New Orleans P






Papa Grows Funk / Mr. Patterson's Hat

■1年近く紹介の送れたパパ・グロウズ・ファンクの4枚目。このアルバムにあわせ2007年3月に日本でも既存ぶアルバム全てがリリースされている。ずいぶん力が入っているアルバムであることは確かです。
■参加メンバーは今までどおりリーダーJohn Grosのハモンドを中心に、ギターはWild Magnoliasの山岸潤史。Funky MetersのドラマーDavid Russell Batiste Jr.、元GalacticのサックスJason Mingledorff、元Smilin' MyronのベーシストMarc Peroら。そしてゲストにBig Chief Monk BoudreauxとDonald Ramsey、そしてGeechie Johnsonのバスドラ。
■カトリーナ後のニューオリンズの再生を祈念して作られたこのアルバムは印象的な山岸のリフから始まる。割と滑らかなサックスを中心としているのギターとベースがファンクネスを見せてくれる1曲目、Houseman Declouetへの追悼曲であり、ボーカル(チャント?)と楽器の掛け合いが楽しい2曲目、ヘヴィィファンク風のバックにジョン・グロのボーカルが楽しめる3曲目などグルーヴィに楽しめるのだが…なんかなあイマイチ印象に残らないんだよなあ。曲が多すぎるのと、演奏が巧い分、ちょっとでもフュージョン風になるとスイスイと流れてしまう曲が出てしまうんだよなあ。だからか、今何曲目なのかとか誰の音楽を聴いているのかとかわからなくなってしまう。曲作りのせいなのかサックスの音質のせいなのか、とてももったいな感じます。
■タイトルのパターソンさんの帽子ってのは、実際にメイプル・リーフ・バー(パパグロの本拠地)の常連のおっさんでアップタウンの自動車整備士らしいです。ピンストライプのスーツとネクタイ、ダービーはっとで現れ、踊ろうと誘われてもグルーヴィな曲じゃなければ決して踊らないという。ジョン・グロも「パターソンの帽子が揺れている時がまさにニューオリンズ音楽の時間なんだ」と断言しているそうです。

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Papa Grows Funk / Live at the Leaf

■あ、あ、あつーいライブです。パパグロの3枚目、2005年のメイプルリーフでのライブ録音。本拠地での演奏は彼らのベストテイクを引き出しているといっても過言ではないでしょう。
■前2枚のスタジオ録音を生音という形に巧く置き換えている。ということは前2作での問題点もそのまま置き換えられているということでもある。怒涛の一曲目Pass It、13分のタイトな激闘はJeffrey "Jellybean" Alexanderがバティストにかわってドラムにはいったこともあり、NOバンドというよりジャム合戦のよう。いやあすごい。しかしそれ以降の曲がなんだか心に残らない。流れてしまうんだな。一曲ごとにバラバラにきくと悪くない、というかすごくうまい。でも一枚通すと「Pass Itすごいね」ということになる。ボーカル曲も結構あるので本来なら頭に残りやすいはずだが……これは楽曲があまり個性がないことと、巧すぎてフュージョンになってきているということだろうか? あるいは僕が期待しすぎ? なーんて思いながらこのレビューのために再度このアルバムを聞いた。
■2−4曲目と8−9曲目がフュージョンしすぎてるんだな、そのため滑らかで印象的なフレーズに欠け、高度なジャムセッションすぎてFUNKのわかりやすさを失ってるんだ。そのせいで間のR&Bファンクっぽい楽曲の印象も消し去っているんだ。このバンドの問題点は巧すぎることと熱すぎることだな。なんて本人たちが聞いたら激怒するようなコメントを残して終わることにしよう。といってもやっぱスゴイですよ、未体験の方は聞くべきです、絶対。

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Philip Melancon / Hurricane Romance

■オールドスタイルのキャバレーピアニスト。相当年季の入った音は音楽をただそれだけで楽しみたい人にとてもいい。屈託のない枯れた楽しみ。ただ、タイトルのハリケーンってのがひっかかるが、何を唄っているのかちょっとわからないのが悔しい。
■柔らかく温かい音、ゆっくり酔いしれたり、眠れたりする、そんな音がいっぱい凝縮されている。スィンギーでラグタイム。ドリーミーな20年代サウンド。そんなものが好きな人は是非聴いてほしい。ただ音に浸っていることが出来るアルバムだ。浸っている間に時間がどんどん流れていっていることに気づくはずだ。シガーバーで煙をくゆらせながらノンビリかみ締めて聴きたいね。

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Professor Longhair / Proper Introduction To Professor Longhair: Mardi Gras In New Orleans

■近頃詳細な解説とデータで大物の音源発掘が盛んなプロパー社のFessの初期の録音集だ。結構音がいい。
■まずデータから、
Roy Byrd & His Blues Jumpersの49年の録音が9曲と同年のRoy Byrd個人名義が10曲、そしてProfessor Longhair & his Blues Scholars名義の53年の録音が4曲。なお、Blues Jumpers時代のものは全て作曲クレジットがProfessor Longhairに、個人名義とBlues Scholarsの作曲クレジットはRoy Byrdになっている。細かいことは良くわからん。
■個人的にはNew Orleans PianoやMardi Gras In New Orleansよりもいい。バックのメンツとも息があってFess自身が楽しそう。前2作は資料的な聴きかたをしているがこっちは本気で楽しめる。同じ録音があるかもしれないが、ざっくりと全体的な印象で、初期録音を聞きたいといわれたら、まずコレを勧めたい。

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Professor Longhair / Mardi Gras In New Orleans 1949-1957

■フェスの初期録音集。FessFessFest!によると「1から4がフェス初レコーディングとなる49年スター・タレント録音、5から7が『9.The Marcury New Orleans Sessions 1950』にも収録されている50年マーキュリー録音、8から10が51年フェデラル録音、11と12が52年のワスコ録音、13のティピティーナは『3.New Oleans Piano』収録のアトランティック録音、14から16が名演57年エブ録音。」らしいがボクのにはなんらクレジットなし。
■ほとんどなんら70年代のフェスと変わりなし。口笛の吹き方も一緒だ。違うのは録音状態や楽器のメンテだけか。デビュー当時ですでに完成されていて、死ぬ直前までそのグルーヴを持続できたと考えるとやはり神かもしれない。



Panorama Jazz Band / Another Hot Night In February

■どのジャンルに入れるか悩んだ末「トラディショナル」に分類してしまったのは、このバンドの個性がクレヅマーや東欧の民俗音楽にあることです。クラリネットやアコーディオン、バンジョーやトロンボーンをフラフラ鳴らすこのゆるーい音は、ともするとNOのハードなブルーズの喧騒に埋もれて聞こえなくなってしまいそうですが、よーく聞いているとその東洋チックな物寂しげな音階に耳を奪われます。
■パノラマバンドはその名の通り、音のパノラマ。NOジャズからブルーズ、クレヅマー、カリビアン、そしてポーランドやブルガリアなどのバルカン半島の民俗音楽まで世界の音の大パノラマを(頼りなげなクラリネットで )聴かせてくれます。
■#8はなんとSunny Side Of The Streetですね。ジャズスタンダードなこの曲が東欧の佳曲に交じり合って妙に心地良い位置に座っています。ルイジアナにして東ヨーロッパ、是非このアルバムの不思議なパノラマを味わってみてください。NOという地が本当に世界の音楽のガンボ(ごちゃまぜ)だと言うことが分かってしまうはずです。 (2004/03)

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Papa Grows Funk / Shakin'

■いやーすっばらしいアルバムですねぇ、前作も年間ベスト3的なアルバムでしたが、近作はさらにグルーヴ感を大切にし、全体を見せることに重点を置いた模様。前作が職人たちの芸合戦だったのなら、こっちはグループとしてのまとまりを大切にしだしたのかな、セッションからバンドになってきたようだ。
■ヤマギシのギターも要所要所を押さえることに専念し、リズム隊もバンド全体の下支えの役を果たしている。だからグロスのボーカルやサックスなどのメロディがきちんと活きて、果てしないファンクの世界に僕らを連れて行ってしまう。個人的にはもっとグロスのハモンドが聴きたいなってこととフュージョンに行っちゃう曲があるのがちょいと瑕。グロスさんよ、生ピアノで絡まるともっと面白そうなんだがどうだい?(笑) 

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Papa Grows Funk / Doin' It

■元ミーターズのGeorge Porter Jr.のバックで鍵盤をひいていたリーダーJohn Grosのハモンドを中心に、ギターはWild Magnoliasの山岸潤史。Funky MetersのドラマーDavid Russell Batiste Jr.、GalacticのサックスJason Mingledorff、Smilin' MyronのベーシストMarc Peroらが作ったジャムバンド。これだけで期待できるでしょ? まさにニューオリンズジャムムーブメントの集大成、音楽職人大集合のようなユニットのデビュー作。
■内容のことを言う前になんなのだが、ミーターズ無き時代、このアルバム以上の音が出せなきゃニューオリンズファンクの中心的な存在にはなれないだろう。それほど完成されたセカンドラインファンクが堪能できる。ゆったりうねるリズムと、鋭利な刃物の様に攻撃的なメロディ、リーダーのGrosのボーカル自体もだみ声でなかなかいい味を出しています。ハモンドとギターのぶつかり合いもスリル満点、ノリにのっている玄人たちの技の競演アルバムです。これこそ「嫁質屋」なり!

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Professor Longhair / Stompin' With Fess(Live in Germany)

■20年も忘れられていた男、Rorland Byrdの再評価後の西ドイツでのライブだ。
■そこにはピアノに向かって観客を楽しませることしか出来ない不器用な男の一徹な魂を感じざるを得ない。唯一無二の武器を持って敵陣に特攻するサムライのその長鞘に対する、自分の血肉の一部としか思えない想いが全ての旋律から感じられる。
■ニューオリンズという類まれな音楽畑の気風と伝統を一身に背負って異国で演奏するフェス、その気概はロックという精神的カテゴリーに相応するすさまじさだ。I Am New Orleans!その叫びが貴方には聴こえるか!?

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Professor Longhair / Rock'n'Roll Gumbo

■74年録音のこのアルバムは、ロングヘア「再発見」のアルバムである。
■マーキュリーで「ボールドヘッド」を、アトランティックで「ティピティナ」等を発表した後、公の場から姿を消してしまった彼は、70年代初頭のニューオリンズ再評価ブームによりその姿を発見されるまで無一文で腰の立たない廃人同然だったようだ。
■しかし聴いて欲しい、このグルーヴ、このビート、この歌声。10年以上のインターバルがあったとは思えない輝き方だ。「再発見」直後に行われた3日間のセッションを収めたアルバムとは思えない。教授の復活はニューオリンズの復活だった。裏声のTIPITINAに乾杯! ■ちなみに私の所有する日本盤と海外の盤では曲順とジャケに差異がある。

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Professor Longhair / New Orleans Piano

■ニューオリンズピアノの開拓者、プロフェッサー・ロングヘアの49年と53年の録音をカップリングしたアルバム。
■53年の分(1〜5)では、往年のスタイルがすでに確立していることがわかる。グルーヴが素晴らしく、グイグイ引っ張っていく感じがとてもよい。
■49年の分は、成長過程がわかる。ブギウギだったり、ジェリー・ロール・モートン風だったり、マルディグラのトラディショナルをストレートにぶつけていたりで、かなり興味深い。録音の悪ささえ目をつぶれば、一晩中でも楽しんでいられる音である。

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Professor Longhair / Crawfish Fiesta

■伝説のそしてニューオリンズのアーティストの中で最大の不幸なピアニスト「長髪教授」の79年の遺作。
■Dr.Johnに「ファンクの父」と、トゥーサンに「ロックのバッハ」と、ジェリー・ウェクスラーに「ニューオリンズピアノのピカソ」と言わしめる教授。当時すでにヒットメーカーとして最高潮にあったピアニスト&ボーカリストのDr.Johnにギターを持たせて自分は飄々とピアノを弾いているこのオヤジはやはりルイジアナファンクの張本人だ。
■発売当日に逝去したというイワク付きなだけあってかなり衰弱していたのではなかろうか? しかし歌声もピアノの切れも最高にグルーヴィだ。死の直前になって初めて世界に認められた男の、人生の憂愁の美を飾るアルバム。自らの人生の全てを詰め込んで(しかし飄々と)グッドリズムを繰り出している。ニューオリンズを知りたければこれを聴くしかない。まさにThis Is FUNK、「ザリガニ祭り」だ!

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Pete Fountain / Dixieland King

■デキシーランドクラリネットの巨匠であり、マウスピースのモデルとしても知られているピート・ファウンテンの59年の録音。
■59年といえばマイルス・デイヴィスのKind Of Blueがモダンジャズを開花させていた頃。そんなジャズの転換期なのだが、この巨匠はどこ吹く風で楽しげにデキシー、セコンドラインを堪能している。このマイペースさがいいのだ。

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