした演奏も忘れがたい。
■余談だが楽譜のコードを発明したのはモートンらしい。へーへーへー

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Jelly-Roll Morton / 1923-1924

■ジャズ・ピアノの創始者にして"自称"ジャズの創始者であるクレオール、ジェリー・ロール・モートン、そのシカゴ(Gennettレーベル時代)時代の録音。
■19曲がピアノソロなので彼の比類なきピアノプレイが楽しめる。荒々しい演奏が多いのはまだ、ラグタイムからジャズへの試行錯誤をしていたのだろうか。
■また、Jelly Roll Morton's Stomp Kings名義で一曲入っているが、これはコームとバンジョーとカズーのグループで、モートンは入ってない。

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Jon Cleary / Pin Your Spin

■なんて強いグルーヴ、なんてクールなファンクネス。BASIN STREETへ移籍しての第二弾(通算四枚目)はもう"An Englishman in New Orleans"なんて言わせない。"Urban Funkness in New Orleans"だ。
■気心の知れたJohn Porterをプロデューサーに迎えての新作は前作どおりThe Absolute Monster Gentlemen名義だが、若干メンバーが変わっている。パーカッションにDaniel Sadownickが加わり、ドラムスが'Jellybean' AlexanderからRaymond Weberに交代した。全体の雰囲気としては前作「And The Absolute Monster Gentleman」とさほど変わらないが、ラテンフレーバーあふれる曲や、コーラス(Ivan Neville参加)が際立った曲など全体的に音幅が広がった。
■ソリッドなくせにNOテイストを感じさせるピアノ、親しみやすいメロディ、冷ややかだがかなり粘るグルーヴ。ちょっぴり感じるHipHopやJamっぽい音作りも彩を増しています。ナンバーワンじゃないけれど、フェイバリットには必ず入れておきたい音、それがPin Your Spin。かなりの力作です。

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Jon Cleary / And The Absolute Monster Gentleman

■Jefrrey 'Jellybean' Alexander(Dr)、Derwin 'Big D' Perkins(G)、そしてCornell C. Williams (B)という黒人3人編成のバンドThe Absolute Monster Gentlemenを擁してのサードアルバムは2002年の豊穣だ。
■BASIN STREETへ移籍して思いっきり気合が入っている。まず、リズム全体の切れ味がシャキシャキしてグルーヴはビンビンうねる、ジョンの歌も力みすぎず抜けすぎずでいい頃合だ。基本的にはスティーリーダンやマーカス・ミラーなどの通じる都会派クールファンクネスにNOのテイストをつけた音、そこに息のあったボーカルとコーラスが絡まっているのがとてもスリリング。
■基本的にはオリジナル曲だが、#4はミーターズをカヴァーし、Bonnie Raittがスティールギターとヴォーカルで、ゲスト参加している。ここにもミーターズにはないクールな都会っぽさで曲を見せている。興味深いしそれ以上にカッコイイ。続く#5なんて、一瞬本当にスティーリ−ダンかと思いました(汗)、それにしてもこのピアノは沁みるねえ。。。

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Jon Cleary / Moonburn

■Bonnie Raittの評判作「Silver Lining」の立役者として知名度急上昇の"an Englishman in New Orleans"、そのピアノの迫力はすでにNO有数の実力を発揮している。
■オフビートマガジンの99年度最優秀FUNK/SOUL/R&Bアルバムに選ばれたこの「ムーンバーン」はとても優秀なファンクアルバムだ。アール・キングやタジ・マハル、ジョニーアダムス、ボビー・チャールズらとキャリアを積んできた彼のセカンドは都会的な音の作りに彼のローリング・ピアノが上手くはまり、極上のルーズファンクを聞かせてくれる。また、そのちょっぴりしゃがれたボイスが「都会らしさ」から甘さを追放して、限りなくブルージィな雰囲気を演出してくれている。はっきり名盤としてオススメしたい。

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John Boutte and Uptown Okra / Carry Me Home

■Aaron Nevilleとは違った形でハイトーンボーカルの美しさを聴かせてくれるJohn Boutte。前作とは打って変わって、今回はカントリーフレイバー満載のUp Town Okraとのコラボレーション。
■John BoutteのVocalにMandlin・Guitar・Upright Bass・Drums・Banjoというアコースティックな構成、このCDを購入する時タワレコの担当さんにどんな音なの?と訊いてみたところ「カントリーっぽいんですけどねぇ、ええっとなんと言えばいいのか、昔のカントリーじゃないんですよね、もちろんアコースティックスイングでもない。「フィドルがクルクル鳴るんでもなくて、ええっとまあそんなかんじで」と、なんともはっきりしない答えだった。
■聴くとその通り、なんともいえないマッタリさである。ブッテのボーカルも前作のようなファルセットの美しさではなく、力強いソウルを感じさせる歌声。そしてアップ・タウン・オクラの音はもちろんカントリーだがルイジアナのカントリーというか、カントリーの体裁をとりながら、やっている音は何でもありというかダンヒックスかと思えばロックっぽかったりRBのカントリー解釈だったり、ブルースだったり、ラテンぽかったり、妙にとらえどころがない。そのとらえどころのなさをブッテの黒いボーカルとカントリーっぽさががまとめている感じかな? ブラックカントリー、、、なんだか変な表現だ。
■ただ、ゆったりじっくりまったりぐったりするのに最高な音であることは間違いない。

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John Boutte / At The Foot Of Canal Street

■実は私、クレッシェンド・シティ・フリークスを公言しておきながら、アーロン・ネヴィルのハイトーンスウィートヴォイスがまるでダメなのです。その上、トゥーサンの甘い声もイマイチ、あの系統の声が苦手なのでしょう。
■そしてこのブッテさん、トゥーサンの秘蔵っ子トリシア・ブッテの弟なのだが、なんとも美しいハイトーンボイズ。しかし甘くない、ほろ苦い雰囲気がとてもいいのだ。ブルーズィな選曲のビターさがハイトーンなわりにはハスキーな歌声に合っているのだろうか、決して美化せずに郷愁を感じさせてくれる。勝手なイメージだが映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」や「ソー・マッチ・イン・ラヴ」の時代の雰囲気がぴったり。かなり名盤、オススメです。

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John Autin / Piano Face

■NOには隠れた才能も多いが、ラバダッシュというレーベルは Big Daddy "O" や Al Broussardを筆頭に本当にいいアーティストがを排出している。このオーティンもそうだ。実は前述の二人のプロデュースをしているこのオヤジ、どちらのアルバムもかなりの名盤なのでこのおっさんも只者ではない。
■ジャケは環境音楽やヒーリングもののようなダメさだが、中身はマッタリしたNO独特のローリングピアノ、気合の抜けた歌声で「僕はドクターじゃないけど名前はジョンさ(FURU氏訳)」と唄う。プロフェッサーピアノ、ラグタイム、ブルースR&Rなどなど決して気張ってはいないものの確実に腰に来るピアノプレイがたまらない。
■声質の甘さを活かしたバラードも良ければ、Johnny Vidacovitchのドラムが参加する引き締まった曲も楽しい。数回現れるInterludeでのピアノ+チューバでの即興もオツだ。このアルバムを教えてくれたFURU氏に感謝。

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John "Papa" Gros / Day's End

■Papa Grows Funkのリーダー、John Grosのソロアルバムが届きました! パパではバリバリの職人系JAMセッションを聴かせてくれたJohnのこと、ソロではどう出てくるのだろう?と期待を胸にCDをセットしました。
■な、なんと正統派R&Bが聴こえてくるじゃありませんか、それもEarl KingやVan MorriosnのTupelo Honeyからのカバーが聴けたり、ピアノソロ曲まであったりと、激しいバトルを想像して身体を硬くして待ち構えていたボクは完全に肩透かしされてしまいました。
■しかし、単に肩をすかされて終わったわけではありません。その肩は上手にほぐされ、意識も朦朧としていきます。そう、まさにニューオリンズ音楽のユルさを味わうことに。。。この生鍵盤の心地よさ、Grosが本腰を入れてボクの身体を役立たずにしてくれます。Swampっぽい曲もあれば、ムーディなバラードもあります。ノリのいいR&Rもあったりしてバラエティに富んでいるのですが、どれも土地のものらしいユルさを感じさせてくれます。
■思うにジャムセッションで名を売ってきたGrosが世界に羽ばたく前の原点回帰、おれもクレッシェンド・シティの人間なんだぜーということを自らに表明したかったのではないでしょうか? とにかく気持ちのいいR&Bアルバムでした。(200405)

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Johnny Sketch and the Dirty Notes / Bandicoot

■またまた活きのいい新人が登場! OffBeatの2003年度ロックベストアルバムに選ばれたジョニースケッチらのデビューアルバムは、いきなり3本のホーンが炸裂する大ファンク大会アルバム。ラップっぽいヴォーカルとギターのジョニーを中心とする6人組ナンだけど、FUNK、HIPHOP、REGGAEなどを縦横無尽に弾きまくっている。
■ブルースハープが出てきたりフィドルが聞こえたり、Theryl DeClouet@GalacticやTheresa Andersonの声が聞こえたりと色々キワドイチャレンジもしている。でも何よりも彼らのノリとホーンやギターのかっこよさを聴いて欲しい。メンバーのほとんどが大学できちんとクラシックを学んだだけあって、こんなに破滅的にジャムりまくっているのに、構成がきちんと形として見えてくるから安心してグルーヴに酔いしれていられる。
BlueSkunk氏も指摘していらっしゃるがモダンジャズのメロディやアンサンブルがベースにあるようで、その辺りも含め、演奏技術や構成の素晴らしさ、グルーヴ感等々でブラスファンク版(初期)MMWのような匂いがします。とにかく圧倒! (2004/03)

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Juice(New Orleans Juice) / All Lit Up

■99年デビューのジュース(通称New Orleans' Juice)の2002年の2作目です。かなり元気な音、踊れます、気持ちいいです。ただちょっと若すぎる感は否めません。
■前作Fortifiedでは幼さが前面に出すぎていて、大丈夫かしら?と落ち着いて聴けたアルバムではありませんでした。それに比べてこちらはかなり大人びた感じがあり、聴いていて不安感はありません。
■「このバンドならでは!」という音はまだまだ出来ていませんがビンビン腰に来るサウンドは、血液を沸騰させるには充分すぎます。

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Juice(New Orleans Juice) / Fortified

■99年に現れたファンクバンド、まあギャラクティックやパパ・グロウズなんかと同じ方向へ行こうとしているのでしょうが、粘り気やグルーヴが足りません。その代わり若さ一杯の飛び跳ねFUNKが54分続きます。
■メンバー構成はベース&リードボーカル、ギター×2、ドラム、ハーモニカ、パーカッションの6人。オール・ザットのDJデイヴィスがオルガンでゲスト参加しています。なかなか楽しい音なのでドライヴなんかにはとてもいいでしょう。しかしまだまだなんとなく危なっかしい。。。

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Joe Krown Organ Combo / Funk Yard

■ルーサー"ギター"ジョンソンやクラレンス・ゲイトマウス・ブラウンのキーボード奏者ジョー・クラウンがオルガンのみに絞った2002年の作品。ジャズファンクとニューオリンズ・ファンクの雰囲気をいい具合に絡めながらヒップでソリッドなブルースのグルーヴを聴かせてくれる。
■彼の初ソロは97年のピアノソロアルバムで、ニューオーリンズピアノ特有のシンコペイトしたリズムを前面に押し出してプロフェッサー・ロングヘアやレイ・チャールズの曲を取り上げていたが、オリジナルの彼らよりもジャズっぽい上品な感じだった。2作目はジョージ・ポーターとハーマン・アーネスト、そしてゲイトマウス・ブラウンが参加のオールスターバックアップアルバム。やっと3作目にして彼自身の個性だけでの勝負というわけだが、こんなにファンキーなグルーヴが怒涛のように雪崩れ込んでくるとは誰が予想できたであろう。
■「Ode To Billiy Joe」以外はほとんどオリジナル曲で占められているのですが、どれも暑苦しいくらい分厚いファンクブルーズを聞かせてくれる。あまりの激しさ、熱さにジャムバンドかと思ってしまったくらいだ。オススメはタイトル曲#1、ジャズファンクらしいグルーヴを持つ#2、#6、変態ファンクの#7、ソリッドなリズムが快感の#9、、、、うるさい!全部オススメだっー(笑)。

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James Black / I Need Altitude:
Rare & Unreleased New Orleans Jazz & Funk 1968-1978

■Eddie Boの名曲Hook and Slingのドラマー、Monkey Puzzleのコンポーザーとして、そしてマルサリスファミリーの一員として知られるJames Blackのレア&未発表曲集。
■のっけから目の回るような妖しいグルーヴに呆然とさせられる。続くPsychedelphiaはMary Jane Hooperのヒット曲。盟友Eddie Boの唄う爽やかなファンクチューンやSister Maryとのデュエットであるタイトル曲のクールファンクもいい。しかし中でもお気に入りはBlack自身がだみ声で唄うGris Gris Man。この肉汁の飛び散るような怪しくタイトなフォンクは必聴だ。
■1940年生まれだから70年前後というとちょうど脂の乗ってきた頃か。脂ぎってドロドロな脳卒中直前チューンが詰まっている。まあ問題は、収録時期が80年代まで及ぶので音質や作りが(R&Bの時代からフュージョン全盛まで)曲によってかなり差が出るということかな。しかし一曲一曲は恐ろしい程粘着質で良い。

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