New Orleans TU






Troy "Trombone Shorty" Andrews & Orleans Avenue / Orleans & Claiborne

■2005年リリース。写真を見るかぎりはガキンチョの寄せ集め。でも見くびっちゃいけない、これがかなりゴージャスでファンキーな大人のニューオリンズなのだから。メンバーはTroy Andrews、James Martin、Jonathan Batiste、Mike Ballard、Joey Peebles。Troyは当時19歳くらいかな、でもこれ以前に3枚のリーダーアルバムを発表してるし、レニー・クラビッツやエアロスミスらとも共演しているようで既に実力は認められているといえる。Jonathan Batisteもこの時点で1枚、現在までに2枚のジャズアルバムを出している。彼のひんやりクールなピアノはこのアルバムのポイントのひとつだ。またギターに山岸潤史氏が参加しており、彼らしい職人的なカッティングで全体を締めている。
■このアルバムか買ってからかなりお気に入りで聴いているのだが、どうも全容がつかめない。簡単にいうとヒップホップありファンクありPOP、ラテンフレイバーのジャズチューンありブラバンありとまさに現在のニューオリンズそのものなのだが、この丸っこいゴージャスな印象が楽曲/プレイのどこから来ているのか良くわからない。とっても良くてオススメなのだが、何がどうオススメなのか一言でいえない。肌触りが優雅でファンキーなのだ。そしてニューオリンズの現在の音楽状況の集約がここにあるのだ。
■楽曲は上にも書いたとおりヒップホップありファンクありラテンありマルディグラありブラバンありの万華鏡。書き下ろし曲がメインだか、Maroon5のThis Loveをカバーしてたり、若者らしいところも見える。彼らを聞いているとNOの将来に期待がもてる。

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Troy Andrews Quintet / End Of The Beginning

■Trombone Shortyことトロイ・アンドリュースのクインテット、てことは真正面からコンテンポラリージャズである。私のHPをごらんの方ならわかると思うがコンテンポラリージャズやバップは全然聴かないので、はっきり言って優れているのかどうなのか全然わからない。このアルバムを買った理由は唯一John Boutteが参加しているからだ。
■ブッテが唄っているのは大好きなホーギー・カーマイケルが作った#5のSkylarkと#9のReetPetite。#5はほろ苦いメロディとピアノに合わせてブッテが歌い上げる彼にとっても似合ったバラード。#9はラストに相応しい軽めのブギ。どちらもとてもいいが、ブッテのセピア調の声にはバラードが似合う。
■また3曲目、大大大好きなOn The Sunnyside of the StreetではKermit Ruffinsがボーカルのみ(もったいない!)で参加、このアルバムのベストテイク(個人的に)かもしれない。他のゲストはピアノのEllis MarsalisとトランペットのIrvin Mayfieldが一曲づつ。

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Tin Men / Freaks For Industry!

■以前Boneramaが6本のホーンだけでMoby Dickを聞かせたとき、その解釈(再構築)の素晴らしさと圧倒的なホーンのパワーを感じさせられたものだ。今回は洗濯板による「移民の歌」だった。
■様々なサイトでこのImmigrant Songについて言及されているので、遅れたレビューとしてあまり語らないが、矢野顕子が佐野元春のSomedayをカバーしたときと同じ、圧倒的な個性に包まれたカバーは最早新曲と同じであることを強く思った。つまりギターと洗濯板とソウサホンによるトホホなユルユルトリオには、どんな個性的な名曲を演奏させても完全に自分たちのものにしてしまうということだ。
■本当に「何でもあり」、どんな曲でも弛緩させ、ハッピーなマッサージミュージックに変えてくれる。こんな幸せな時間は世知辛い昨今なかなか見つからない。そしてこのCDのレビューをするのに1年近くかかったのもあまりに緩かったからだろう。わざわざ語るなんてどうでも良くなってしまう。

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Topsy Chapman & Solid Harmony / Old And New - Volume 1

■なんともステキなゴスペルアルバムです。NOで長年ジャズを唄い続けてきたトプスィー・チャップマンが若手ゴスペルシンガーたちを束ねて作った05年のアルバム。
■ボーカルとコーラスの調和が素晴らしい。バックはP/B/Drのトリオのみ。本気で歌声だけを聞かせる趣向なのですが、それだけで十分すぎるくらい美しい。ゴスペルにありがちな崇高さも押し付けがましさもなく、温かくゆったりと聞かせてくれる。コーラスとの掛け合いなどはミュージカルを彷彿とさせる(そういえばこの人の出世作はミュージカルOne Mo' Timeだった)。
■曲はもっぱらSwing Low、Amazing Grace、Battle Hymn Of The Republicなどのゴスペル/フォークのスタンダード。しっかし気持ちいいです。62分一気に聞きほしそのまま二回戦に突入します。耳も心も震えるほど、あぁこういうのを霊歌というんだなぁと1人納得の出来。

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Tin Men / Super Great Music For Modern Lovers

■これはいい!! マジでめっけモンです。ニューオリンズ産のトホホ系ジャグバンド、ティン・メンのファーストアルバム。
■メンバーは3人、ヤマハのソウザポンを操るMatt PerrineはBoneramaやRoyal Fingerbowl、New Orleans NightCrawlersで活躍する名手、コロンバス製の洗濯板を駆使するWashoard ChazはOphelia Swing Band出身、そして借り物のギターと壊れたアンプで演奏するAlex McMurrayはRoyal Fingerbowlでギターとキーボードを弾いている人だ。
■和気あいあいのノンビリジャグセッションは聴く者にやる気をなくさせます。休日向けオマヌケバンド、本当に魅力的です。歌声がコステロに似ています。それ系好きにもいいかも。とにかくツボでした。

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Tuts Washington / Live At Tipitina's '78

■78年のティピティナでのライブ。他に手に入るものがないからこそ商品として世に出ることが出来たくらい悪条件な録音状態。しかしアイシドア・ワシントンの唯一無二のピアノは何もかもを忘れさせるくらい美しく響いている。
■喧騒のなか、訥々とまるで手を慣れさせるかのように鍵盤が鳴り始め、気付くとほろ苦いブルーズが出来上がっている。何ものをも邪魔しない、しかし自然とその音に夢中にさせられるタッツのピアノ、スタンダードとオリジナルを混ぜながら、独特の深酒の素を聴く者に振りまき、気付くと「After Hours」、59分の時間が流れており、僕は酩酊状態になっている。

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Tuts Washington / New Orleans Piano,Larry Borenstein Collection: Volume 3

■Larry Borenstein個人の収集から1960年のタッツの録音。ピアノとLittle Red Lajoieによるバンジョーとヴォーカル。
■タッツ自身の演奏があまり丁寧ではない、どちらかというと野性的な感じだ。しかし、粗雑というわけでもないが、ボーカルが荒っぽいのでその野性っぽさに拍車がかかって聞こえる。他の作品よりも跳ねている感じのする珍しい録音だ。

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Tuts Washington / New Orleans Piano Professor

■天才アパッチピアニスト・ジェームスブッカーの師匠、タッツ・ワシントンの76歳にしての初ソロアルバム、1983年録音。現在日本で手に入る唯一のスタジオアルバムでもある。
■なんていうか、これだけ表現豊かなピアノソロってのも他にはないんじゃないだろうか? 喜怒哀楽をたった一つの楽器だけで、これだけ巧みに表現できてしまうなんて。。。
■つっころぶような鍵盤。間の取り方の妙というか、軽みというか、洒脱というか、本当に粋なんですよ。この粋さは年輪が刻んだものなのだろうか?
■Bookerの神がかり的なピアノプレイとは違い、こちらは手の届く範囲の小粋さ、独り酒が似合います(ちなみにラスト曲でだけタッツのボーカルが耳に出来ます)。

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Thomas Jefferson's International New Orleans Jazz Band / featuring Sammy Rimington

■トランペット&ボーカルのトーマス・ジェファーソン率いるバンドの74年のコペンハーゲンでのライヴ。サム・リミントンがクラリネットとアルトで参加している。
■サッチモに憧れ、楽団を背にペットとヴォーカルスタイルを通したトムだが、どう聴いてもサッチモの存在感には程遠い。しかしその分、灰汁がないのでBGM的に流すのにはとても気楽で楽しいアルバム。

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Third Rail / South Delta Space Age

■元オーネット・コールマン・バンドの変態ギタリストJ.B.ウルマーとビル・ラズウェル、PーFUNKのバーニー・ウォーレル、そしてジガブー・モデリスト@ミーターズというスーパージャズファンクグループ。ええ、もちろんバーニー&ジガブーで買いました。95年作。
■うねうねと地を這うようなグルーヴがとっても好き。P−FUNKのクールファンクっぽさを感じます。
■しかし、うねうねと這うだけなんだよね、時々は飛び上がって襲ってきて欲しいじゃん。そこがないと飽きる。一曲一曲はとても素晴らしい。

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Theryl de Clouet/The Houseman Cometh!

■ギャラクティックの指南役兼ボーカリストのテリル・デ・クロウのソロアルバム。普通のSOULです。かなりかっこいいけどセカンドラインでもジャムでもありません。2曲にムーアらGalacticメンツが参加し、それらしい雰囲気を作っているが、基本的にはボーカルと山岸潤史のギターを楽しむアルバム。
■特筆する点は山岸を始め、ハリーコニックJr.やリバースブラス等に参加したパーカッショニストやマーヴァライトのバックメンバー、元ウイングス(!)のキーボードなどが参加、またオールザットのラップが絡んできたり、人脈フル活用のオール・オーバー・ニューオリンズ・アルバムだということか。

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