New Orleans M






Mary Jane Hooper/Psychedelphia:
Rare & Unreleased New Orleans Funk 1966-1970

■Eddie Bo、James Blackらを擁したAl ScramuzzaのレーベルScram Recordsで録音されたMary Jane HooperことSena Fletcherの66年から70年までのシングルと未発表曲集。ほとんどの曲をEddie Boがプロデュースしている事からわかるとおり、60年代NOのR&BらしいPOPでファンキーなナンバーが並んでいる。
■唯一、注目を浴びたことのあるナンバーである"Teach Me"は、甘いメロディとわかりやすく単純なメロディー、いかにも感情移入しやすいアレンジのバラードなので五條的にはちょっと興ざめなのだが、ねちっこいリズムで始まる"I've Got Reasons"やJames Blackの激しいドラムが楽しめる"Don't Change Nothin'"、アレサ・フランクリンばりの迫力ボーカルの楽しめるヒップなナンバー"That's How Stong Love Is "、ちょっと抑えたボーカルが効果的なダンスナンバー"Harper Valley P.T.A."など、なかなかに楽しめる。
■Allen Toussaintの許でLee Dorseyのバックバンドを務めたあと、Eddie Boに見初められレコーディングの運びとなった彼女。その実力はTeach Meにしてもその他のナンバーにしても、当時の流行で考えるならば、なかなかのヒットをしてもよかったはずである。Al ScramuzzaもScamレーベルでの後悔のひとつはTeach Meに十分なプロモーションが出来なかったことだといっている(Senaが当時妊娠中だったことでロードに出れなかったのが原因らしい)。まあ運やタイミングも実力のうちかも。

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



Mardi Gras.BB / 29 Moonglow

■キャバレーミュージック? それともジプシー?? ドイツからニューオリンズへの愛情を惜しみなく注ぎ込んでいたブラスバンド体裁のユニット、マルディグラBBの5枚目はブラバンとしての可能性を様々な世界に広げている。
■デビュー当初からHIPHOPやラウンジの雰囲気を持つ「本当にブラスバンド?」なヤツラだったが、ジャムバンドっぽくなったり東洋思想的ワールドミュージックっぽくなったりつかみ処のない印象のバンドだったがここに来てその独逸っぽいエレクトリカな部分が完全にナリを潜めてしまった。生音やブルース色を前面に出してみたところ、あらあらトム・ウェイツ+ブラスになったという感じか、とにかく五條的には◎である。
■古風なアレンジは共通だが一曲一曲のテイストがあまりにも違う。ノイズを入れて昔の録音ぽくしたり、スパイ映画のような疾走感を持ったり、イタリアンやラグタイム、アラビアンだったり、、、まるで古いヨーロピアン映画のサントラのようだ。

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



Marcia Ball / LIVE At Waterloo Records

■オースチン中心に活躍しながらもニューオリンズで支持者の多いピアニスト/シンガー。たった30分だが力の抜けた非常にいいライブ録音。2004年発表。
■一曲目から総立ちなジャンプナンバー。とても楽しそうに唄う50過ぎのオバチャンが少女のようにはしゃいでいる。どの曲もわかりやすいナンバーばかりだし、唄うマーシャもストレートすぎるくらいストレートなダンス&ブルーズを聞かせてくれる。スピード感のあるブルーズ&ジャンプを聞きたければ絶好のアルバムだ。6.99ドルのリミテッドエディション。

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



Mississippi Mass Choir / Mississippi Mass Choir

■総勢100人の力技で、ゴスペル人気を引っ張ってきたミシシッピ・マス・クワイア。100の信仰と歌声に真正面からぶつかられたら、普通の人なら「あぁハレルヤぁ」と自然とバプティスト・トランスに埋もれてしまうだろう。
■彼らの89年発表のこのジャクソン・シティでのライヴアルバムは(間違っていなければ)彼らのファーストアルバムである。1993年9月22日に昇天した創始者フランク・ウィリアムスを中心にコンテンポラリーに走らず、あくまで南部ゴスペルの音を貫き通す彼らの音楽性を信仰が云々と言う前に浴びてみるがいい。この迫力、この温かみ、この構成力、すべてが凡百のポップアーティストの比ではない。時々ゴスペルの棚を探すがミシシッピ以上に心を引かれたクワイアは今のところ出逢っていない。

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



Big Chief Monk Boudreaux & The Golden Eagles / Mr. Stranger Man

■モンク堂々のソロはやはりオズボーンとの共作。Dr.Johnのフェンダーローズをバックにしてお馴染みのジャコモから始まります。
■山岸さん、John Gros、Tab Benoit、Cyril Nevilleなどの音も聞こえて結構豪華アルバム。Galacticのライヴにも参加していたが、マグノリアス離れてからのモンクはすっごく精力的だね。
■ただ、バンド+ヴォーカルの曲とトライブを効果的に使った曲の性質が分かれ過ぎてて、バラエティに富んでるという風に見るか、バラバラだという風に見えるかは評価の分かれるところ。それとあまりモンクの歌声に力強さを感じないのはちょいと悲しい。レゲエとかの新風味に挑戦しているだけに、もうひとふんばりしてくれよ!ってのが正直な感想。<

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



The Meters / Zony Mash

■ミーターズのジョシー時代のシングルB面や未発表曲なんかを集めたコンピ。レア音源とかいってモノラルだったり、なぜかバート・バカラックのカバーだったり、かなりの割合でボーカルものだったり結構楽しい。
■やっぱりミーターズはジョシーだよねぇ、なーんて再確認させてくれるアルバム。大音量でウネウネもったりしてみやがれ、翌朝は腰が立たなくなるぜー。 (2004/01)

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



Michael Ray & the Cosmic Krewe / Funk If I Know

■サン・ラーの一派らしい。サン・ラーのことはよく知らないから語らない。レイのトランペットとシンセが中心らしいが、ジャズファンクの要素がめちゃ強い。心地いいフュージョンっぽい部分もあれば派手で暑苦しいファンクの匂いぷんぷんの場面も。フリージャズっぽい要素もありあり。
■ジャケ見ても、音を聴いてもそうだがP−FUNKやりたかったんじゃない?って印象がかなり強い。CosmicだのAliensなどというタームにも影響が感じられる。ジャズファンク版P−FUNKがお好きならこのアルバムはマズいける。ラテン要素もあり。

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



Legendary Meters Featuring J.B.Horns / Funky Miracle LIVE At Moonwaker 1&2

■ボクのようなセカンドラインとP-FUNKラブな人にとっては夢のようなライヴ。ミーターズのLeo NocentelliとGeorge Porter Jr.にDavid Russel Batiste Jr.とDavid Torkanowsky が加わったミーターズもどき(笑)にMaceo Parker、Fred Wesley、Pee Wee EllisのJBホーンズが加わったライヴアルバムである。つまり「ぴーぽ、せいー」と「ゆごなはぶふぁんきぐったぃ」が一緒に聞けるのだ。あぁ見たかったなぁ。。。
■その上に、「Hey Pockey Way」の人と「Cold Sweat」の人たちが一緒に「Let's Get It On」なんてやっちゃうんだからたまりません。もう評価不可能です。2枚続けて聴いてくれ!
■91年のスイスはムーンウォーカーでのライヴ、当初は未承認音源としてヨーロッパと日本でしか発売されていなかった(ジャケ左)が2002年に目出度く公式アルバムとして名を連ねた(ジャケ中・右)。



■試聴・購入ロゴは1巻・2巻の順です



The Meters / New Directions

■ミーターズのラストアルバムはサンフランシスコ録音、トゥーサンから離れ、ディヴ・ルビンソンがプロデュース、バックにタワー・オヴ・パワーがホーン参加するという全然ミーターズらしくないアルバム。
■爽やかなファンクの#1、タイトなリズムの#4、#8など、ホーンのアレンジとミーターズらしさがマッチしてとても楽しい。シリルのボーカルものびのびとしてよい。#5はジガブーの歌とレオのヴォコーダーが絡む興味深いファンク。#6のレゲエはイマイチかな。
■アルバムとして完成度はとても高くて聴いていて楽しい。しかし、初期のウネウネっとしたミーターズらしいリズムがほとんど活かされていない。あの「ウレシクなる」感じがないのだ。このままの形でこなれていけばきっとヒットチャートを圧巻するバンドになったのであろう。しかしそれはもはやミーターズではない。このアルバム完成後、アートとシリルのネヴィル兄弟がワイルド・チャパトゥラスのために脱退、バンドは解散してしまう。

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



The Meters / Trick Bag

■スタジオでのリハーサルテープを、マネージャーのマーシャル・シホーンが無断でリリースしようとしたもの(4曲は録音しなおしたらしい)で、これを機にアラン・トゥーサンやシホーンとの対立が一気に表面化、解散への道をたどり始めたといういわくつきアルバム、76年。
■ディスコちっくな#1や完全にフュージョンな#5などはミーターズの幅を感じるとともにどっかおかしなところへ行っているのが良くわかる。どちらもノセンティリの曲、また#2ではノセンティリがボーカルを取っている。
■そうはいっても#6や#9あたりはミーターズらしい野太いグルーヴが聴ける。どちらも新メンバーのシリルがヴォーカルを取っているところが皮肉だ。
■さて、最大の呼び込みはカバー曲の2曲。#7はアール・キングの62年のヒット、後半にアール自身がコーラスで絡んでくる。また#11はストーンズの「ホンキー・トンク・ウォマン」、自分たちなりに消化した決してロックでもブルースでもない唯一無二の曲になっている。
■一曲一曲がバラバラな印象、そして練り込みの欠けた佳曲が揃ったアルバムだが、彼らの歴史にはとても重要なアルバムだろう。

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



The Meters / Fire On The Bayou

■ローリング・ストーンズのツアーをサポートしたり、ポール・マッカートニーのパーティーで演奏したりとメインストリームでもその名を轟かせはじめたミーターズ。そんな時期の作品はネヴィル兄弟の四男坊、シリルがヴォーカルとコンガで正式メンバーになった初作品だ。
■全体的にポップな印象を受けるのはシリルのヴォーカルのせいなのか、作戦的なものなのかは判別できないが、ヒットチャートを意識し始め、狭いNOの世界から羽ばたこうとしたのは事実だろう。それが功を奏したのかどうかは一人一人の聴く耳に任せるしかないのだが、少なくとも#8、9はミーターズである必要がない曲だ。ただ、#2,3、7のようなぬめったサウンドは健在だし、#4、6、10のようなファンクは無条件でカッコイイ。#2、5、11などは多くのカバーを生んだ名曲だ。しかし、このアルバムが転機なのだろうということを伺わせる要因は充分すぎるほどある。
■あーこれがネヴィルブラザーズになるのかぁ納得納得。

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



Meters / Live On The Queen Mary

■1975年ポール・マッカートニー夫妻主催による船上パーティー(Venus & Mars完成パーティ)のライヴ。フェスも同様のライヴアルバムを出している。
■ブラックインディアンっぽいパーカッションから始まるFire On The Bayouでスタート、そしてAfricaへ。録音が悪くメインボーカルの一人立ちに荒っぽいリズムが乗っかっているように感じる。歌もこれ誰?って感じ。本人たちが原因なのか録音状態なのか、すべてが力任せに思える。
■しかし、5曲目のバラード辺りから徐々にミーターズらしい演奏に、シシーストラット〜Isley〜Stephan Stillsメドレーあたりは彼ららしいグルーヴ感。ボーカルのマイクがきちんと入っていればの話だが。。。後半も同様、かなりいい演奏なのだが最後までシリルの声が聞えて来ない。録音さけよければねえ。(このアルバム、P-vine盤とRhino盤はジャケが違います)<

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



The Meters / Rejuvenation

■ニューオリンズファンクの創始者であり完成者、ミーターズの1974年発表の「ボーカル入り」2枚目のアルバム。ロバート・パーマー、パティ・ラベル、Dr.ジョン、ローウェル・ジョージらとのセッションを通じて得たものをすべて消化・解釈し、まさにファンクそのものとなった一枚だ。
■収録曲もPeople Say、What'cha Say、Hey Pocky A-Way、Africa等、今ではニューオリンズファンクのスタンダードとなっているナンバーが所狭しと並んでいる。
■ジョージ・ポーターとズィガブーのリズム隊によって、全体がヌメっとしたミシシッピ独特の暑苦しいビートで包まれ、変態的なノチェンテリのギターとアートのキーボードがすべてをあちらの世界に連れて行ってくれる。まさに音のドラッグ、誰にも真似の出来ない至高のドラッグだ。

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



The Meters / Cabbage Alley

■ジョシーが倒産してリプリーズ/ワーナーに移った一枚目であり、ボーカルを前面に打ち出した初アルバムだ。
■ジャケのヘンテコさは(レーベルがニューオリンズを理解できていなかったとして)おいておくとして、最盛期からの移籍とボーカルモノへの挑戦ということでかなりノッているのがわかる。全体に音が引き締まっており、当時毎日15時間近くセッションを繰り返していた成果が上手く出ている。
■ニールヤング作曲のBirdsやカリブへの旅行で得たリンボのリズムを彼らなりに表現したSoul Islandなどの実験作も楽しい。特にアートのヴォーカルが光る#6、8やノチェンテリのギターがノリノリの#7、シリルのコンガが印象的なファンクの#1、ボーカルの隙間を縫って気持ちいいピアノが入るタイトな#10、重量級の音の波が押し寄せる#2などがイイね! バラードはまだ改良の余地アリだな。

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。



The Meters / Funky Miracle

■ミーターズのジョシー時代の3枚を2枚組にまとめたお得用パッケージ。ジャケのダメさ加減はおいといて、「The Meters」(69)「Look−Ka Py Py」(69)「Struttin'」(70)の全曲から、なぜかWichita Lineman(Struttin'収録)だけを抜き、代わりにSassy Lady(Zony Mash収録)を入れたモノ。その一点さえ目をつぶればジョシー時代は網羅できるといえよう。(あ、、オリジナルの3枚はどれもボーナストラックがあります)
■このアルバムの発売当時はオリジナルが手に入ることはかなり難しかったのでかなり賞賛されたようだが、曲順や一曲の差し替えの意味は良くわからない。
■とにかく全盛期のミーターズを知るには絶好の作品ではあるが、これをもっているとオリジナルを入手するのに二の足を踏んでしまうという意味ではヤバイ作品。



The Meters / Anthology Funkify Your Life

■ジェームスブラウン、P-FUNKと並ぶファンクの王様、ミーターズの作品はやはり全年代押さえておきたい! それにはこのRhinoのアンソロジーがもっとも手ごろだ。2CDで一枚目がJosie時代、要するにインスト時代で2枚目がボーカル入りのReprise/Warner時代。
■これを聴くとやはりJosieの頃のミーターズがとても輝いていることに耳が自然といってしまう。実力をつけて世の中に打って出ることで、レコード会社との軋轢やメンバー間の争いまで生じてしまった後期より、やはり単に楽しんで音楽をしている頃の彼らのなんと輝いていることか!
■とはいっても完成されたファンクサウンドを縦横無尽に繰り出している2枚目もヒット曲満載、てか全て必須科目でしょ。2枚続けてエンドレスで漂っていたいアルバムだ。

■試聴・購入はロゴをクリックしてね。


Amazon.co.jp アソシエイト

コーナートップ